どんな本?
そんな兵士達を率いてザルーダ王国への援軍に行き、オルトメア帝国の侵攻を止め。
辺境伯と北部十家との戦争にも勝利。
それを貴族院で審問されるが、死刑が始まる前から決まっているので亮真は貴族院のメンバーを全て殺して自領へ逃亡。
反乱を討伐するためルピス女王が率いる20万の大軍がウォルテニア半島へ攻めて来たが、軍を派遣している貴族の領地を別動隊で荒らして後方を撹乱して20万の軍を瓦解させ、退却し始めたルピス女王軍を追撃して王都を包囲。
王都内の反乱を誘導して首脳陣を殺して王都を陥落させて、新女王ラディーネを王にして亮真は大公となり国の実権は握らずウォルテニア半島を開拓しようとしていたのだが、、
読んだ本のタイトル
ウォルテニア戦記 XXV (Record of Wortenia War)
著者:保利亮太 氏
イラスト:bob 氏
あらすじ・内容
二方面に敵を抱えたウォルテニア軍に秘策はあるのか?
西の同盟国・ザルーダに援軍を送りつつ、東にあるミスト王国も同時に支援しなければいけなくなったローゼリア王国。しかし長い内戦で疲弊したローゼリアにそんな余裕はない。 ローゼリア王国の事実上の支配者となった亮真は、海運に強い豪商・クリストフ商会を通じてある勢力を動かそうと試みる。 さらに短期決戦をめざしてミスト王国へと向かった亮真だったが、ミストは深刻な内部抗争を抱えていて――!? コミカライズも絶好調の異世界召喚戦記、第25巻!
ウォルテニア戦記 XXV
前巻からのあらすじ
女王ラディーネによるオルトメア帝国のザルーダ王国への再侵攻が発表される。
その援軍に御子柴大公に全ての権限を与えると女王ラディーネは宣言する。
中央集権に柏していた前女王のルピスでは絶対に出来ない芸当のザルーダ王国援軍への全権譲渡だった。
そんなザルーダ王国への援軍宣言の後にロマーヌ子爵は御子柴大公を平民に暴行していた息子を誅殺されたと弾劾しなければいけない。
そう理解した瞬間、ロマーヌ子爵は嵌められたと自覚する。
結果、ロマーヌ子爵家は取り潰し。
子爵自身も罪人として牢に入れられる事となる。
そして、御子柴大公によるザルーダ王国への援軍の準備をしていたら、、
ミスト王国の南部でブリタニア王国とタルージャ王国の連合軍が侵略して来た。
感想
西の同盟国・ザルーダに援軍を送りつつ、東にあるミスト王国も同時に支援しなければいけなくなったローゼリア王国。
その全権を任された御子柴亮真はザルーダには武法術を使える精兵5000を派兵。
紅獅子のリオネを総大将に軽歩兵3000。
シグニスとロベルトには騎兵を1000づつ率いらせる。
身分的に平民出身で御子柴家の騎士リオネが、男爵の当主となったシグニスとロベルト部下に率いる。
身分的にはありえない編成。
でも能力的には攻撃に定評のある双璧の2人に、防御に定評のあるリオネ。
総指揮官としてはリオネの方が適正があった。
それを亮真は身分を無視してリオネを総指揮官に任命した。
だが亮真にとって心配はあった。
リオネが得意とする兵科は重装歩兵なのだが、ザルーダの地形が山岳地帯なので軽装に変更。
コレが吉と出るか凶となるかは戦ってみないと分からない。
そしてミスト王国には亮真が自ら率いて援軍に赴く。
その数、4万。
手足の如く共に戦場を駆け回ったリオネ、シグニス、ロベルトは別の戦場に行っており。
今回は、副将にクリスとレナードを初登用しての戦。
目標はブリタニア王国、タルージャ王国の連合川6万が包囲しているミスト王国の要所。
城塞都市ジェルムク。
援軍が出たと情報が出ていたが、法術が付与されている鎧、馬具で倍以上の行軍速度で行軍し。
さらにミスト国王に謁見せずに直接城塞都市ジェルムクへ急行して包囲軍を後背から奇襲する。
