小説「ウォルテニア戦記 XXVII (27)」 イラクリオン再び 感想・ネタバレ

小説「ウォルテニア戦記 XXVII (27)」 イラクリオン再び 感想・ネタバレ

どんな本?

学校の屋上で弁当を食べていた高校生、御子柴亮真が突然異世界に召喚される。
しかし、彼は普通の高校生ではなかった。
召喚した魔術師を殺害し、逃亡中に双子姉妹を仲間に加え、大国であるオルトメア帝国から逃れる。

安全だと思ったところで傭兵活動を始めると、ローゼリア王国の後継者争いに巻き込まれ。
その争いに勝利し、ルピスを女王として即位させるも、亮真は自由になるどころか、住民がいない荒廃したウォルテニア半島を領地として与えられ、貴族にされてしまう。

彼は歳若い奴隷を購入し、彼らに武術を教えて兵士に育成し、半島の貴重な魔獣を狩り資金を稼ぎ。
また、海賊の巣窟を攻撃し、そこで奴隷にされていたダークエルフと知り合い、彼らの特有の技術で魔剣や魔法防具を量産し、兵士たちの装備を強化に成功する。
さらに、ダークエルフの特性を持つ薬で重傷者も迅速に回復させ、損耗率を大幅に減らすことにも成功。

そんな兵士たちを率いてザルーダ王国に援軍を送り、オルトメア帝国の侵攻を食い止め。
辺境伯と北部十家との戦争にも勝利するが、貴族院での審問中に死刑が決定される前に、亮真は貴族院のメンバー全員を殺害し、自分の領地へ逃亡。

反乱を討伐するためにルピス女王が率いる20万の大軍がウォルテニア半島に攻め込むが、亮真は別動隊で貴族の領地を荒らし、後方を撹乱し、20万の軍を瓦解させる。
退却を始めたルピス女王の軍を追撃し、王都を包囲する。王都内で反乱を誘導し、首脳陣を殺害して王都を陥落させ、新女王ラディーネを擁立。

亮真は大公となるが、国の実権を握ることはせず、ウォルテニア半島の開拓に専念することを決意するのだが、、、

読んだ本のタイトル

ウォルテニア戦記XXVII (Record of Wortenia War)
著者:保利亮太
イラスト:bob

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あらすじ・内容

“ウォルテニア軍に迫る難敵! 亮真の銘刀「鬼哭」が唸る!!”

ブリタニア王国、タルージャ王国との泥沼の戦いに引きずり込まれ ようとする、御子柴大公ひきいるローゼリア王国軍。 優勢に戦いを進める亮真だったが、敵軍として姿を現したのはタル ージャのさらに南方からやって来た「マニバドラの民」だった。 これまで見たこともない彼らの戦術に動揺する亮真の軍。果たして反撃の術(すべ)はあるのか?

ウォルテニア戦記XXVII

【プロローグ】
ミスト王国は西方大陸東部に位置する商業国家であり、首都エンデシアは経済力が非常に強く、多くの商人や冒険者が集まる。王国軍は十五万人を超え、ジェルムクに向けて進軍中である。アレクシス・デュラン将軍は兵士たちの士気を高めるため、忠誠を誓う貴族たちを適切に扱いながら、物資や糧食の管理に苦労している。国王フィリップの死後、新国王オーウェン・シュピーゲルの支持を固めるために策略に携わり、進軍が突如停止する事態に直面し、その原因を探るべく側近が前方へと向かう。

【第一章】
ルブア平原で、戦象部隊が御子柴亮真の罠にかかり、壊滅する直前のシーンから始まる。この平原はミスト王国とブリタニア王国の戦場となり、激しい戦いが繰り広げられている。ブリタニアとタルージャの兵士たちは、御子柴亮真によるジェルムクの奇襲を受け屈辱を味わい、雪辱を果たすべく熱い士気で燃えている。ラーヒズヤという男が率いる特異な部隊は、布で顔を覆い、片刃の湾曲した刀を装備しており、その部隊は内部の対立と外敵の脅威に直面している。

