小説「ウォルテニア戦記 Ⅶ(7) 」隣国へ援軍に行けと女王が命じる 感想・ネタバレ

小説「ウォルテニア戦記 Ⅶ(7) 」隣国へ援軍に行けと女王が命じる 感想・ネタバレ

どんな本?

学校の屋上で弁当を食べようとしていたらいきなり異世界に召喚された高校生の御子柴亮真。
ただ彼はマトモじゃ無かった。

召喚した魔術師を殺し。
逃亡途中で双子姉妹を仲間にして大国の帝国から逃亡。

帝国から逃げれたと思ったら、ローゼリア王国の跡目争いに巻き込まれてしまう。
それにも勝利させて女王ルピスを誕生させ。
そのまま解放されると思ったら。
住民は皆無で、沿岸部に海賊がおり、強力な魔物が跋扈するウォルテニア半島を領地に与えられ貴族にされてしまう。

読んだ本のタイトル

#ウォルテニア戦記 Ⅶ
著者:保利亮太 氏
イラスト:bob 氏

あらすじ・内容

御子柴亮真のもとで発展を始めたウォルテニア半島。しかし西方大陸で新たな戦争が始まり、亮真は主君であるルピス女王から軍隊の派遣を命じられる。なんのメリットも無いような任務に、鍛え上げた精兵を率いて参加する亮真。その胸には、半島の地の利を活かして莫大な儲けを引き出す秘策があった。いっぽう人間を避けて半島の秘境でひっそりと暮らす亜人たちは、亮真と接触を持とうとするが……。

ウォルテニア戦記 VII

感想

発展を続けるウォルテニア半島。
半年ほど前に来た船乗りが呆然とするくらい、様変わりするほどの発展具合。

沿岸沿いに航海してた船を沖に出して直進で航海するようにして、航海時間の短縮を図る。
風の法術を使用して風まかせだった航海能力も向上させて、10日から2週間近く掛かる航海を1週間で終わるようにした。

何気に画期的だけど、、
他の地球人達、本気で何をしていたの?
そんな事出来る環境じゃないの?

須藤、斉藤の2人なら出来そうなのに何故しないのか不思議。

それとも彼等の組織はそれを秘密にしているのか??

そんな順調に発展して行っているウォルテニア半島だったが、、
帝国に侵略されている隣国への援軍に出向く事になってしまった。

主人公に何度も助けられ、自業自得な行動で名誉を失ったミハイルが主人公を陥れようとするなど、、
ローゼリア王国内でもゴタゴタが続いているのに、外国への派兵。。
自身の領土を留守にする事への警戒もしないといけない。

そのミハイルの裏には、帝国の工作員、須藤が居てなかなかの混沌具合。

そんな派兵に、外国でも有名なエレナと、先の内乱で功績を立てた主人公が選ばれたが、、

主人公はウォルテニア半島を整備する事に忙殺されてるのに派兵までさせる対価は資金と技術者の移住。

そんなので良いのかと、女王は快諾するのだが、、
その裏での腹の探り合いがなかなかにエグい。

そんな西方ザルーダ王国でに到着したら、、
援軍に派兵された黒い鎧を着た集団は幼い子供達だった、、
しかも半分は女性という陣容。。

それに憤るザルーダ王国の有力者達。

そこで、実力を示すためにザルーダ王国の精鋭との御前試合をする事になるのだが、、

コレがこの巻での1番の盛り上がり処。
世の中に絶望していた元奴隷だった子供達の躍進を見ることが出来る。

対戦相手も、相手が子供だとナメていたお陰で、何とか勝てると思ったら。。

内部に火種を燻らせるわけにはいかないと国王が試合を止めて、勝敗無しの引き分けとした。

その思惑に気がついた主人公達は引き下がるのだが、、
それに反発する者達も居る。

このザルーダ王国も一枚岩では無いようだ。。

さてどうなることやら。。

という所で終わる。

同シリーズ

ウォルテニア戦記シリーズ

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ウォルテニア戦記VI
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ウォルテニア戦記Ⅶ
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ウォルテニア戦記IX
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ウォルテニア戦記X
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ウォルテニア戦記XI
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ウォルテニア戦記 XXⅢ
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ウォルテニア戦記 XXⅣ
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ウォルテニア戦記 XXV
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ウォルテニア戦記 XXⅥ
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ウォルテニア戦記 XXⅦ
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ウォルテニア戦記 XXⅧ