奇襲は成功して城塞都市ジェルムクの包囲を崩してブリタニア、タルージャ連合軍を撤退させたのだが、、
ミスト王国の援軍がまだ出動出来ていない。
どうやら経済的な問題で足並みが揃わないらしい、、
アッサリと撤退したブリタニア、タルージャ連合軍の将軍も何か策があるらしく、今回の奇襲で撤退させられても挽回出来る自信が伺える。
この後、ミスト王国はどうなって行くのか不穏な空気が漂っている。
最後までお読み頂きありがとうございます。
同シリーズ
ウォルテニア戦記シリーズ
その他フィクション
備忘録
プロローグ
新月の夜、ローゼリア王国の王都ピレウスにある貴族の居住区から、ある一族が深夜に馬車に乗り込んで姿を消そうとしていた。この一団は、貴族階級の乗り物ではなく、農民が使う幌付きの荷馬車を使っており、その異様な様子は普通では考えられない光景だった。
彼等は、誰かに見つかると問題になることを理解していて、急いで馬車に乗り込み、城門を目指していた。
城門では、王都守備隊第六大隊の長であるアレン・ウッドが、深夜にもかかわらず自ら見張りをしていた。
これは異例の行動で、彼の背後には何か大きな事情があることを示唆している。
アレンは予定通り到着した一団に対して城門を開けるよう副隊長に命令し、全ての責任を自分が負うと宣言した。
副隊長のエリックは、この命令に従うことのリスクを理解していたが、アレンの決断を尊重し、城門を開ける指示を出した。
この行動は守備隊にとって重大な背信行為とも取られかねず、王都の安全に対する反逆と見なされる可能性があった。
エリックはこの行為により、アレンが王都守備隊から追放されるか、さらに悪いことには投獄や他の重い処罰に直面するかもしれないと認識していた。
それにもかかわらず、彼は上司の命令に従い、深夜に城門を開け、謎の一団が王都から出て行くのを許可した。
守備隊の隊員のほとんどは平民階級出身であり、武法術を会得していないが、多数で傭兵や冒険者を制圧できるため、隊員の数が重視されている。
王都守備隊は主に城内での戦いを想定しており、騎士団のように高度な武法術が必須ではない。
中隊長以上の役職は騎士の爵位を持つ貴族か、平民出身でも実力を認められた者が就く。
王都ピレウスに配備された守備隊の大隊長は、ローゼリア王国への忠誠心や能力が厳格に試される重要な役目である。
エリックは守備隊の副隊長として、守備隊が低く見られるが、実際には王都の治安を担う重要な任務を誇りとしている。
それにもかかわらず、彼の上司であるアレンが危険な決断を下した理由には何か大きな動機があるとエリックは感じている。
アレン・ウッドは平民出身でありながら、例外的に王都守備隊の大隊長に就任している。
彼の出世は、貴族の血筋を持つぺルマン男爵家の五女との結婚によるものである。
彼女はぺルマン男爵の庶子で、貴族家への嫁入りには不利な立場だったが、アレンとの結婚により彼のキャリアが支えられた。
現在、アレンは王都ピレウスの城門を守る責任を持ち、その地位は非常に重要である。
この重要な地位に就けたのは、彼がぺルマン男爵家からの支援を受けているからである。
アレンの大隊長としての地位は、彼自身の能力だけでなく、貴族家との結びつきによるものが大きい。
シャーロット達は謀略や策謀に長けており、家門を継ぐ立場にある女性たちとして王宮内で暗闘を繰り広げてきた。
彼女たちには明確なルールが存在し、監視する審判もいるため、失敗が許されない厳しい状況にある。
これは家名を存続させるための命懸けの生存競争であり、その中で他家との協力も強いられているが、本質的には競争相手である。
御子柴亮真の下での新しい政治体制が構築されるこの微妙な時期に、シャーロット達は自家の利用価値を示すために策を練り、協力しながらその実行に移している。