【第二章】
御子柴亮真が立案した戦術が成功し、敵の副将ラウル・ジョルダーノを討ち取ることで敵軍の士気を大きく削ぐ。この情報を広めて連合軍の士気をさらに下げる計画を立て、通信機器「ウェザリアの囁き」を使用して情報を伝える。亮真は勝利を受け、戦況をさらに有利に進めるための次の手段を模索する。

【第三章】
ブルーノ・アッカルドはルブア平原の朝に目覚め、徹夜で書類に取り組んだ疲れから一時の休息を取る。彼はブリタニア王国とタルージャ王国の未来を左右する重要な交渉の準備に追われており、自らの責務を重く感じつつも、連合軍の士気回復のために酒を許可する決断を下す。

【第四章】
亮真はイラクリオンで瞑想し、戦についての分析と次の戦略を模索している。ルブア平原の戦いを前哨戦とみなし、アレクシス・デュランの策略を見破り、ミスト王国軍を巧みに撤退させたことを英断と評価する。彼は情報収集の強化を指示し、今後の対策を練り直している。

【エピローグ】
タルージャ王国の国境近くの港町バーミンゲンで、須藤秋武が楠田智弘に高級ワイン「スクリーミング・イーグル」を味わわせ、彼の今後の動向について話す。須藤は楠田の力量と忠誠心を試すためにこの状況を設け、楠田は組織内での役割を再確認し、今後の展開を期待する。

感想

御子柴亮真を抹殺せんと攻めて来た約30万の軍勢の包囲網が出来る前に、ルブア平原でタルージャ王国の軍が頼りにしていた戦象部隊をマルフィスト姉妹の魔法で壊滅させ。
タルージャ王国から軍を率いている猛将ラウルのいる本陣までクリスが突撃して、ラウルを討ち取った。
さらに亮真は、もう1人の将軍、ブルーノを討ち取ろうとしたが手傷を負わせるだけで終わる。

戦況は御子柴軍の有利だったが、戦場の勝利に固執せずに亮真は軍をミスト王国からローゼリア王国へ撤退させ。
自身が有名になったイラクリオンに留まる。
危機は凌げたが、戦略的に不利なのは変わりない。
ローゼリア国王、ラディーネはエレナと相談して、ミスト王国からローゼリア王国に撤退して来た亮真の全権委任は解かずに維持する事を決定。

危機的な状態である亮真は、起死回生の一手を思いついたらしく、その策謀の準備を始める。

その一手はかつて飛鳥を保護してくれていた聖騎士達の名前も上がっており。
この策略に現在保護下に置いてる飛鳥に戦を手伝わせる事に亮真は戸惑いを感じでもいた。

そんな中で、戦象部隊を率いていた「マニバドラの民」は普通の人ではなく亜人らしく、彼等を差別しない亮真は彼等を自身の陣営に加えたいと思っており、捕虜にした族長筋の者が目覚めるのを待っていた。

さらに、今回の御子柴亮真抹殺を企てた組織の楠田は秘密の宿屋で上役の須藤に今回の作戦の採点をされていた。
点数は及第点。
抹殺対象だった御子柴亮真を逃しはしたが、採点者の須藤自身も亮真の撤退のタイミングが読めなかったと楠田をフォローしていた。

とりあえず一息ついて、自身の有利を確認していた須藤と楠田だったが、亮真の策略で自身が確信している有利が覆される事を彼等は知らない。
いや、読者も知らんからな。
どんな事をするんだろう?
続きが大変気になる。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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フィクション あいうえお順

備忘録

プロローグ

ミスト王国は西方大陸東部に位置する商業国家であり、交易都市フルザードを中心に他の大陸との交易にも力を入れている。
王国の首都エンデシアはその経済力に相応しい規模と頑強さを誇っており、多くの商人や冒険者が集まる。
王国軍は十五万人以上に膨れ上がり、城塞都市ジェルムクへの進軍中である。
軍勢を率いるのはアレクシス・デュラン将軍で、彼はミスト王国軍の強大な力を象徴する存在だ。
デュラン将軍は、兵士たちの士気を高めるために、忠誠を誓う貴族たちを適切に扱いつつ、軍の物資や糧食の管理に苦心している。
また、国王フィリップの死後、新国王オーウェン・シュピーゲルの支持を固めるための様々な策略にも携わっている。
デュラン将軍の前には、進軍が突如停止する事態も発生し、その原因を探るべく側近が前方へと向かう。

