どんな本?
学校の屋上で弁当を食べようとしていたらいきなり異世界に召喚された高校生の御子柴亮真。
ただ彼はマトモじゃ無かった。
召喚した魔術師を殺し。
逃亡途中で双子姉妹を仲間にして大国の帝国から逃亡。
帝国から逃げれたと思ったら、ローゼリア王国の跡目争いに巻き込まれてしまう。
それにも勝利させて女王ルピスを誕生させ。
そのまま解放されると思ったら。
住民は皆無で、沿岸部に海賊がおり、強力な魔物が跋扈するウォルテニア半島を領地に与えられ貴族にされてしまう。
読んだ本のタイトル
#ウォルテニア戦記 IV
著者:保利亮太 氏
イラスト:bob 氏
あらすじ・内容
御子柴亮真の活躍によって勢いを増したルピス王女の陣営は、宿敵の一人であるアーレベルク将軍が立て篭もるイラクリオンの街へと駒を進めた。戦いはルピス陣営の必勝と思えたが、厳翁と咲夜をイラクリオンに潜入させた亮真は、敵陣営のきな臭さを感じ取る。そして、そのころ日本では新たな悲劇が――。ローゼリアの運命を変える亮真の一大決断がいま下される――!!
ウォルテニア戦記Ⅳ
感想
須藤って帝国の人じゃなかったか?
それが王国の王女に単独で会いに行く。
ミハイルという毒を王国に注入するために。。
ミハイルは命令違反して勝手に戦闘を起こしたのに、王女の側近だったお陰で命令違反は不問となり。
その結果、内乱の親玉を助命しある程度の地位も保証する事になってしまった。
実際そのせいで、王国には内乱を起こした貴族の多くが残り、変わろうとした国は中途半端に変わる事となり、内乱の火種は燻った状態。
そして、功労者に対して酷い仕打ちをして身内に甘い女王と評価されてしまう。
コレで内乱はおわったが諸悪の根源は残っており安心するにはは遠い状態。
そして、王女は女王となったが彼女は今回の内乱を鎮めた主人公が怖くなってしまった。
そして、当初の予定では内乱が終わったら国外に出て行く事になってたのだが、、、
それを反故にして主人公を貴族にしてしまう。
最初は騎士にしようとしたのだが、女王が側にいて欲しくないと思い王国で1番の難所と呼ばれるウォルテニア半島の領主にされてしまう。。
やっと、この本のタイトルのウォルテニアが出てきた。
そして、主人公の従姉弟がこちらの世界に召喚されてしまったようだ。。
同シリーズ
ウォルテニア戦記シリーズ
その他フィクション
備忘録
プロローグ
飛鳥の目に映る浩一郎の修練
飛鳥は夕暮れの庭先で、大伯父の御子柴浩一郎が二本の真剣を用いた修練に励む姿を目にした。悠然とした動きの中にも苛烈さが宿るその稽古は、見た目以上に身体と精神の双方へ大きな負荷を強いるものであった。浩一郎は孫の亮真が失踪して以来、稽古の時間を増やし、その内容も厳しさを増していた。飛鳥は、浩一郎がその悲しみや苦悩を押し殺しているかのような様子に、不安を抱かざるを得なかった。
飛鳥と浩一郎の関係性
飛鳥は幼少期からこの屋敷を訪れており、浩一郎との関係は単なる親族以上のものであった。飛鳥にとって浩一郎は実質的な祖父のような存在であり、彼に対する特別な愛情と尊敬を抱いていた。しかし、その親しい関係にもかかわらず、彼の心の内を真に理解しているかは自信が持てなかった。
御子柴家の生活と浩一郎の謎めいた姿
裕福な御子柴家の暮らしぶりは、贅沢とは無縁であった。多くの骨董品や日本刀が所蔵されているにもかかわらず、浩一郎は控えめに、世俗から離れた生活を送っていた。しかし、武術や知識への貪欲さ、そして日々の厳しい稽古は、ただの世捨て人のそれとは異なるものであった。飛鳥は、浩一郎の姿にどこか「臥薪嘗胆」のような覚悟を感じ取り、彼が何かしらの目的のために生きているのではないかと思い始めた。