その他フィクション

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フィクション あいうえお順

備忘録

プロローグ

亜人と人間の因縁

大地世界において、亜人と人間の関係はかつて良好であったが、約四百年前、二人の異邦人が「光神教団」の教えを人間至上主義に歪めたことが原因で対立が始まった。この選民思想は人間たちを魅了し、亜人たちとの間で激しい戦争が勃発。結果、エルフや獣人といった亜人たちは隠れ住むことを余儀なくされた。

ウォルテニア半島のエルフ会議

ウォルテニア半島に住むエルフの代表者たちは、人間領主である御子柴亮真に対する対応を議論していた。多くの代表が武力行使を主張する中、ネルシオスは冷静にその無謀さを指摘した。彼はエルフが亮真に勝ったとしても、やがては王国軍や連合軍が押し寄せる危険性を示唆し、戦争がエルフの存亡を脅かすと判断していた。

ネルシオスの決断

会議の結果、亮真との交渉はネルシオスに一任された。ネルシオスは自分の立場とエルフの未来を考え、交渉役として娘のディルフィーナを亮真のもとに送り込むことを決断した。この決断には父親としての苦悩があったが、エルフ族の未来を守るためには最良の選択であると考えた。

第一章  忍びよる戦雲の影

ガレオン船アタランタ号の航海

アタランタ号は風を受けて順調にセイリオスの港へ向かい、船長ブラスは航路短縮を命じた御子柴亮真の判断が正しいと実感した。初めての航海で船酔いに苦しんだ御子柴男爵家の若い兵士たちも、今回は適応し、彼らの魔法が航海を助けたことに充実感を感じていた。

急成長するセイリオスの街

ブラス船長と船員たちは、到着するたびに規模が拡大していくセイリオスの街に驚いていた。わずか半年で都市が拡大し、港の規模も大幅に拡張され、街全体が大陸の大貴族領と同等の規模に発展している様子を目の当たりにしていた。

亮真の戦略的準備と懸念

亮真はセイリオスに戻ったアタランタ号の報告を受け、武器や食料を中心にさらなる物資の運搬を指示し、商人シモーヌへの支援にも配慮した。また、亜人との関係を深めるために、部族長たちと定期的な会合を提案し、敵対を避けるための外交努力も続けていた。

エルネスグーラ王国の軍事的動向

エルネスグーラ王国がザルーダ王国への大規模な軍事介入を計画しているというシモーヌの報告に、亮真は情勢が不安定になることを懸念した。ローゼリア王国の援軍が必要になる場合、亮真も戦場に駆り出される可能性があるとし、備えを急ぐ必要性を感じていた。

兵力増強と防衛の準備

亮真はウォルテニア半島を守るために増員の必要を痛感し、シモーヌに追加の奴隷労働者を依頼するとともに、兵士たちの訓練と防衛施設の整備を指示した。

伊賀崎一族の街の視察と評価

甚内をはじめとする伊賀崎一族の長老衆は、御子柴亮真が計画したセイリオスの街並みを視察し、効率的で機能的な設計に感嘆した。彼らは雅さが欠けている点を指摘したが、今は戦乱の世であり機能性が優先されると納得していた。厳翁は、亮真が亜人たちの文化に興味を抱いていることに言及し、彼らとの和解が将来の課題であるとした。