ミスト王国は豊かな商業国であり、特に首都エンデシアは強大な経済力を誇る。
軍事面では、ミスト王国軍は十五万を超える兵力に膨れ上がり、ジェルムクに向け南下している。
その中心にいるのがアレクシス・デュラン将軍である。
彼は軍を率いるが、突如として行軍が停止する。
状況を把握しようと側近のデニスが先頭へ調査に向かう。

デュラン将軍は軍の留まりの原因を探る中で、南から北へと移動する大規模な民衆の存在を知る。
この民衆はジェルムクやその周辺の住民である可能性が高く、彼らは三十万を超える可能性があるとの報告を受ける。
この予期せぬ大群により、ミスト王国軍の進行は大きな障害を迎える。

デュランはこの巨大な難民群とどう向き合うかを決めなければならず、彼の計画や指導力が試されることとなる。
デュランは難民を保護する方法を模索しながらも、彼らを適切に誘導し、ミスト王国軍との衝突を避けるための措置を講じる必要がある。
この状況はデュランにとって未曽有の挑戦であり、彼の決断が王国の未来を左右することになる。

元の野営地を変更したデュランは、その判断に満足している。
デュランは、数十万規模の集団がミスト王国軍とぶつかりかねない危機を回避した部下の独断と決断を評価している。
事態がもっと悪化する前に、彼の部下が行軍を停止したことで、大惨事が起こる可能性があったがそれが防がれた。

デュランは、絶対的な規律も重要だが、それに固執しすぎて損害を出すことは避けるべきだと考えている。
このバランスの取り方が、リーダーの資質を試すものだと感じている。
デュランは、この非常事態で臨機応変に対応した部下を側近として取り立てることを考えており、彼の周囲には懲罰の形を取って説明するつもりである。

デュランが直面した事態は、ジェルムク周辺の住民達がミスト王国軍の進軍を妨げるために退去させられたことに関連している。
彼の敵、御子柴亮真はデュランの狙いを見抜き、故意に住民達を避難させてミスト王国軍の進軍を遅らせたのだ。
デュランは御子柴の策略を理解し、彼の知略を評価しているが、同時に対決することにも興味を示している。

デュランの複雑な感情や策略的な判断が、今後のミスト王国軍の動向やジェルムクの戦いの結果に大きく影響を与えるだろう。
彼の知略と部下への信頼が、国の未来を左右する鍵となる。

第一章  誇りと代償

戦象部隊が御子柴亮真の罠に嵌り壊滅する直前の時間にさかのぼると、ルブア平原が登場する。
この平原は、ミスト王国とブリタニア王国の戦闘の舞台であり、多くの戦いが繰り広げられてきた場所である。
ブリタニアとタルージャの兵士達は、御子柴亮真によるジェルムクの奇襲を受けて屈辱を味わい、雪辱を果たすべく熱い士気で燃えている。

しかし、その中でも特異な存在感を放つ一団がいる。
彼等は通常の兵士とは異なり、軽装備で動きやすさを優先し、西方大陸では珍しい片刃の湾曲した刀を装備している。
これは彼らが集団戦ではなく、機動性と個人の技量を重視する戦い方を想定していることを示している。

この部隊の戦士達は、布で顔を覆い、表情を隠している。
彼らの異質な装いは、他の兵士達から異様な視線を集めているが、彼らの実力は歴戦の戦士としての証であり、簡素な装備を持つ彼らを侮る者は、その鋭い眼光と張りつめた空気によって考えを改めさせられるだろう。
彼らは、その部隊を率いるラーヒズヤという立場の男によって統率されている。
ラーヒズヤは部族の間に亀裂が生じたことを認めつつも、彼の道を諦めるつもりはない。
彼は部族の未来を守るためにはどんな代償も払う覚悟でいる。

