どんな本?
学校の屋上で弁当を食べようとしていたらいきなり異世界に召喚された高校生の御子柴亮真。
ただ彼はマトモじゃ無かった。
召喚した魔術師を殺し。
逃亡途中で双子姉妹を仲間にして大国の帝国から逃亡。
読んだ本のタイトル
#ウォルテニア戦記III(Record of Wortenia War: Volume 3)
著者:保利亮太 氏
イラスト:bob 氏 氏
あらすじ・内容
激化するローゼリア王国の内紛。現代から召喚された高校生・御子柴亮真は、
ローゼリア王家の継承権を持つルピス王女に手を貸して兵を集めはじめる。
女傭兵「紅獅子」のリオネなど一騎当千の将が集まったルピス王女の陣営だが、数のうえでは圧倒的な劣勢。
しかし、亮真は必勝の策を胸に決戦へと打って出る――。
ウォルテニア戦記Ⅲ
感想
エレナが王女派に入り、騎士派の騎士を王女派に取り込み出したら。
エレナが生命を狙う将軍は不利を悟り貴族派に出奔して合流をする。
貴族派と将軍派が混乱している隙に相手の領地的の急所に防衛陣地を建設。
ただ、急いでその場に急襲したため2,000人しか連れて来れなかった。
人数が少ない中での防衛拠点の建築。
その方法は、法術を利用した土木、建築工事。
本来なら敵に向かって撃つ法術を地面に撃って空堀を建築する。
そんな強固な防御陣地を築いて2,000の兵で40,000を相手に防衛戦。
援軍が来るまで約1週間。
更に、堰き止めた水を空堀に流して相手を、、、
水攻め。
相手が無能過ぎるのか?
そらとも自称普通の高校生が凄かったのか?
そして、その高校生は、、
貴族派から派遣された暗殺者を取り押さえ。
日本人らしい面影を見て尋問すると、500年前に村ごと召喚された人達の末裔だと判る。
地域的に甲賀か伊賀の可能性が大きい。
その彼等を傘下にしたがったが、一族の長老の1人の上忍と取り押さえた下忍2人がお試しに配下に入った。
あくまでお試し。
元々暗殺者だったのだから。。
でも、その忍達も500年探し求めていた君主かもしれないと色めき立つ。
そして、その郷が家宝として持っていた刀が共鳴し始めた。。
まるで新たな君主を見つけたと言う様に。。
そして、自称普通の高校生は諜報部隊を手に入れた。
戦記モノだね。。
ファンタジーだねぇ。。
そして戦国モノだねぇ。。
うん、満足満足。
同シリーズ
ウォルテニア戦記シリーズ
その他フィクション
備忘録
プロローグ
青年クリスの修練と内なる苛立ち
クリス・モーガンは、王都ピレウスで己の武技を極めるため、鋼鉄製の槍を用いて日々の修練に励んでいた。泥臭くも鋭い姿勢は王都の社交界で見せる上品な姿とは異なり、内に秘めた苛立ちと焦りを抑え込むかのようであった。彼の心には、幼少から身につけたローゼリア王国への忠誠と、自身の力を試したいという野心が煮えたぎっていた。
アーレベルク将軍との確執と抑えきれない憤り
クリスは、祖父が仕えたエレナ・シュタイナーと因縁のあるホドラム・アーレベルク将軍に対し、幼い頃から憎しみを抱いていた。しかし、次第にそれが祖父の見方に偏った感情だと理解し、冷静に受け止めていた。だが、見習い騎士時代から将軍の一派による嫌がらせを受け、飼い殺し同然の状態に置かれていたことで、再び強い憤りを抱くようになった。
祖父の急な召喚とクリスの疑念
修練の最中、祖父からの召喚を告げる屋敷の老メイドが現れた。汗だくのクリスは礼儀を重んじ、新たな服とタオルの用意を老メイドから受け取った。彼女の普段とは異なる様子と気遣いを不思議に思い、探るような視線を向けるクリスに、老メイドは密かに事態の一端を囁きかけた。その情報により、クリスの内に獣のような鋭い光が宿り、状況が動き出す予感を抱くに至った。