亮真の資質に対する評価

長老衆は、御子柴亮真が初代伊賀崎衆頭領の求めた人物である可能性を議論した。長い年月を経て探し求めた主として彼に賭ける価値があると判断し、亮真に信頼を寄せていた。神棚に飾られた「鬼哭」の刀が亮真にふさわしいかどうか、抜ける可能性を期待していた。

ミスト王国の対オルトメア帝国戦略

同時期、ミスト王国ではオーウェン宰相が対オルトメア帝国戦に関する密談を王と行っていた。彼らはザルーダ王国に対する援軍の準備を進めていたが、ローゼリア王国のルピス女王の対応に懸念を抱いていた。ザルーダが敗北した場合のエルネスグーラ王国の動向を見据え、ミスト王国の将来に不安を感じていた。

第二章  隣国よりの使者

ローゼリア王国の苦境と会議の開始

ローゼリア王国の王城が重苦しい空気に包まれ、上級官僚や騎士たちが緊急に集められた。事態の中心にいるルピス女王とその側近たちは、王国の危機にどう対処するか議論を始めた。彼らはオルトメア帝国の進攻に対するザルーダ王国からの援軍要請を受け、無視できない状況にあったが、国力が不足していることから決断をためらっていた。

ザルーダ王国への援軍要請

ルピス女王のもとにはザルーダ王国からの援軍要請が届いていた。ローゼリア、ザルーダ、ミストの三国が連携することで、オルトメア帝国の進攻に対抗できる可能性があったが、ローゼリア国内の軍備再編や貴族派の再活動により、兵力を他国に送る余裕がなかった。更に、内乱終結後も国内の不安定な状況が続き、貴族たちの協力が得られないまま時が経過していた。

ミハイルの提案とエレナの決断

会議が進む中で、ミハイルは御子柴亮真を援軍の指揮官として送り込むべきだと提案した。この意見は波紋を呼び、周囲の反発を招いたが、ルピス女王はエレナに援軍の指揮を託す決断を下した。エレナはルピス女王のために出陣を決意し、最低限の兵力での戦果を求められる厳しい立場を引き受けた。

ミハイルの思惑とその対立

会議の中で、ミハイルの提案には彼自身の個人的な意図が潜んでいることが明らかになった。ベルグストン伯爵やゼレーフ伯爵は、ミハイルの提案に含まれた復讐心と妄執に気づき、彼の言動に厳しい視線を向けた。彼の提案が個人的な恨みに基づいていると感じ取った側近たちは、冷たい視線でミハイルを見つめ、彼に対する信頼を失っていった。

ルピス女王の決断とミハイルの影

ルピス女王は最終的にエレナにザルーダ王国への援軍を命じ、ミスト王国の軍隊にも国内の通行を許可することを決定した。この決断により、王国内の不安定な状況を解消する手立てが講じられたが、ルピス女王と彼女の側近たちはミハイルの内なる闇に気づき、彼の変化に対する悲しみと不安を抱いていた。

終局とミハイルの離脱

会議が終わり、ルピス女王はミハイルと対話を試みるが、彼の態度にはもはや忠誠の欠片も見られなかった。ルピス女王とメルティナは、ミハイルが心の中に抱える妄執に気づき、彼がもはやかつてのミハイルではないことを悟った。ルピス女王は彼の変化を前に無力感を感じ、何故こうなったのかと嘆息を漏らしたが、メルティナにはその問いに答える言葉がなかった。

ミハイルと須藤の密談

深夜、王都ピレウスの城内でミハイルと須藤が対面していた。ミハイルは昼間の会議でザルーダ王国への出兵が決まったことを、まだ公にはされていないにも関わらず、須藤が知っていることに驚いた。須藤はその情報を得ていたことを楽しそうに語り、ミハイルを苛立たせた。ミハイルは、須藤が城内での情報収集を行っていることに軽蔑の意を示し、須藤もまた心の中でミハイルを愚かだと嘲笑していた。