この部隊は、内部の対立と外敵の脅威の両方に直面している。
ラーヒズヤは部族内の対立を外部に漏らすことなく、状況を管理しようとしているが、それは非常に困難な状況である。
彼らの存在が南部諸王国にとっては病巣のようなものであり、排除されるリスクが高いため、彼らは慎重に行動している。

御子柴亮真の仕掛けた罠にはまり、敗北を喫した戦象部隊の指揮を執るハリシャは、激しい舌戦を繰り広げている。
ハリシャはマニバドラ部族の族長の娘であり、その部族を率いる将である。
彼女は、自分たちの部族がタルージャ王国と協力して戦うことに強い反発を示している。
彼女は部族の誇りを重んじ、タルージャ王国のような他国と協力することに疑問を持っている。

対照的に、ラーヒズヤはタルージャ王国との契約を支持しており、ハリシャの意見を黙殺している。
ラーヒズヤは、契約によって得られた食料や物資が部族にとって必要不可欠であり、それを契約破棄によって返却することの問題を指摘している。
彼は部族の実利を優先し、部族の誇りよりも現実的な解決策を求めている。

ハリシャは部族の伝統と誇りを守ることにこだわり、ラーヒズヤの現実的なアプローチに強く反発しているが、ラーヒズヤは部族の長老たちとの合意に基づいて行動していると主張している。
この対立は、部族内の意見の不一致を浮き彫りにし、部族の将来の方向性に対する深い分裂を示している。

ラーヒズヤは父親であるドゥルーヴと共に部族内での権力を求め、部族の繁栄を目指した。
彼は権力の亡者と見られがちだが、実際は部族のために働いており、権力は部族の利益を守る手段であった。
一方、ハリシャは部族の伝統と誇りを重視し、ラーヒズヤの現実的なアプローチに疑問を持っている。
彼女は部族の進むべき道について激しく反対し、理想を追求した。

ハリシャは戦象部隊を率い、敵に対する効果的な先鋒として戦いたいと提案する。
ラーヒズヤはその提案に同意し、連合軍の総指揮官に彼女の意志を伝える。
しかし、ハリシャの部隊は御子柴亮真の策略によって壊滅し、彼女は部族の参戦が間違いであったと後悔する。

最終的に、ハリシャは戦いの中で自らの選択を深く悔いるが、彼女の意識は戦いの最中に失われてしまう。

タルージャ王国の猛将ラウル・ジョルダーノは、戦場で呆然としていた。
彼の率いる戦象部隊が亮真の策によって壊滅し、彼の脳には混乱が拡がっていた。
その戦象部隊は本来、敵に対する突撃力が強い鋒矢の陣で利用されるはずだった。
しかし、突如として戦象部隊が壊滅し、連合軍の計画は狂い、ラウルは心理的に大きな打撃を受けた。

ラウルの率いる中軍は物理的な被害は少なかったが、心理的な影響は避けられず、部隊は大きな混乱に陥った。
その中で、敵軍は突然の速さで中軍の側面から攻撃を加え、ラウルの部隊はさらなる圧力にさらされた。
この攻撃により、ラウルの戦意と軍の組織は崩れ、敵の槍の一撃によって彼の命が危険にさらされた。
しかし、護衛の犠牲によって一時的に命を救われたラウルも、最終的には敵の重騎兵隊による追撃により、戦況は完全に敵の支配下に落ちた。

クリス・モーガンとラウル・ジョルダーノが一騎討ちを行った。
戦場はすでに御子柴大公軍に制圧されており、ラウルが生き残る可能性はないと考えられたが、クリスはラウルの要求に応じて一騎討ちを受け入れた。
二人は槍術を駆使して対峙し、最終的にクリスの放った一撃がラウルの命を絶った。これにより、ルブア平原の戦いが最終局面へと突入した。