彼らの成功は、家名の未来を大きく左右するものである。
第一章 影達の共演
荷馬車の一団がローゼリア王国南部のイラクリオンから国境の街ガラチアに向かっていた。
深夜で星も月も見えず、ランプの光だけが頼りの中、乳飲み子を含む家族が移動していた。
夜間の移動は極めて危険であり、荷馬車は結界柱によって守られてはいるものの、完全な安全は保障されていない。
また、街道を外れた道は、更にリスクが高い。
家族は十日間休むことなく移動しており、体力的にも精神的にも限界に近づいていた。
特に妻は育児を一手に担い、他の家族とのプライバシーも確保できずに疲労が蓄積していた。
彼らはロマーヌ子爵家の逆賊として、王都を脱出していたため、捕まれば処刑される可能性が高い状況であった。
そんな中、妻は夫にタルージャ王国への移動を疑問視するが、夫はそれ以外に選択肢がないと返す。
この会話からは、彼らが国外脱出を余儀なくされた重苦しい現実と、前途に対する不安が浮かび上がる。
数十年前、ローゼリア王国とタルージャ王国間の関係は敵視しているものの、貴族間の血縁関係は維持されている。
ロマーヌ子爵家は縁故を頼ってタルージャ王国に逃れようとしているが、これは彼らの一方的な思惑である。
ロマーヌ子爵が投獄された後、タルージャ王国の縁者に連絡を取っており、表向きは受け入れるとの返事を得ているが、その実現は不確かである。
さらに、御子柴亮真からの提案を拒否したため、ロマーヌ子爵家はローゼリア王国内での生存が困難になっている。
御子柴からの提案は、彼らに家名を捨て、賠償金を払って平民として生活することを求めている。
これには一定の温情も含まれているが、国民の憎悪は容易には消えない。
夫はその提案を断り、家族を連れて危険な逃亡を続けているが、領民たちからの復讐に遭い、最終的には攻撃されることになる。
家族を守ることができず、夫は死亡する。夫の最後の意識は家族を守ることへの本能的な願いであったが、それも叶わぬままであった。
御子柴亮真は、ザルツベルグ伯爵邸の執務室で夜遅くまで書類に署名している。
彼は電気がない大地世界に住むが、付与法術による灯りのもとで一心不乱に作業を行っている。
書類は次から次へと運び込まれるため、処理が追いつかず、賽の河原の石積みのような苦行に近い状態だ。
彼には書類を処理する以外の選択肢がなく、それをすれば、戦禍に見舞われたザルーダ王国とミスト王国の問題を放置することになるため、彼は黙々と書類に署名を続ける。
亮真は異世界に召喚された高校生で、本来なら平穏な学生生活を送っているはずだった。
しかし、彼は異世界で国王に次ぐ高位貴族となり、重大な責任を負う立場にある。
彼は現代日本での生活を懐かしみながら、その運命に疑問を抱いても、状況を変えることはできず、文化活動よりも兵器の開発や効率的な食料生産が優先される戦乱の世で、責任ある行動を続けるしかないのだ。
御子柴亮真が全軍の総指揮官として拝命し、様々な決裁事項を処理している中、伊賀崎衆の長が重要な報告を持ってきた。
報告内容は、ロマーヌ子爵家の一族がタルージャ王国への逃亡途中に襲撃されたことだった。
亮真はこれを予測しており、彼らに対して私財の返還と平民としての生活を提案していたが、彼らはこの提案を拒否し、自身の選択で国外逃亡を選んだ。
彼らの行動は自身の意志によるもので、御子柴亮真を信用できなかったことが大きな理由の一つだった。
結果として、旧ロマーヌ子爵領を通る危険な道を選び、その地の領民によって襲撃されることとなった。
さらに、厳翁からの報告によると、ローゼリア王国の貴族が保有する密偵たちは腕は悪くないが、技術体系としての忍びの技が確立されていないため、技量にばらつきがあるという。