ミハイルの立場と須藤の策略

ミハイルは以前は王国の宝とされるほど高い評価を受けていたが、功績に焦って捕虜になったことで評判は失墜していた。須藤の策略により、彼への噂が広がり、ミハイルは周囲から蔑まれる存在となっていた。須藤はその評判を利用し、ミハイルに甘い言葉をかけて精神的に追い詰めていった。ミハイルは自分が信じたいものを信じる傾向にあり、須藤の言葉に依存するようになっていった。

須藤の意図と御子柴亮真に対する策謀

須藤はミハイルに、御子柴亮真を援軍に加えるべきだと提案させ、従わない場合には処刑する口実に使おうと仕向けていた。ミハイルは須藤の助言に不安を感じつつも、彼の言葉に従うことにした。しかし、須藤はミハイルが正常な判断力を失い、御子柴亮真に対して逆恨みを抱いていることを利用して、自身の計画を進めていた。

須藤の真意と策略の展望

須藤は御子柴亮真が援軍の条件として金銭を求めると予想し、その金額から彼の今後の動きを見極めるつもりであった。須藤は、ミハイルの忠誠心を利用し、彼の精神を崩壊させることで、自分の策略を確実に進めようと考えていた。彼はこの世界での策謀に充実感を覚え、御子柴亮真の動向を見守りつつ、戦争とは別の形での勝利を確信していた。

第三章  理想と現実の狭間

セイリオスの繁栄と奴隷たちの努力

セイリオスの街は活気に満ちており、訓練を終え解放された奴隷の子供たちは、自らの手で新たな故郷を築き上げようと汗を流していた。彼らは自由を取り戻し、人間としての尊厳を胸に抱きながら日々を過ごしていたが、南西から迫る戦の影には気づいていなかった。

エレナの手紙と軍事会議

ウォルテニア半島で緊急の会議が開かれ、亮真は王都からのエレナの手紙を読み上げた。内容は、ザルーダ王国への援軍派遣の要請であった。リオネや他の出席者たちは驚きこそしなかったものの、王国の無計画さに呆れ顔を見せた。亮真は、エレナが指揮するならば勝機はあるが、複数の指揮官が主導権争いをすれば軍の士気が低下し、致命的な結果を招く可能性があると懸念していた。

援軍派遣と亮真の判断

亮真は援軍に参加せざるを得ないと決断し、ウォルテニア半島の開発を進めるために、この機会を利用して移民や特殊技能を持つ職人の派遣をルピス女王に要求することを計画していた。リオネはローゼリア王国への忠誠に懐疑的であったが、亮真は王国のためでなく、自らの勢力を強化するために戦いを決意した。

ネルシオスへの意図と亜人種との関係

会議には亜人である黒エルフの部族長ネルシオスも招かれていたが、亮真が何も要求せず、ただの立ち会いを求めただけであったことにネルシオスは困惑した。亮真は、態度を通じて彼ら亜人と共に歩みたいという意思を示しており、ネルシオスはその意図を感じ取り、人間と亜人が共に未来を築く可能性を見出し、亮真の意図に応じて協力することを決意した。

ピレウス訪問と街の不安

御子柴亮真が一年数ヶ月ぶりにローゼリア王国の首都ピレウスを訪れた。街はかつての活気を失い、流民が増えていた。王都の重苦しい雰囲気から、亮真はルピス女王の統治に問題があると推察し、経済的な理由で家を失った人々の存在が、統治の不安定さを象徴していると考えた。

流民の状況とウォルテニア半島の移住計画

ピレウスで増え続ける流民を目にした亮真は、ウォルテニア半島への移住を促すことで解決策とする意向を持った。ルピス女王にとっても流民を王都から離すことは利益となるため、移住計画が円滑に進むと見込んでいた。しかし、流民増加の原因には、貴族による重税や官僚の汚職などが絡んでいる可能性があり、現地での混乱を予想した。