第二章  疑心という名の毒

御子柴亮真は、自身が立案した戦術が成功していると満足げに認識している。
オルグレン子爵とモーガン卿が連携して敵の副将ラウル・ジョルダーノを討ち取り、敵の戦意を大きく削いだとの報告を受けた。
亮真はこの情報を広めて連合軍の士気をさらに下げることを計画し、通信機器「ウェザリアの囁き」を使用して情報を伝えることで、伝令役が敵に襲われるリスクを避けている。
現代の通信機器に慣れ親しんだ亮真にとっては、ウェザリアの囁きの機能には改良の余地があると感じているが、現状では中継基地を経由しての情報伝達に依存している。
亮真はこの勝利を受けて、戦況をさらに有利に進めるための次の手段を模索している。

御子柴亮真が敵の将ラウル・ジョルダーノを討ち取るという戦術は、敵軍の士気を大きく下げる目的があった。
戦争では、心理戦が非常に重要であり、敵の戦意を奪うことが勝利への鍵となる。
亮真は、戦闘において敵の心を攻めることが究極の目的であると認識している。
また、クリス・モーガンやレナード・オルグレン子爵の実力を評価し、彼らの活躍に期待を寄せている。
彼の計画と行動は、敵軍の心理を掌握し、自軍の士気を高めることに重点を置いている。

亮真とその軍隊は、連合軍の中軍を攻撃し、敵軍の士気を低下させるために、一連の突撃を開始した。
亮真は生気を駆使しながら、彼の軍隊を戦闘に導いた。
一方、ブルーノ・アッカルドは、ラウル・ジョルダーノが亮真の部下クリス・モーガンに討ち取られたという報告を受け、驚愕と混乱に陥る。
ブルーノは、ラウルが討ち取られたことが自軍の士気にどれほどの影響を与えるかを深く憂慮し、戦況の逆転が困難になると感じた。
亮真の軍隊は、連合軍を圧倒し、敵兵を蹂躙し続けるが、ブルーノは自らが進める戦略に疑問を持ち始める。
この局面で、彼は自軍が極めて不利な状況にあることを認識し、戦場での意思決定に迫られる。

亮真とその軍隊が連合軍を襲撃し、彼らの本陣に向かって突撃を開始する。
亮真の軍は敵を恐怖に陥れるが、ブルーノ・アッカルドは最後の瞬間まで戦い抜く。
亮真の鋭い攻撃がブルーノの武器を破壊するが、ブルーノは直ちに反撃し、亮真との一騎討ちが繰り広げられる。
戦いの最中、連合軍の兵士たちがブルーノを守り、亮真を取り囲む。これにより、亮真は撤退を決断する。
撤退時に亮真はブルーノを賞賛することで、ブリタニアとタルージャの間にさらなる亀裂を生じさせる狙いがあった。
その後、亮真はエクレシアとともに戦場を後にし、次の行動を計画する。
亮真はローゼリア王国の城塞都市イラクリオンに向かう意向を示し、ジェルムクでマルフィスト姉妹と再会する予定であるが、未知の賓客が含まれている可能性に気づいていない。

第三章  戦の残り火

ブルーノ・アッカルドがルブア平原の朝に目覚め、書類作業に集中していた疲れから一時の休息を取る場面である。
彼は徹夜で書類に取り組んでいたため、目の疲労や体の疲れを感じている。
疲労の中でも、ブルーノは異常な集中力を発揮し、極限状態で作業を行っていたことが示されている。
ブルーノの右腕には以前の戦いで負った傷があり、表面的には治癒しているが、時折痛みがあることに彼は違和感を感じている。
ブルーノは自身が受けた特別扱いについて複雑な感情を抱いており、戦場での兵士たちの苦痛を思うと、自分の治療に貴重な秘薬を使用したことに対して申し訳なさを感じている。
ブルーノは自らの責務を重く感じながらも、連合軍の士気回復のために酒を許可する決断を下しており、これが兵士たちにとっての恩恵となることを望んでいる。