第一章 鼎沸き立つ
樵が王都近郊の屋敷を訪れた馬車に気づく
樵は、王都ピレウス近郊の森で斧を振るう音を響かせていた。彼は、道を通り過ぎる馬車の音を聞きつけて動きを止め、不思議そうにその様子を見守った。その馬車が目指す先は、かつて引退した近衛騎士である老人の屋敷であると悟り、樵は老人の容体を心配しながら馬車を見送った。
クリスがエレナと対面し、挨拶と敬意を表す
クリス・モーガンは祖父から預かった手紙を持参し、エレナと対面した。彼は騎士の礼を尽くし、祖父の代わりにエレナへ挨拶を述べた。エレナはかしこまる必要がないと優しい表情で伝え、クリスを迎え入れた。クリスの美貌に驚く一同に、エレナはその美しさに対する軽い冗談を交え、和やかな雰囲気が漂った。
クリスとエレナが祖父フランク・モーガンについて語り合う
エレナは、祖父フランク・モーガンについてクリスと話し、その病状を憂いた。フランクの罹った「腐肉病」が高額な治療を要し、アーレベルク将軍派からの圧力で秘薬を入手できなかったことに触れ、エレナはかつての同志たちの不運に対して申し訳ない思いを抱いていると述べた。クリスは祖父の意思を引き継ぎ、王国のために戦う決意を新たにした。
エレナとクリスがローゼリア王国の情勢について意見を交わす
クリスは王国の不安定な情勢と、アーレベルク将軍に従う騎士たちの実態についてエレナに説明した。エレナは、騎士達の支持が変わる兆しを見逃さず、ルピス王女の支持を得てアーレベルク陣営を崩す意向を示した。クリスもまた、若手騎士を味方につける計画を進め、王国の安定のために行動する意志を明確に表明した。
須藤がローゼリア王国の騒乱を利用する策を検討する
オルトメア帝国の工作員である須藤秋武は、ローゼリア王国の情勢が帝国の利益と相反することを憂慮し、特にエレナ・シュタイナーの復帰が予想外であることを嘆いた。須藤はアーレベルク将軍への援助を決定し、ローゼリア王国が内乱に陥るように状況を操作する策を巡らせた。
御子柴亮真が内乱の兆候に思案を巡らせる
亮真は城内の部屋で一人思考を巡らせ、アーレベルク将軍が想定より早く動いたことに驚きを示しつつも、自身の策を練り直していた。彼の護衛であるマルフィスト姉妹は亮真の沈思を見守り、彼が行動を再開する時を静かに待っていた。
亮真が夕刻までの集中から抜け出し、晩餐会の欠席を知る
夜の帳が降り、亮真は集中の合間に腹が減ったことに気づいた。彼はローラから、ルピス王女主催の晩餐会を無断で欠席していたが、ローラがすでに欠席の連絡を入れていたと聞き安堵した。
ルピス王女の寛大さと、アーレベルク将軍に対する課題
ルピス王女は亮真の欠席を快く受け入れており、翌朝に行う会議の準備を求めた。この寛大な対応は、アーレベルク将軍の件に対する亮真の対策を重視した結果であり、王家の名誉と治安の維持がかかっていることが暗に示されていた。
亮真がマルフィスト姉妹に状況を説明し、思考を整理
亮真は腹ごしらえをしながら、マルフィスト姉妹とアーレベルク将軍の行動について話し合った。彼は、アーレベルク将軍が貴族派に合流した背景に第三勢力の影響があるのではないかと疑念を抱き、慎重な分析と準備が必要と感じていた。
貴族派と騎士派の動きと、治安悪化の背景
亮真は、治安悪化の要因が貴族派と騎士派による駐屯地の撤退にあることを指摘し、これにより地方の治安が急速に悪化していると述べた。彼は、貴族派と騎士派が戦を優位に進めるためにこうした動きを取ったと考えているが、それが王国全体に悪影響を及ぼしていると憂慮した。