しかし、適切な使い方をすれば十分亮真の助けになると評価されている。
これにより、亮真は国内の諜報活動をシャーロットたちに任せることを検討している。
亮真の領地が非常に広大であり、伊賀崎衆だけでは防諜や他国への工作活動を担うには人員が不足しているため、適任者がいればその任務を委託したいと考えている。
マクマスター子爵が宰相としてラディーネ女王を補佐し、エレナ・シュタイナーが軍部の掌握で忙しい状況の中、御子柴亮真は諜報活動の負担が過重である問題を抱えている。
ラディーネ女王に忠誠を誓う貴族たちが活躍の機会を求めているが、亮真は信頼できる人材が見つかるまでは自身で諜報活動を行うことが最善と考えている。
しかし、ザルーダ王国とミスト王国への援軍派遣により、状況が複雑化している。
緊急時に伊賀崎衆だけでは対応できない場合、御子柴大公家に大きな痛手を与えるリスクがあるため、人員の増強が必要とされている。
シャーロットたちが抱える密偵たちは一定の能力を持っており、亮真は彼らにローゼリア王国内の諜報活動を任せることを考えているが、完全な信頼を置くことはまだ難しい状況である。
また、厳翁にはザルーダとミストに人員を派遣し、ミスト王国側の状況を詳しく調査するよう命じている。
第二章 紅獅子の咆哮
黒い甲冑に身を包んだロベルト・ベルトランが、ザルーダ遠征軍の出陣を告げる。
彼の号令と共に、王都ピレウス郊外に集結した兵士たちは熱狂の声を上げる。
騎兵二千と歩兵三千の総勢五千名が、太陽が中天に差す中、西方へ行軍を開始する。
リオネが総指揮官として、ロベルトとシグニス・ガルベイラの【双刃】を支えながら遠征軍を指揮する。
彼らは御子柴大公家の精兵で、その上には金と銀の鱗を持つ双頭の蛇の紋章が翻っている。
リオネは感傷に浸る時間がないが、自らが全軍の総指揮を任されることに内心では驚きつつも、その重責を受け入れている。
この任命は、御子柴亮真の英断であり、彼女の能力を高く評価するものである。
リオネは、オルトメア帝国との危険な戦闘任務を亮真から任されることを認識しており、それは彼女の卓越した能力を信じてのことである。
彼女はこれを心からの信頼の証と受け止めており、亮真の期待に応える決意を固めている。
その任務には、リオネだけでなく、【双刃】のロベルト・ベルトランとシグニス・ガルベイラも含まれ、その協力のもとで戦略が練られる。
また、リオネの副官であるボルツは、物資調達と部隊管理の重責を担っている。
かつての傭兵仲間である彼は、リオネの指揮能力を高く評価しており、彼女の決断を支え続けている。
この軍事行動は、勝算を信じつつも、実行するリオネとボルツにとって過酷な挑戦となる。
ローゼリア王国の政争に巻き込まれ、御子柴亮真のリーダーシップの下で、傭兵団【紅獅子】が生き残った経緯を語るリオネは、亮真の行動が無謀に思えたと述べている。
しかし、亮真が大公爵にまで上り詰めるとは予想外だったとも語る。
リオネとボルツはその成長を楽しみにしており、彼の期待に応えようと決意している。
二人は遠征軍の旗を掲げ、ザルーダ王国への行軍を始める。
一方、物資を管理するシモーヌは、亮真の微かな不安を察しており、重装歩兵を遠征軍から外した亮真の決断について話し合っている。
この戦いで御子柴大公家の兵士たちは、高い戦力を誇りながらも、オルトメア帝国の大軍との戦いに直面している。
御子柴大公家は一般兵士にも高品質な鎧兜を支給しており、これは通常騎士階級や貴族階級が使用するものに匹敵する。
これは体型に合わせたセミオーダーに近い水準であり、効率的で安全な装備となっている。