警察への不自然な無関心と飛鳥の疑念
飛鳥は、亮真が失踪した際に浩一郎が警察へすぐに届け出なかったことを不可解に感じていた。普通であれば真っ先に警察を頼るのが自然だが、浩一郎はそれをせず、警察の動きに対しても無関心を装っていた。飛鳥には、まるで浩一郎が亮真の行方に関して何かを知っているかのように思われ、彼の態度には隠された真意があるのではないかと疑い始めた。
飛鳥の呼びかけ
飛鳥は、心に浮かんだ疑問を飲み込みながらも、警察の刑事が面会を求めていることを浩一郎に伝えた。その呼びかけは、浩一郎の内に隠された真実を引き出すための一歩となるかもしれなかったが、その結果は未知のままであった。
第一章 逃れきれない罪
刑事との対話
浩一郎は、汗を流し作務衣に着替えた後、刑事達が待つ客間へと向かった。礼儀正しく頭を下げて挨拶し、孫の失踪について質問を受けたが、終始冷静であった。その機械的ともいえる冷静さに、立花刑事は浩一郎に対する違和感を強め、過去の職務経験を通じて抱いた犯罪者の気配に似たものを感じた。
失踪事件への疑念
立花刑事は、亮真の失踪が家出ではないと考え、事件性を感じていた。学校に残された荷物、監視カメラに映らない姿、並外れた体格と鍛えられた拳の跡。これらが彼に一層の疑念を抱かせた。さらに御子柴家全体の生活態度も、不自然で謎めいていると感じていた。
亮真の異常な肉体と浩一郎の異質な存在感
亮真が並外れた鍛錬を積んでいた形跡を見た立花は、浩一郎も同様に意図的にその背景を隠しているのではないかと推察した。浩一郎の存在に、過去の犯罪者との面会で感じた異質さを思い出し、刑事としての経験が一層の警戒心を煽った。
浩一郎の過去と後悔
亮真と飛鳥の家族への想いが重くのしかかる浩一郎は、異世界での戦いで失われた仲間と罪の意識を抱え続けていた。息子夫婦が異世界に消える瞬間の悲鳴が彼の脳裏に焼きつき、亮真の失踪も自身の宿縁の代償であると確信していた。
飛鳥の消失と決断
飛鳥が突如異世界へと吸い込まれる穴に落ち、浩一郎もその姿を目にし、強い決意を胸に駆け寄った。残された愛刀を手にし、家族を守るため、浩一郎は再び戦いの場である異世界へと足を踏み入れた。彼の姿を見送るのは静かに輝く月のみであった。
第二章 思いがけない使者
須藤との邂逅
ルピス王女は、突如現れた須藤秋武という男に驚きを隠せなかった。彼は無遠慮な態度で王女に接し、立ち入った質問にも軽妙な調子で返答した。須藤はゲルハルト公爵の使者として恭順の意を示すために忍び込んだと述べたが、その態度には場にそぐわない余裕が漂っていた。
テーベ河を泳いでの侵入
須藤は、テーベ河を泳いで王女の陣営に忍び込んだことを明かした。警備が厳重な中で、敢えてこの手段を取ったという彼の話に、ルピスは驚愕した。広大で流れの速いテーベ河を渡るのは極めて危険であり、一般の兵士でも躊躇する行為であったため、彼の実力に一層の警戒を強めた。
恭順と降伏の違い
ルピスは、須藤の言葉を受けてゲルハルト公爵の意図を疑った。彼女は降伏ならば処罰も可能だが、恭順となれば公爵の地位や財産が守られる可能性があるため、容易に受け入れることができなかった。ルピスは須藤に、何故恭順を受け入れるべきかを問いかけたが、彼の返答は要領を得なかった。
ミハイルの生存の可能性
須藤は突然、ミハイル・バナーシュの名を口にし、ルピスに強い動揺を引き起こした。彼は既に死亡したとされていた人物であり、王女にとっては深い悲しみの対象であった。ミハイルの生存の可能性をほのめかす須藤の発言に、ルピスはかすかな希望を抱きつつも、真意を測りかねていた。
暗殺未遂と戦闘の開始