ネルシオスの提案と亮真の判断

以前の会議で、エルフの部族長ネルシオスは、エルフの若手をウォルテニア半島の守備に回す提案を亮真に行った。しかし亮真はその提案を拒絶した。彼は、エルフと人間の融和に時間がかかること、また信仰の違いや潜在的な対立要素を考慮し、早急な協力体制を避けたのである。この決断により、亮真はネルシオスに信頼を示し、慎重な現実主義者としての姿勢を見せた。

ルピス女王との謁見と援軍派遣の要請

ルピス女王は亮真に、エレナの補佐としてザルーダへの援軍参加を依頼した。亮真はこれを即座に了承し、王国の現状を理解しつつ、援助の条件を提示することを決意した。亮真の即断に驚きを隠せないルピス女王は、亮真の協力に感謝しつつも、彼の要求に応じる覚悟を決めた。

エレナとの再会と王都の現状

エレナが亮真の部屋を訪れ、彼らは再会を喜びつつも、ローゼリア王国の現状について話し合った。亮真は、エレナの復帰が自分の判断によるものであると感じ、王国の泥沼化に責任を感じていた。一方、エレナは、過去に亮真の忠告を受けて行動していれば状況が変わっていたのではないかと悔やみ、王の統治の限界を嘆いた。

亮真の条件に対するエレナの疑念

エレナは亮真が謁見で提示した条件に不信感を抱き、彼の意図を探ろうとした。亮真は一見素直に応じたが、実際には条件を慎重に設定しており、準備不足の王国に依存せず独自に備えを整えていたことが明らかになった。エレナはその洞察力と計画性に驚きながらも、彼の背後にある目的に疑念を抱いた。

物資の調達と亮真の自立した計画

亮真は、イピロスの商会と契約し、半年分の物資を確保していた。これにより、ローゼリア王国の混乱に左右されずに援軍の準備が可能であった。エレナは亮真の周到な行動に驚きつつも、その背後にある真意を計りかねていた。

第四章  西へ

イピロス郊外の野営地

イピロス郊外の平野に、黒い旗を掲げた兵士の集団が野営を行っていた。三百名ほどの兵士と、百名の貧しい身なりの者たちが共に腰を下ろしていた。彼らの旗には金と銀の鱗を持つ双頭蛇の意匠が施され、周囲に威圧感を漂わせていた。

物資の確認と商人との交渉

物資を運び込んだ商人が兵士と共に検品を終え、請求書をローラに渡したが、提示された金額は相場の五割増しであった。商人はザルツベルグ伯爵の名を出して値引きを拒んだが、ローラは即座に他の商会に依頼すると告げ、交渉の場面は緊張を増した。

ザルツベルグ伯爵の登場と商人の敗北

その場にザルツベルグ伯爵が登場し、商人を諭すように亮真への配慮を求めた。これにより商人は慌てて値引きを了承し、退散した。伯爵は軽く商人を窘めただけで、欲深い商人が引き下がることとなった。

亮真とザルツベルグ伯爵の会話

天幕での会談にて、伯爵は亮真に対し今回の遠征で多くの利益を得たと満足げに話し、彼への協力を惜しまないことを伝えた。亮真も感謝を示し、今後の協力関係が確固としたものとなった。

村の農夫と未知の軍勢への恐怖

その後、亮真の軍がザルーダ王国の街道を進軍していたが、これを見た農夫が不安を感じ、妻と共に村へ急いで知らせに戻った。彼は、自らの安全を願う一方で、村の家族を見捨てることができず、警戒を強めた。

農民との遭遇と亮真の対応

ローラが街道沿いの農地に身を屈めて逃げる農民の姿を亮真に指摘した。亮真は自分たちが味方であることを理解してもらえない状況に嘆息し、農民との不必要な衝突を避けるために兵士を抑えるよう指示した。彼らは領主軍に敵と誤解される場面もあり、情報伝達の不備が続く中、ペリフェリアへの進軍が慎重に進められていた。