大地世界の多くでは、徴兵された平民に高価な武具を与えることが無駄と考える人が多いが、亮真はその考えとは異なり、兵士の命を守るために必要な投資を惜しまない。
彼の政策は、兵士一人一人の能力を高め、教育と訓練に投じる時間と資金が戦勝につながるという信念に基づいている。
実際、彼の戦略は多くの戦での勝利を証明している。
シモーヌと亮真の間には、長い付き合いから来る強い信頼関係があり、お互いの不安を理解し合っている。
二人の関係は戦友としての絆が強く、それは長い共同作業から育まれたものである。
亮真は、シモーヌ・クリストフを戦友と認識しているが、シモーヌ自身は、戦場に立たず安全な後方で支援に徹しているため、罪悪感を抱いている。
亮真は、彼女が戦場で命を懸けて戦うわけではなく、彼女の本領は商取引の場にあると理解している。
彼はシモーヌが戦場に出ることを望まず、彼女が最も力を発揮する場所を後方支援と認識している。
しかし、万が一の事態に備え、護身術の訓練の価値を考慮しているが、それによって亮真の責任が増す可能性がある。
亮真は、シモーヌが戦場に立つことはないと強調しながらも、彼女の役割の重要性を評価している。
戦場での役割には適材適所があり、シモーヌには商売の才能があるため、無理に戦場に出す必要はない。
亮真は、彼女が自分の位置で最大限に貢献できることを望んでいるが、同時に自己防衛のスキルを身につけさせることにも一定の価値を見いだしている。
第三章 暴風の憂鬱
エクレシア・マリネールは、ミスト王国の王城の一室で夜遅くまで報告書を見ており、国の問題に対処している状況である。
食事も取れずに作業に没頭している彼女は、王国の軍事を担当する三人の将軍の一人であり、特に忙しい。ザルーダ王国への遠征軍の編成やブリタニアとタルージャの連合軍の進攻に対応する必要があり、他の二人の将軍、カサンドラ・ヘルナーとアレクシス・デュランはそれぞれ事情があるため彼女の負担が増している。
カサンドラはミスト海軍の指揮を担当しており、アレクシスは病気療養で引退同然の状態である。
エクレシアは、状況が緊急であるため、自分が率先して対処するしかなく、精神的、肉体的に限界に近づいている。
あまりの疲労で視界もぼやけ始め、食事もままならないが、一人であることを感謝しながら、ようやく食事に手をつける。
エクレシアの立場からすると、食事のマナーを気にする余裕もなく、素早く食べることでほっと一息つくのである。
エクレシア・マリネールは、王都エンデシアにおいて厳しい書類仕事に取り組んでいた。
紙の束を消化し終えた彼女は、兵糧の編成に関する手間取りと内部の主導権争いによるストレスで、苛立ちを感じていた。
エクレシアは彼女自身の力量に疑問を抱きつつも、来訪する亮真率いる四万の精兵を待つ準備を整えていた。
亮真はエンデシアに到着後、エクレシアと再会し、ジェルムクの戦況について話し合った。
ジェルムクは敵軍の厳しい包囲を受けていたが、陥落していないことが確認され、エクレシアと亮真は今後の行動について意見を交わした。その間、ジェルムク周辺の村々は敵軍に略奪され、大きな被害を受けていた。
エクレシアは、戦後の復旧資金の確保を始める必要があると話すが、その努力もジェルムクを守りきれなければ意味がないと認識している。
また、南部諸王国の兵士たちは荒々しい行動が多く、その背景には貧困があると亮真は指摘する。
略奪行為は古代から現代に至るまで戦において一般的であり、戦争経済の一部として機能している。
兵士たちは戦争を通じて直接的な利益を求めることが多く、徴兵された兵士たちには正規の給料が支払われることは少ない。
このような状況は、兵士たちの不満を抱かせ、場合によっては反乱につながる危険もある。
兵士たちが略奪を行うことは、短期的には士気の維持につながるが、占領後の統治を難しくするため、戦略的には悪手である。