ルピス王女の失策と、アーレベルク将軍の巧妙な策略
亮真は、アーレベルク将軍が「民あっての王国である」と言い、ルピス王女の心を揺さぶったと分析した。彼は、アーレベルク将軍が民への思いやりを装い、王女の信頼を得た結果、権限を掌握する機会を得たと判断した。
亮真とマルフィスト姉妹の会話:アーレベルク将軍の裏切りと第三勢力の可能性
亮真は、アーレベルク将軍が貴族派に寝返った背景に、第三勢力の工作が関与している可能性を示唆した。マルフィスト姉妹もこの考えに共感し、周辺諸国からの干渉がないかどうか、警戒を強める必要があると確認した。
他国の干渉を警戒し、迅速な対処を求める亮真
亮真は、ローゼリア王国が他国の侵略を阻む力を持たない現状を認識し、迅速にアーレベルク将軍とゲルハルト公爵を討ち果たす必要性を痛感した。彼は増員した傭兵が戦力強化に役立つと判断し、即時行動に移る決意を固めた。
凶報の朝とエレナ一行の移動
エレナ・シュタイナーは、真紅の絨毯が敷かれた王宮の廊下を、忠実な部下たちとともに進んでいた。彼女の近くには、金髪の騎士クリス・モーガンも従っていた。彼は、自らの行動がアーレベルク将軍の行動を誘発したことを悔い、エレナに謝罪したが、エレナはそれを気にせず、逆に好機と見做していた。
エレナの策略とクリスの懸念
エレナは、アーレベルク将軍とゲルハルト公爵が合流した状況を「国を掃除する好機」と見ていた。一方で、クリスは兵力の劣勢や、王女が平民を徴兵する決断を避ける現状に懸念を示したが、エレナは騎士の法術戦力による優位を信じ、情勢を逆転できると考えていた。
ルピス王女の決断と亮真の戦略提案
会議で亮真は、アーレベルク将軍とゲルハルト公爵の関係が主導権争いで揺らぐ点を指摘し、戦略的好機が訪れたと主張した。彼は、2,000の騎馬隊を急行させ、その後本隊で追従するという大胆な作戦を提案。エレナもこの計画を支持し、ルピス王女は亮真に指揮を任せることを決定した。
出発前夜のリオネとボルツとの会話
会議の後、亮真はリオネとボルツに作戦の詳細を伝えた。リオネはその大胆さに驚きつつも信頼を寄せ、ボルツは作戦の実現性を確認し、亮真の勝算に期待を寄せた。亮真も準備の成果に自信を持っており、さらなる行動計画を胸に秘めていた。
出発前の準備と偵察の確認
亮真は出発前にマルフィスト姉妹から、敵の間者が傭兵に紛れ込んでいることを報告され、彼らを泳がせることで利用価値を見出した。そして、万全の準備が整ったことを確認し、ルピス王女の命令を受けて軍勢は出発した。
騎馬隊の出発
亮真率いる騎馬隊は王都ピレウスを出発し、ゲルハルト公爵領イラクリオンを目指した。彼らの士気は高く、戦の勝利を目指して声高に意気込みを示し、馬具に施された法術の力で加速しながら進軍を開始した。
第二章 開戦
テーベ河の防御拠点の設営開始
亮真達は、無事にテーベ河を渡り、次に到着するルピス王女率いる本隊が安全に渡河できるように、防御拠点の設営を開始した。亮真は兵士達に士気を高める演説を行い、アーレベルク将軍とゲルハルト公爵に対抗するための団結を促した。その結果、兵士達の士気が高まり、拠点設営に向けた準備が円滑に進んでいった。
防御工事とボルツの指揮
防御施設の建設において、ボルツは法術「大地陥没」を駆使して大規模な堀を作り、効率的に防御線を整えた。傭兵達の作業は順調に進み、亮真の指示に基づき、通常の土木作業よりも早く強固な防御施設が完成しつつあった。ボルツは、亮真のアイデアを称賛し、その革新的な法術の使い方に驚嘆していた。
ミハイルの偵察と功名心