小貴族領地を通るリスクと緊張の行軍

亮真達が進む街道は、複雑に入り組んだ小貴族の領地を通るため、誤解や衝突のリスクがあった。亮真は進軍の途中で騎馬部隊を派遣し、住民に損害を与えないように慎重に行動することを命じた。イピロスを出発してから強行軍が続いていたため、兵士たちも疲労が見えていたが、ザルーダ王国の民とのいざこざを避けるための苦心が続いた。

王都ペリフェリアへの到着

ペリフェリアの都が視界に入ると、亮真達は道案内を務めた村人達と共に無事に進軍を完了した。農村の緊張感が漂う中、彼らは戦時下における村民との関係を良好に保ちながら都へ到着した。

グラハルトとの対面と緊張感

亮真達はペリフェリアでザルーダ王国の近衛騎士団長、グラハルト・ヘンシェルと対面した。グラハルトは遠路駆けつけた亮真に対し、侮辱的な態度で出迎えたが、亮真は冷静に対応した。亮真の丁寧な態度に一芝居打ったグラハルトは、ローゼリア援軍の本心を探るべく表情を和らげ、亮真を国王との謁見に案内した。

エレナとの会話と亮真への評価

ペリフェリアの城内で、エレナとグラハルトが顔を合わせ、亮真についての感想を話し合った。エレナは亮真を信頼している一方で、彼の強固な自制心と計り知れない能力に注目し、国のために有用であることを示唆した。エレナは、亮真を過小評価しないようグラハルトに忠告し、彼が敵とも味方ともなる可能性に警戒するよう諭した。

ザルーダ王国の危機と援軍の意味

エレナは、ザルーダ王国が戦争の疲弊で衰退している状況を説明し、今が最後の機会であると述べた。援軍としてのローゼリアの力に期待を寄せる一方、講和派の存在に関しても言及し、彼らの考えを理解する重要性を指摘した。しかし、エレナ自身は決戦において亮真の助力が大きな役割を果たすと確信し、ザルーダ王国の未来を託す覚悟を示した。

第五章  力の証明

玉座の間の緊張と貴族たちの心情

謁見の間には緊張が張り詰め、王座に向かう真紅の絨毯を挟んで文官や武官が整列していた。亮真は、彼らが祖国の危機に際しても面子を守ろうとする虚勢に対し、内心で不快感を抱いていた。また、彼らの多くが亮真に対して嘲笑や失望の感情を抱いており、援軍として期待されていなかった自分への評価を自覚していた。

ユリアヌス一世との対面と信頼関係

亮真は、周囲からの冷たい視線や敵意を感じ取りながらも、国王ユリアヌス一世に謁見する。ユリアヌス一世は温和で理知的な王であり、その威厳に亮真は驚いた。彼はローゼリア王国からの援軍を歓迎しつつ、戦局に慎重な判断を求めた亮真の態度を評価し、エレナの紹介を信頼して亮真を援軍として受け入れた。

シュバルツハイム伯爵の挑戦と亮真の決意

謁見の席で、シュバルツハイム伯爵が亮真の援軍が戦力として役に立たないと主張し、ローゼリアの援軍の質を批判した。彼は亮真の兵士が若く未熟であると指摘し、国王に帰国を提案したが、ユリアヌス一世は亮真と彼の軍の力を信じ、御前試合を通じて証明する機会を与えることを決断した。

御前試合の準備とエレナとの会話

亮真はエレナと共に、ザルーダ王国の貴族や王族が見守る中で御前試合に臨んだ。エレナは亮真の兵士が若者や女性も含むため、不安を感じていたが、亮真は自信を示し、勝利への覚悟を持って試合に臨んだ。エレナは亮真の率いる兵士たちの実力を信じつつも、戦場での悲惨な結末を避けたいと願っていた。