しかし、経済的に困窮している南部諸王国では、略奪が生存手段となっている現実がある。
南部諸王国が貧しい土地であるが、森林地帯を開墾することで状況は変わる可能性がある。
また、オルトメア帝国が南部を占領すれば、海上貿易の拠点として利用でき、その国力は増大するだろう。
しかし、オルトメア帝国の侵攻は、キルタンティア皇国やエルネスグーラ王国が介入することにより撤退に追い込まれた。
このように、南部諸王国は大国間のパワーバランスによって独立を保っている。
南部諸王国の民は、森林地帯での狩猟生活を通じて戦闘能力を磨き、支配から自由でいるが、彼らは国家構成の枠組みには当てはまらない。
この地域の人々は部族的な結束を保ちつつ、他の国々とは一定の距離を置いており、外征には基本的に参加しない。
亮真は、南部諸王国の侵攻を食い止めてきた南部の貴族たちが主力となるべきであるという主張には理解を示しているが、彼らが援軍の編制を遅らせている真の理由を感じ取っている。
彼らは自らの保身のために戦場でのリスクを避けたいと考えており、金銭を提供することで他者に危険な仕事を押し付けようとしている。
亮真はこの状況に深い虚しさを感じており、どう対処するかを考えているが、既に緊急を要する状況であるため、時間をかけて貴族を説得する余裕はない。
彼は単独で援軍に向かうという危険な策を考えており、これがミスト王国とローゼリア王国の国交に亀裂を生じさせるリスクを伴う可能性もある。
エクレシアは亮真の提案に躊躇したが、最終的には彼の策を受け入れ、ミスト王国の苦境を救うために協力することを決める。
第四章 牙を剥く双頭の蛇
ジェルムクの城塞都市を囲む野営地には、兵士たちが整然と行進し、彼らの槍が陽光に反射していた。
この野営地は、城門を塞ぐように設置され、城内からの逃亡を防ぐ壁として機能している。
ブリタニアとタルージャの連合軍は、六万の兵力で城塞都市を包囲しているが、完全な封鎖は現実的ではない。
連合軍は配置に穴があることを理解しており、それを補うための対策を実施していた。
ミスト王国内の経済格差に起因する貴族間の対立が援軍の遅延の一因となっており、ローゼリア王国からの援軍も進路をとっていた。
連合軍は、ジェルムクを餌として大規模な野戦に持ち込むことを狙っていた。
一方で、御子柴亮真は、四万の兵を率いて神速の行軍を実施し、想定外の速さでジェルムクに向かっていた。
彼の装備は黒エルフ族の付与法術師によって作成されたもので、兵士たちの疲労を大幅に軽減していた。
これにより、連合軍の想定を裏切る可能性があった。
亮真は戦略を練り直し、雨が降る中、敵に不意をつける計画を立てていた。戦闘前の精神統一を行いながら、彼は次なる動きに備えていた。
亮真は雨の中で大博打を行う覚悟を決め、歴史上の英雄たちのような奇襲を目指していた。
彼は自分を過去の英雄たちと同等に見てはいないが、彼らの話は彼の人生の基盤となっている。
戦争の結果は彼の肩にかかっており、彼はその重責を自覚していた。
そして、彼は自らの武器である鬼哭を抜き、その鋭い意志を示しながら、マルフィスト姉妹と共に戦いに挑むことを誓った。
この瞬間、兵士たちも彼の号令に応じて戦いの準備を整え、敵へと向かって進んだ。
亮真はポーカーでストレートフラッシュという非常に強い役を完成させたが、そのためにイカサマを疑われた。
疑惑の声が上がる中、亮真はその非難を受け、彼の信用が問われた。その状況は戦場のストレスが高まる中でさらに緊張を高め、彼の立場を危うくした。
しかし、突然の敵襲が発生し、戦闘が始まったため、その疑惑は一時的に背後に置かれた。
戦闘中、亮真は鬼哭を使って敵を圧倒し、大量の敵を倒したが、その力の制御には不満を感じていた。