一方、偵察任務を任されていたミハイルは、敵の偵察隊に遭遇するも功績を立てたい思いが勝り、亮真の指示を無視して突撃を決意。敵部隊への攻撃を仕掛けた結果、部隊は壊滅し、ミハイルの独断が亮真達を劣勢に立たせる事態となった。
ケイルの策とミハイルの敗北
ミハイルと対峙したケイル率いる敵軍は、ミハイルの焦りを誘発させることに成功。かつての友であったケイルに敵意を燃やし、判断を誤ったミハイルは敗北を喫し、彼の部隊は全滅した。その報告を受けた亮真は、危機感を抱きつつ、部隊の指揮を再編成し、迫りくる敵軍に備えた。
亮真の指示と決戦への準備
亮真は即座にリオネとボルツに防御線の再配置を命じ、中央部の指揮を自ら引き受け、緊迫した状況下で全兵士に対応を指示した。偵察兵の報告により、敵の兵数が増えていることが判明したものの、亮真は動揺を抑え、冷静に指揮を執り続けた。
騎士の最期の報告と亮真の決意
亮真は、戦いの中で命を賭して報告を行った騎士の最期の言葉を聞き、彼の願いを心に刻む。しかし、目の前の戦局に集中し、騎士達の士気を維持するために、自らの決意を新たにした。亮真は敵の接近を警戒しながら、戦いに向けた準備を整えた。
ケイルの苦戦と決断
ケイルはテーベ河河岸に築かれた亮真達の防御施設を見て驚愕した。通常の半日では築けないような強固な空堀と柵に攻撃をためらい、計画に狂いを感じた。ミハイルの部隊を殲滅してもなお、本陣への突撃を進めるには不安を抱え、内心で焦燥と苛立ちを募らせていったが、最終的に突撃の決断を下した。
農民兵の突撃とリオネの迎撃
南門ではリオネが弓隊と槍隊を巧みに指揮し、農民兵の突撃を迎撃した。農民兵は貴族の指揮で奮い立ち、略奪への期待から突進してきたが、リオネの絶妙なタイミングでの弓と槍の連携攻撃により、次々と倒され混乱が広がった。これにより、貴族側は増援を要求しつつ、再突撃の指示を求めることとなった。
ケイルの焦りと全軍突撃の命令
南門と北門から増援を求める伝令が届く中、ケイルは兵の数が優勢であるにもかかわらず進展がない状況に苛立ち、ついに自身も騎士団を率いて前線に出る決断をした。全軍で三方から同時突撃を行い、一気に勝利を収めるべく突撃命令を出した。
亮真の洞察と対策
亮真は敵が三方から同時に攻めてくることを察知し、ケイルの焦りを見抜いた。亮真はケイルが後退できない立場で無理をしていることを理解し、これを機に切り札を使う決断を下した。伝令に指示を送り、サーラを北門に配置するなどの準備を進め、次なる攻防に備えた。
戦の激化と亮真の切り札
亮真は、ケイルが予想通りの行動に出ると確信し、最終的な防衛計画を展開するための準備を整えた。戦いは、亮真の切り札の発動をもってさらに激化し、王国の未来を賭けた総力戦へと進展した。
中央の門での激戦
ローラの指揮する中央の門は、敵兵が押し寄せる中で激戦の様相を呈していた。矢の連射で対処するも、次々と迫る敵の数に防衛が厳しさを増していった。騎士達の間に不安が広がりつつあったが、ローラは亮真の作戦に信頼を置き、士気を保つよう励まし続けた。
亮真の到着と切り札の決断
亮真が中央の門に現れ、状況を確認すると、戦線の維持を図るためにサーラへの合図を出すことを決断した。ローラは切り札の使用に不安を感じていたが、亮真は事態を早期に打開することが重要であると判断し、サーラに準備を進めさせた。
ケイルの苛立ちと自らの突入
ケイルは騎士二千を投入したにも関わらず、亮真達の守備を崩せないことに苛立ちを募らせ、ついには自ら戦線に出て兵を鼓舞するために空堀内へ進んだ。自らの突入で戦況を打開しようとしたが、その行動が亮真の切り札発動の契機となった。
サーラによる堰の破壊