ブルーノ・アッカルドは、ブリタニア王国とタルージャ王国の未来を左右する重要な交渉の準備に追われている。
彼は兵士たちの士気を保つことが重要だと認識しており、兵士たちの戦意を高めるために虚構を用いることを正当化している。
彼は国家間の合意に基づく行動を迫られており、南部諸王国において名高いアレクシス・デュランとの間で正式な調印を控えているが、その合意の背後にある意図については不安を抱えている。
特に、ミスト王国がなぜブリタニア王国とタルージャ王国と協力するのか、その理由が彼には不透明である。
ブルーノはこれから訪れるデュランとの会談に向けて準備を進め、亡き戦友ラウル・ジョルダーノの支援があればと願っているが、その希望も現実的ではないと自覚している。
彼は、ブリタニア王国の指導者として、タルージャ王国との複雑な関係をどう管理するかを慎重に考えながら行動している。

ローゼリア王国の国王、ラディーネ・ローゼリアヌスは、エレナ・シュタイナーより衝撃的な書状を受け取り、その内容に深い動揺を覚える。
書状は、御子柴亮真がミスト王国から撤退したことを告げるもので、ラディーネはこれを戦の敗北と捉えかけるが、エレナは、撤退が戦術的な選択であったと説明する。
実際に御子柴亮真の軍は敵の副将を討ち取るなどの戦果を挙げており、撤退は敗北とは言えない状況だった。
ラディーネはこれを受けて、御子柴亮真に全権を委ねる方針を固める。
エレナはラディーネの決断を支持し、国王としての成熟を認める。

第四章  次なる一手

青白い月明りの下、亮真は修練室で瞑想を続けている。
彼は戦についての分析と次の戦略を模索していたが、明確な答えを見つけるのは困難であることを理解している。
ルブア平原の戦いから十日が経ち、亮真は城塞都市イラクリオンにいる。
この地はローゼリア王国南部の要であり、彼にとって重要な拠点だ。
しかし、この地には彼の過去と因縁があり、彼が王国のために身を削っているにも関わらず、多くの貴族からは逆賊や成り上がり者と見なされている。
彼の立場は複雑であり、ローゼリア王国の大半の貴族との関係は緊張している。
亮真は自らの軍を率い、敵意を持つ貴族たちが多いイラクリオンに入城しているが、彼はこの難局をどうにか乗り越えなければならない。

亮真はイラクリオンの現状を分析し、エミディオの代官としての地位を有効活用して休息を取ることができた。
ルブア平原の戦いを前哨戦とみなし、今後の対策を練り直している。
その中で、アレクシス・デュランの策略を見破り、ミスト王国軍を巧みに撤退させたことは英断であった。
また、ブリタニアとタルージャの連合軍を大いに損傷させ、ブルーノ・アッカルドの威信を低下させたが、完全な勝利には至らなかった。
フィリップ国王の急死とオーウェン・シュピーゲルの玉座継承は、ミスト王国内の政変と見なされ、亮真は慎重な立場を取ることを決めた。
これにより、戦術的には引き分けとなったが、戦略的には亮真の敗北とみなされる可能性がある。
しかし、ラディーネ女王とエレナ・シュタイナーからの支持は継続されており、亮真に対する貴族たちの動揺も見られないため、状況は安定している。亮真はこれを基に次の一手を慎重に検討している。

亮真はマルフィスト姉妹、エクレシア、クリス、レナードらを含む御子柴大公家の主要幹部を執務室に集め、今後の具体的な対応策を協議した。
議論の中心は、ミスト王国への再度の遠征の可否であり、エクレシアとレナードは、ミスト王国内の情勢が不透明であるため、すぐに動くべきではないと主張した。
一方で、クリスはイラクリオンで補給後に再遠征が可能であると提案したが、亮真はこの意見を慎重に考慮し、ミスト王国内の不透明な状況と第三勢力の介入可能性を警戒した。
亮真は情報収集の強化を指示し、現在の組織だけでは負荷が高すぎると懸念を示し、効率的な情報網の構築が必要であると結論づけた。
また、会議の終盤でサーラがザルーダ王国への救援に注力するべきだと提案し、これが現状を打破する上で最も的確な提案であると認められた。