その直後、天幕に戦輪が投げ込まれ、須藤はそれを難なくかわしてみせた。亮真が須藤を標的とし、冷徹に刃を向けるが、須藤は短剣でそれを防いだ。亮真は容赦なく攻撃を続けたが、須藤も並外れた身のこなしで応戦し、緊張感が高まっていった。
ルピスの助命要請
ルピス王女は須藤の助命を命じ、亮真とメルティナに彼を殺さないよう指示した。王女の意図は不明であったが、彼女の言葉に従い、亮真は攻撃を一時中断した。ルピスは、須藤と直接対話するために再度場を整えさせ、さらに周囲の人間を集めるよう命じた。
須藤の計算と警戒心
須藤はルピスの賢明さを感じ取り、当初の計画に修正を加えることを決意した。また、亮真との戦いが一筋縄ではいかないことを痛感し、現段階での対立を避けることを選んだ。彼は任務を優先しつつも、亮真への警戒を忘れず、再度の交渉に備える姿勢を示した。
新たな天幕での交渉
新たに設置された天幕に、ルピス王女を始め、主要な王女派のメンバーが一堂に会し、須藤秋武と対峙した。須藤は、ゲルハルト公爵がルピス王女への恭順を示す意向と、ミハイル・バナーシュの返還を申し出た。突如の恭順という提案に、その場の空気は凍りつき、皆が重苦しい沈黙に包まれた。
ルピス王女の迷い
須藤の申し出を受け、ルピスはミハイルを見捨てられない思いを抱いた。だが、亮真は支配者としての彼女の未熟さに苛立ちを覚え、冷静に事態を見据えた。ルピスが個人的な感情に囚われた結果、支配者としての判断が揺らいでいることに亮真は失望し、彼女に対する信頼を徐々に失っていった。
亮真の提案と条件
亮真はミハイルを助けたいというルピスの意向を尊重しつつ、ゲルハルト公爵の恭順を認めることを提案した。しかし、条件として公爵位の返上と賠償金の支払い、そして五年間の宮廷職禁止を提示し、さらにゲルハルトには情報工作への協力も求めた。亮真の慎重な提案により、交渉は無事に成立し、須藤は満足げに退席した。
亮真の決意と戦略の終結
須藤が立ち去った後、リオネらが亮真の真意を問いただした。亮真は、今回の交渉が最善とは言えないが、ルピス王女に合わせて現実的な落とし所を見つけたと述べた。彼は、五年間の猶予がローゼリア王国の立て直しに必要だと考え、アーレベルク将軍を最後の敵とし、その排除を目指す戦略を固めた。こうして、ローゼリア王国の内乱は、亮真の策が交錯する形で最終局面へと向かうこととなった。
第三章 激突
戦いへの鼓舞と士気の高揚
ルピス王女は騎士たちを前に、ローゼリア王国の未来をかけた最後の決戦に挑む意志を示し、勝利への自信を力強く宣言した。騎士たちはその言葉に歓声を上げ、槍を突き立てて戦意を燃え上がらせた。アーレベルク将軍による圧政からの解放を望む騎士たちの士気は高く、勝利の確信に満ち溢れていた。
ゲルハルト公爵の裏工作
ゲルハルト公爵は、亮真から提示された条件を受け入れ、貴族派の主要人物であるアーデルハイド伯爵に接触した。公爵は、ルピス王女の軍が敵領地に焼き討ちを仕掛けるという噂を流し、アーデルハイド伯爵の動揺を誘った。この裏工作により、貴族たちは自身の領地と家族を守るため動揺し始めることとなった。
アーデルハイド伯爵の動揺と疑念
アーデルハイド伯爵は、ゲルハルト公爵から伝えられた噂に動揺し、部下に真偽を確かめさせた。結果として噂は広がり、貴族派の間で不安が急速に増大した。家族や領地への被害を恐れる貴族たちは、軍を率いて領地に戻ることを模索し始め、貴族派の結束が崩壊し始めた。
ロマーヌ子爵との決別
ロマーヌ子爵を始めとする下級貴族たちは、領地への危機を理由に独断で撤退を決断した。アーデルハイド伯爵はこの行動に反発したが、貴族派内部の士気低下と結束の緩みを止められなかった。各自が生存を最優先とする意識が貴族派の崩壊を促進し、アーレベルク将軍を見捨てる動きが加速していった。