サーラの指揮下でテーベ河の堰が崩され、大量の水が空堀へと流れ込み始めた。大地陥没の術が発動されると、堰き止められた水が一気に解放され、空堀を満たしながら前線へと流れ込んでいった。
水の襲来と戦場の混乱
戦場に響く水音に気づいた一人の農民兵が「水だ」と叫んだ瞬間、全ての兵士が迫りくる水流を目にし、戦場は静寂に包まれた。水の壁が容赦なく押し寄せ、亮真達の用意した罠が敵陣に甚大な被害をもたらす瞬間を迎えた。
第三章 暗殺者
水攻めによる敵兵の壊滅と亮真の冷静な判断
亮真は水を満たした堀に浮かぶ無数の敵兵の死体を前に、戦果を冷静に評価した。予想通り、泳げない者が多く、敵兵の多くが溺死したことが確認された。亮真はその成果を確認し、彼の指揮のもとで6千を超える敵兵が戦闘不能となったことを大いに満足していた。
戦闘後の防御態勢と士気の高揚
亮真はローラに、見張り部隊のみを残し、残りの部隊を休息に入れるよう指示を出した。彼は水攻めで大きな被害を与えたことが、味方の士気を上げるのに貢献すると判断し、臨機応変に次の準備を進めた。
ゲルハルト公爵の怒りとケイルへの叱責
ゲルハルト公爵は、敗北から戻ったケイルに対し厳しい言葉を投げかけ、農民兵の消耗は問題ないとしつつも、騎士団の損失に強い怒りを示した。公爵はケイルの敗戦を致命的とみなしながらも、彼を即座に処刑することはせず、別の有効な手段での償いを考えた。
アーレベルク将軍との対立と指揮権の確保
ゲルハルト公爵は、指揮権を巡ってアーレベルク将軍との対立が避けられないと考え、彼の野心に警戒心を募らせた。公爵は、今回の敗戦が自身の立場を弱体化させかねないことに不安を覚えつつも、まだ勝負が決していないと自らを奮い立たせた。
敵指揮官への暗殺指令
ゲルハルト公爵は、敵の指揮官を排除することで戦況を有利に運ぶことを狙い、側近に対して暗殺指令を出した。公爵は敵陣の警備が緩むことを期待し、タイミングを逃さずに暗殺を実行させることで戦局を打開しようと画策した。
戦場の朝と次なる準備
亮真とローラは、夜襲が無かったことを確認し、次なる作戦の準備を進めることを決意した。リオネやボルツ、サーラを含めた部下たちと共に、仕込みを完了させるための会議を開き、亮真は具体的な作戦の指示を出した。
サクヤへの疑念と監視
亮真は、王都から連絡を取り合っているサクヤに対して疑念を抱き、サーラに監視を継続するよう指示した。ボルツは強硬手段を提案したが、亮真は安易な対応を避け、適切な時期に動くことを選んだ。
サクヤの疑惑と新たな発見
サクヤは傭兵団の動きに違和感を覚え、疑念を抱きつつ死体処理を進めた。彼女は亮真への警戒心を持ちながらも、作戦遂行の命令を待っていた。その中で、味方との合図を確認し、任務の進展を確信した。
夜襲とサクヤの暗殺未遂
サクヤは夜の帳に乗じて亮真の天幕に忍び込み、暗殺を試みた。しかし、亮真とその仲間たちによる周到な罠により、彼女は捕えられ、任務は失敗に終わった。サーラやボルツらの包囲により、サクヤは抵抗する術を失った。
老人・厳翁の登場と亮真への謎の質問
暗殺未遂の最中、サクヤの祖父である厳翁が現れ、亮真に「日ノ本の民か」と問いかけた。亮真はその問いに肯定的に答え、厳翁との間に奇妙な信頼関係が生まれた。
忍者の一族としての背景と亮真への忠誠
厳翁は、自身とサクヤが忍者の一族であること、そして日ノ本から召喚された先祖を持つことを明かした。亮真はその一族の存在と目的を理解し、厳翁とサクヤの忠誠を受け入れることを決意した。
新たな仲間としてのサクヤと厳翁の加入