亮真は、ローゼリア王国に残るエレナ・シュタイナーの防衛を信頼しながらも、アレクシス・デュラン将軍の脅威に慎重な姿勢を示している。
ザルーダ王国への援軍を派遣することが本来の目的であるが、デュラン将軍の意図が不明なため、その行動が予測不可能であることが問題となっている。
また、エルネスグーラ王国の動向も不確実で、物資の高騰と砂嵐の多発が戦略的な行動を制限しており、そのため参戦が難しい状況である。
亮真は、エルネスグーラ王国の参戦を当てにすることの危険性を認識しており、代わりの戦略を検討している。
この複雑な情勢の中で、最終的な戦略は未だに決定されていない。

亮真はエクレシアとレナードとの会話で、彼が持つ二枚の重要な札について考察している。
一枚目の札は亮真自身が仕込んだものであり、もう一枚は運命によって手に入れた札だ。
これらの札は状況を変える可能性を持つが、使用するタイミングが難しい。
特にブルーノ・アッカルドに関連する札は、直ちに行動方針を決定できる可能性を持っている。
亮真はブルーノを直接殺すことを選ばず、彼の周囲に疑念を植え付けることで敵対勢力内部に亀裂を生じさせる戦略を考えている。
この謀略が成功すれば、敵の戦力を大きく削減できるだろう。
しかし、そのためには誰がブリタニアにブルーノに対する謀略を進めるかが問題となる。
亮真は適任者を見つけることが難しいと感じているが、最終的にはロドニー・マッケンナとメネア・ノールバーグというタルージャ王国出身の二人を考えている。
また、彼らが協力してくれると信じている。
亮真はまた、マニバドラ部族とも同盟を結び、その経済的および軍事的な利益を活用しようと計画している。

エピローグ

タルージャ王国の国境近くにあるブリタニア王国の港町バーミンゲンは、西方大陸南部の重要な海上貿易の補給港であり、経済と軍事の要衝である。
この港町は、交易船の船員たちが一時の安らぎを求め、様々な娯楽に興じている。しかし、バーミンゲンの裏路地にある宿屋「海竜亭」にはほとんど客が訪れない。
この宿屋は組織が所有しており、組織の幹部である須藤秋武が待つ場所でもある。
楠田智弘という名前の男がこの宿屋を訪れており、楠田は組織の失敗に対する報告のために須藤を訪ねている。
彼は組織の切り札であるアレクシス・デュランを使った計画が失敗した罪人である。
楠田は重い足取りで宿屋の三階にある部屋へと向かい、そこで須藤に迎えられる。
部屋の内装は想像以上に豪華で、楠田はその状況に驚いている。
須藤は親しげに振る舞いながらも、楠田にとってはその態度が逆に恐ろしいものである。

バーミンゲンの港町にある宿屋で、須藤秋武は楠田智弘に高級ワイン「スクリーミング・イーグル」を味わわせる。
このワインはカリフォルニアで製造されるもので、年間生産量が非常に限られており、高価であることから入手が困難な一品である。
楠田はその味に感動し、自分の語彙力の拙さを感じるほどだった。
須藤は楠田にこれが「スクリーミング・イーグル」であることを明かし、楠田はその名前を聞いても知らなかった。
須藤はそのワインの希少性と価値を楠田に説明し、彼がこれを味わえたことを幸運だと表現する。
その後、須藤は報告を聞く前に楠田とワインについて語り、楠田は自分の失敗に対する報告の重圧を感じていた。
須藤は楠田の力量と忠誠心を試すためにこの状況を設けていたことを明かし、試験官がいることを楠田に告げる。

楠田智弘が組織の幹部、須藤秋武と面会し、自身の評価を受ける場面である。
須藤は楠田に及第点を与え、ミスト王国を四国連合から切り離す戦略が成功したことを評価するが、完璧ではなかったため満点ではないと述べる。
楠田はその評価を受け入れつつも、自身の限界を認識している。
須藤は楠田の今後の動向についても語り、引き続きの監視と牽制を指示する。
二人は戦略についてさらに話し合い、可能な選択肢を検討する。
最終的に、楠田は組織内での役割を再確認し、須藤と共に今後の展開を期待する。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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