亮真は鬼哭の力が自分の意志で完全に制御できないことに苦悩し、それがただの暴力であることに疑問を持ち始めた。
その後、鬼哭からの力の流入が止まり、亮真は再び普通の状態に戻ったが、彼は戦の指揮を執る上で、その力の喪失をどこか安堵していた。
亮真が考えた戦術では、自分が敵を単独で殲滅するのは非効率的であり、味方の損失を増やすリスクを伴うため、望ましくないとされている。
戦争の目的は効率的に敵を排除することにある。
その戦略の一環として、亮真は敵の北陣を奇襲し、混乱を招いた後、敵の援軍に対する追撃も計画している。
戦況は亮真の指揮下で急速に進み、勝利が確定するに至った。
ジェルムクの包囲が解かれ、亮真はその勝利を受け入れるが、敵の撤退が予想より遅れた理由については疑問を抱いている。
それでも、彼は初戦の勝利を喜ぶべきだと自分に言い聞かせ、勝利を祝う。この一連の出来事は、ジェルムクの長い籠城戦の終結を意味している。
ブルーノとラウルは亮真が率いる敵軍に一方的に打ち破られたことに対して深い失望と怒りを感じている。
彼らは亮真が短期間でジェルムクに到着したことに驚き、その進軍の速さに裏をかかれたと感じている。
亮真の戦術眼を認めつつも、彼が国王との謁見を省略した行動を外交的欠礼と捉えているが、国家間の体面を無視できない事情も理解している。
ブルーノは自らの戦術的誤算を認め、次の機会には復讐を誓っている。
その言葉は、今後の戦略を見据えたものであり、兵士たちには見せられない部分もあるが、戦いの全体的な展開を重視している。
エピローグ
ミスト王国の首都エンデシアでは、城塞都市ジェルムクを包囲していたブリタニアとタルージャの連合軍を御子柴大公軍が破り、市民は大いに喜び祝福している。
彼らの反応は自然であり、祝賀の様子が街中に溢れている。
一方で、国王フィリップは王宮内で複雑な心境にある。
彼は御子柴亮真の手腕を認めつつも、その外交的欠礼による国内の反応や今後の対応に頭を悩ませている。
フィリップは亮真の行動を必要な緊急措置として理解しているが、それを全ての人が同様に理解するわけではなく、特に貴族層からの反応が問題となりそうだ。
王国内の高貴な者たちは伝統と礼節を重んじるため、亮真の行動がどのように評価されるかが重要な焦点となっている。
ミスト王国の国王フィリップが執務室で手紙を受け取る場面が描かれている。
手紙は病気療養を理由に隠遁していたアレクシス・デュランからのものであり、彼の軍務復帰を告げる内容が含まれている。
この手紙を宰相シュピーゲルが直接届けるほどの重要性があった。
フィリップは手紙の内容に驚愕し、シュピーゲルに内容を確認する。
シュピーゲルは自らがデュランに依頼して書かせたことを認める。
デュランの復帰はフィリップにとって非常に重大な吉報であるが、同時に手紙には未知の悪意が隠されており、それが国をさらなる危機に導く可能性があると示唆されている。
ミスト王国の国王フィリップが執務室で手紙を受け取る場面が描かれている。
手紙は病気療養を理由に隠遁していたアレクシス・デュランからのものであり、彼の軍務復帰を告げる内容が含まれている。
この手紙を宰相シュピーゲルが直接届けるほどの重要性があった。
フィリップは手紙の内容に驚愕し、シュピーゲルに内容を確認する。
シュピーゲルは自らがデュランに依頼して書かせたことを認める。
デュランの復帰はフィリップにとって非常に重大な吉報であるが、同時に手紙には未知の悪意が隠されており、それが国をさらなる危機に導く可能性があると示唆されている。
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