御前試合の開始とエレナの期待

御前試合はザルーダ王国の親衛騎士団と亮真の軍による集団戦で行われ、実戦さながらの武具が使用された。エレナは、亮真の兵士たちの若さに不安を感じながらも、彼の戦略や智謀が勝利へ導くことを期待していた。試合が開始されると、エレナは亮真への信頼と若き兵士たちの安全への懸念が交錯する複雑な心境を抱え、亮真の背中を見守り続けた。

試合前の準備と亮真とグリードの対立

老貴族が審判役として亮真と親衛騎士団長グリードに試合の準備を確認したが、グリードは亮真に対して冷たい態度を見せ、試合前の握手も拒否した。亮真はそれを気にせず、内心でこの試合を「宴」として楽しむ心構えを示した。

試合開始とケビンたちの戦略

ケビンとその仲間たちは、相手が完全武装の騎士であることから、慎重に戦略を練り、メリッサの法術で土埃を巻き上げて視界を奪う戦法を取った。奇襲に成功した彼らは、騎士たちに次々と攻撃を仕掛け、指や膝関節を狙って相手を無力化する戦術を展開した。

エレナとユリアヌス一世の評価

試合を見守っていたエレナは、亮真の指導による兵士たちの高い戦闘力に感嘆し、ユリアヌス一世もまた、その戦力に対する理解を示した。ユリアヌス一世は亮真の兵が法術を使いこなしている点に注目し、それが強力な戦力であると評価した。

親衛騎士団の苦境とグリードの焦燥

グリードは親衛騎士団がケビンたちの連携攻撃に圧倒され、劣勢に立たされる状況に愕然とした。部下の体を守るべきと理解しながらも、試合に敗北することへの抵抗から、撤退の決断を下すことができなかった。

ユリアヌス一世による試合の停止命令

試合が激化する中、ユリアヌス一世は両軍の戦死者を避けるため試合の停止を命じた。亮真はこれに応じ、ザルーダ騎士団に敬意を示した。ユリアヌス一世は亮真の兵を認め、今後の協力を要請した。

亮真の内心と国王の計画

亮真は、この試合の引き分けという結果が自分の思惑通りであることに満足し、ユリアヌス一世がしたたかな人物であると感じた。ユリアヌス一世は周辺諸国からの評価を気にせず、内に潜む危機を鋭く見抜く洞察力を示していた。亮真は、国王と対立し得る老貴族の意図を内心で探り、冷笑を浮かべた。

エピローグ

御前試合後の群衆の退場

御前試合が終了し、観衆は試合の余韻に浸りながら演習場から退場していった。その場を去る群衆の中で、彼らの目に映らぬ場所から試合を観察していたディルフィーナも、気配を隠してその場を後にした。

ディルフィーナの試合の評価と葛藤

ディルフィーナは亮真の兵士たちが示した勇敢さと連携の巧みさ、そして彼らの持つ意志に心を動かされた。しかし、族長の娘である彼女には単なる観客以上の責務があった。父ネルシオスから、亮真の本心を探り、万が一の場合には彼を暗殺するよう命じられていたのである。強力な防衛網を突破する必要があるため、任務の難易度の高さに思いを巡らせた。

暗殺に向けたディルフィーナの決意

亮真に対して直接的な力で挑むのが困難であると判断したディルフィーナは、より狡猾な方法を考慮した。亮真が自分に対して警戒心を抱いていない状況を利用し、信頼を得るために彼と肉体的な関係を結ぶことさえも手段として考えた。彼女の美貌とエルフ族としての魅力がその武器となると確信していた。

亮真の遠征への同行とディルフィーナの決断

ディルフィーナは亮真に従い、ローゼリア王国から派遣された援軍の一員としてオルトメア帝国との戦いに身を投じることを決意した。その闇夜の中、彼女の動向を追う影があることには気付かぬまま、ディルフィーナは任務遂行のため行動を開始した。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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