ルピス王女の決意と進軍命令
イラクリオン周辺に駐留していた貴族派の兵力は減少し、残るのはアーレベルク直属の騎士二千五百のみであった。圧倒的な戦力差を前に、ルピス王女は進軍を決意した。内心では亮真の力とその知略に恐怖を抱きつつも、アーレベルク将軍の討伐こそが自国の安定と未来を守る第一歩であると覚悟を決めた。
アーレベルク将軍への進軍
ルピス王女の進軍命令が下され、騎士たちは意気揚々とイラクリオンのアーレベルク将軍の陣営へ進み始めた。王国の栄光を取り戻すべく、彼らは一心不乱に敵陣へ向かい、決戦の火蓋が切って落とされた。
亮真の判断とイラクリオンへの進軍
亮真は、ルピス王女の軍勢がイラクリオンへ進軍するのを高台から見守りつつ、彼自身と部下が戦闘に参加しないことを決定した。アーレベルク将軍の狡猾さを考慮し、彼がイラクリオンに籠城せず逃亡を図る可能性が高いと予測していた。彼は部下にイラクリオン周辺の監視を続けるよう指示を出し、アーレベルクの動向に備える意図を示した。
厳翁の報告とアーレベルクの動向
亮真の部下である厳翁と咲夜が戻り、アーレベルク将軍が商人を通じて資産を現金化し、保存食の購入を行ったとの報告を受けた。これは、アーレベルクが国外逃亡の準備を整えている証拠であると亮真は判断し、部下を通じてさらなる追跡を指示した。
エレナの登場と逃亡経路の予測
エレナが軍勢を引き連れて亮真の元に到着し、アーレベルクの逃亡経路についての情報を共有した。エレナは、アーレベルクが妻の故郷であるタルージャ王国を目指す可能性が高いと断言し、亮真もその分析に同意した。彼らはアーレベルクの逃亡を阻止するため、進軍の計画を練り直し、追撃に向けた準備を整えた。
アーレベルク将軍の逃亡と彼の計画
アーレベルク将軍は混乱の中でイラクリオンを脱出し、少数の部下と共にタルージャ王国を目指して街道を進んでいた。彼は自身の妻と娘をタルージャ王国の貴族との結びつきを利用して、権力復活の道筋に据えようと計画していた。また、彼の部下たちもアーレベルクに従うことで自らの安泰を確保しようとしていた。
追っ手を逃れたと錯覚するアーレベルク
アーレベルクと彼の部下は追っ手の気配がないことに安堵し、休息をとるための野営を決めた。彼らは、妻と娘が体力的に限界に達していることも考慮し、今後の行動計画を立てた。しかし、アーレベルクたちは気づいていなかった。亮真とエレナが近くまで迫り、彼らの復讐が成されようとしていることに。
第四章 エレナの復讐
今夜の月
月夜の見張り
二人の騎士が見張りをしていた夜、月の光で照らされた静寂が広がっていた。彼らは疲労を感じながらも、任務に従い森の方へと視線を向けていた。彼らの会話からは、国境越えへの期待と、捨てざるを得なかったローゼリアへの未練が感じられた。
騎士たちの嘆きと決意
ローゼリアの忠誠を誇りにしてきた家柄の騎士であったが、今や祖国から見放され、アーレベルク将軍に仕えて再起を図る道しか残されていなかった。かつての栄光から一転、故国を追われる運命に苦しむ彼らの心には、苦い嘆きと覚悟が交錯していた。
襲撃の発生
そのとき、森からの矢が突然飛来し、背の低い騎士が倒れる。冷静な弓使い・咲夜の手にかかり、見張りの騎士たちは暗殺された。彼女の後ろには、彼女を指揮する亮真が控えており、彼らの襲撃作戦が開始される。
亮真の指示
野営地への攻撃
亮真の指示で、野営地への襲撃が始まった。傭兵たちが火を放ち、騒然とする中で鋼の音が響き渡る。アーレベルク将軍は襲撃を察知し、急ぎ野営地から逃れる準備を整えた。彼の妻と娘も怯える中で、彼は部下と共に馬車へと避難することを選んだ。
戦場での戦闘
敵襲に応じてケイルが指揮を執り、騎士たちに防御陣を敷くよう命じた。騎士たちは抗術付与された盾を持ち、見張りとしての役割を果たしつつ、敵の法術を防ぐために結束を固めた。
リオネの反応と亮真の戦略
亮真の指揮に従い、傭兵たちは法術で騎士たちを混乱させる一方、後方からローラ達が奇襲をかけて挟撃を図る。騎士たちは不利な状況に追い込まれ、前後からの攻撃で徐々に陣形が崩れていく。亮真はケイルとの一騎打ちに臨み、敵を完膚なきまでに叩き潰す構えを見せた。
亮真とケイルの対峙
ケイルの奮闘と敗北
亮真とケイルの一騎打ちが始まり、ケイルは戦士としての誇りをかけて立ち向かうが、次第に亮真の技術と気迫に圧倒される。ケイルの左腕が亮真の刀により致命的な傷を負い、最終的には亮真の勝利が確定した。ケイルは自らの驕りと亮真の強さを痛感し、敗北を受け入れざるを得なかった。
ケイルの最期の願い
死を目前にしたケイルは、亮真に最後の戦いを望み、騎士としての死を遂げたいと懇願した。亮真はその願いを受け入れ、ケイルは亮真との一騎打ちの末、静かに大地に倒れた。亮真の手により、ケイルとの因縁の決着がつけられた。
戦場の混乱と将軍の奮闘
アーレベルクの陣営は、戦場の混乱に巻き込まれ、異なる命令が飛び交っていた。彼は騎士たちに囲まれながら、妻子を守りつつ包囲を突破しようと奮闘したが、敵兵の数には敵わず、護衛の数も徐々に減少していった。
亮真とエレナの策
亮真の策略によって、アーレベルク一行はエレナの待ち伏せにはまり、逃げ場を失った。この策により、彼らは完全に包囲され、戦況は圧倒的にエレナ側に有利となっていた。
エレナとクリスの会話
エレナは亮真の功績を認めつつも、その力を恐れるクリスの心情を察し、彼に対しての暗殺が議論された。しかし、エレナは亮真が王国の脅威となる可能性を懸念しつつも、暗殺には反対の立場を示した。
アーレベルクの降伏と失望
包囲を突破する手立てを失い、アーレベルクは遂に投降を決意した。しかし、彼が期待した正式な裁判の保証はなく、王国の騎士たちからは冷淡な対応を受け、彼の期待は裏切られた。
エレナの登場と復讐
エレナは、アーレベルクへの恨みを抱きつつ現れ、過去に彼が犯した罪の代償として妻と娘をも犠牲にする決意を固めた。彼女は冷酷な態度でアーレベルク家族に復讐を果たし、その行動に誰も異議を唱えなかった。
内乱の終焉
エレナによる最終的な一撃によってアーレベルクは命を落とし、これによりローゼリア王国の内乱は終結した。
第五章 新たなる戦場
ルピス王女の葛藤
ルピス王女は、自室から国民の喧騒を眺めながら、内乱終結に伴う重責を感じていた。彼女は、自らの治世が国にふさわしいのか悩み、特に功績のある亮真の処遇について心を悩ませていた。
メルティナの助言と限界
ルピスの側近であるメルティナも、ルピスの心労を軽減するべく尽力していたが、亮真を復職させることについての国中の反対を前に、彼女の助言にも限界があった。ルピスは、亮真が政権の基盤を固めるために必要な存在と認識しつつも、その処遇に苦慮していた。
亮真の忠誠心に対する疑念
ルピスは亮真を恐れつつも、彼の能力の高さから重用したいと思っていた。しかし、亮真が騎士として王家を守る盾とするには、彼の忠誠心が不透明であることに不安を抱いていた。加えて、彼を国外に出す危険性も考慮し、彼女は処遇を決めかねていた。
須藤の提案
ルピスの困惑を察した貴族・須藤は、亮真を貴族として登用するという案を提案した。ルピスはこの提案に驚愕したが、須藤の示した「ウォルテニア半島」を亮真の所領とすることで貴族たちからの反発を回避する案に、一考する余地があると感じた。
亮真の覚悟
亮真はルピスからの爵位と領地の授与を前に、これが彼に対する抑圧策であることを敏感に察知した。彼はルピスの意図に失望し、同時に自分が彼女に信頼を裏切られたと感じたが、その状況から生き延びるために恩賞を受け入れる決意を固めた。
仲間たちの支え
亮真の覚悟を知った仲間たちは、彼の決意を支えることを誓い、亮真もまた彼らとの協力で新たな未来を築く決意を固めた。彼らはウォルテニア半島の統治に向け、亮真の理想の実現のために夜を徹して方針を議論した。
亮真の決意と野心
亮真はルピスへの憤りを内に秘めつつも、彼女の意図を逆手に取る覚悟を持ち、ウォルテニア半島で自らの理想の国を築くことを夢見た。亮真とその仲間たちの強い結束により、彼の運命は大きな転機を迎えた。
帝国の策略とルピス王国への介入
須藤は帝都でシャルディナ皇女にローゼリア王国への介入報告を行い、内乱による王国の弱体化が順調に進行していることを伝えた。須藤はラディーネ王女とゲルハルト公爵を温存しつつも、ルピス新女王の愚かさを軽蔑した。
御子柴亮真の存在への不安
シャルディナと斉藤は、過去に帝国軍師ガイエスの策を妨害した亮真の存在に不安を感じていた。亮真がローゼリア内乱に関与し、帝国の計画を脅かす可能性があることが彼らの懸念となった。
ガイエスの東部戦略
オルトメア帝国は、エルネスグーラ王国とキルタンティア皇国との均衡状態を打破するため、ローゼリア王国での謀略を利用して東部への進出を図っていた。ガイエスはローゼリア王国の内乱を扇動することで、東部の連携を分断し、帝国の侵略を容易にする策を練っていた。
亮真への半島の割譲
亮真がローゼリアのルピス女王からウォルテニア半島の統治を任されるという条件を提示された際、彼は領地に潜む問題を指摘し、半島の開発資金として多額の資金援助を要求した。ルピスは最終的に亮真の要求を飲み、結果的に亮真は独立的な立場を確立する形となった。
シャルディナの懸念と帝国の計画
シャルディナは亮真の影響力が帝国の計画に悪影響を及ぼす可能性を危惧しつつも、彼を見張ることを須藤に指示した。そして、来月予定されているザルーダ王国への侵攻に備え、ローゼリアの対応にも介入する計画を確認し、帝国の影響力を強化しようとした。
エピローグ
帝国郊外の隠れ家と組織の秘密
帝都オルトメア郊外に隠された屋敷は、組織が拠点とする重要な施設であった。この場所は徹底的に警備され、猟犬隊を含む精鋭部隊が潜むため、外部からの侵入は極めて困難であった。
斉藤と須藤の会談
須藤は、組織取締役の菊川から計画の進行に関する報告を受けたが、今後の変更は特にないと斉藤に伝えた。彼らはザルーダ侵攻に備え、シャルディナを支援しつつ戦局の微調整を図る方針を確認した。特にザルーダの名将ベルファレスに対する警戒が必要であった。
御子柴亮真への不安
斉藤は、かつて組織の計画に干渉した御子柴亮真を「毒蛇に翼を与えた」存在とし、ウォルテニア半島の領有が組織に対して重大な脅威になる可能性を懸念していた。これに対し須藤は、亮真がウォルテニア半島を繁栄させることで組織計画にどう影響するかを興味深く見守っていた。
歴史に学ぶ左遷と須藤の見解
須藤は、古代中国の「項羽と劉邦」を例に取り、ウォルテニア半島の状況が亮真にとっての漢中に似ていると示唆した。亮真が半島の問題を克服すれば、将来的に大陸での勢力を拡大する可能性があることを見越しつつも、須藤自身は亮真の成長過程に楽しみを感じている様子であった。
須藤の期待と不安
須藤は御子柴亮真の能力と背景に何か特別な縁を感じ、その潜在力を見極めようと静かな期待を抱いていた。
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