亮真は、彼らの技術と情報収集能力を評価し、危険を承知で彼らを仲間に加えた。こうして、忍者の一族である厳翁とサクヤは亮真の配下となり、今後の戦いにおいて重要な役割を担うことが決定した。
咲夜の苛立ちと厳翁の決断
咲夜は暗殺対象であった亮真に仕えることを決めた祖父・厳翁に対して激しい苛立ちを露わにした。厳翁は冷静に彼女の抗議を受け流し、任務の契約よりも亮真に仕える価値が高いと判断した理由を述べ、契約に固執しない意志を示した。厳翁は亮真の器量に惹かれ、一族の漂泊を終わらせる可能性に期待していた。
厳翁の策略と亮真への関心
厳翁は亮真の策に感心し、孫娘が亮真に敵わなかった理由を見出した。亮真が天幕内で鎧を着て構える策を用いて咲夜を罠にかけたことは、咲夜にとって痛恨の敗北であった。厳翁は亮真の戦略眼と冷静さを高く評価し、彼に仕える意志をさらに強めた。
一族の会議と長老たちの反応
厳翁と咲夜が一族の隠れ家に戻り、長老会議で厳翁が亮真に仕える決断の意図を説明した。長老たちは、暗殺任務を放棄した厳翁の判断に驚愕と反発を示したが、彼が亮真に感じた「初代様の求める器量」を聞き、慎重ながらも亮真を見極める方針に同意した。
忍者一族の悲願と期待
長老たちは、亮真が「日ノ本の民」であり、一族が抱いてきた「初代様の悲願」を成就する人物の可能性があることを重く受け止めた。積極派の長老は即座に亮真を迎え入れることを主張したが、慎重派の長老たちの提案により、まずは厳翁と咲夜のみで亮真に仕え、信頼を得てから判断するという結論に達した。
神刀の鳴動と一族への緊急報告
会議が進行する中、伝令が現れ、一族に伝わる「御神刀」が鳴いたとの知らせをもたらした。この異常事態により、一族の長老たちは緊張を高め、会議は一層の緊迫感に包まれた。
亮真と新たな刀の魅了
数日後、御子柴亮真は伊賀崎厳翁から贈られた刀に心を奪われていた。この刀は名刀ではないが、戦場での実用性が高く、亮真の気に入る代物であった。これに対し、側近のローラは厳翁達を信用できるか尋ねたが、亮真は「彼らを泳がせているだけ」とし、刀に対する満足感を隠さなかった。
ローラの疑念と亮真の信頼論
ローラは、かつて亮真の暗殺を試みた厳翁達が裏切る可能性に対し不安を抱いていた。しかし、亮真は彼らを全面的に信用しているわけではなく、彼にとって本当に信頼できるのはローラやサーラのみであると明言した。また、ローラに考える力を養うため、「宿題」として考えさせる提案をした。
厳翁一族への評価と戦への準備
亮真は厳翁が自分に仕える意図を持つのではないかと考えていた。彼が贈ってきた刀と槍は、亮真の戦闘スタイルに合致しており、実用性が高かったことも亮真を満足させた。また、厳翁一族が実際に戦力として頼れるかどうか、ゲルハルト公爵との戦いが終わるまで慎重に見極める意向を示した。
ゲルハルト公爵の動員令と農民の不安
一方、ゲルハルト公爵は亮真に敗北したケイルの後を受け、全貴族派に総動員令を発したが、農民達は亮真の恐ろしい噂によって参戦を嫌がっていた。その結果、兵力は期待を下回る人数しか集まらず、公爵は亮真の存在に対する不安と苛立ちを募らせていた。
亮真の悪魔的噂の影響
亮真がケイルの軍を水攻めで破ったことが誇張され、彼を「悪魔」と恐れる噂が広がっていた。農民達の間で亮真への恐怖が拡散し、徴兵に応じる者が少ない状況となり、ゲルハルト公爵の戦力に大きな打撃を与えた。この噂が亮真による策略である可能性が公爵の頭をよぎり、その不安が後の亮真の運命に影響を与えることとなった。
第四章 足掻く者達
ゲルハルト公爵の苦境と須藤への依頼
イラクリオンの城で、ゲルハルト公爵は自身の派閥内で支持を失い、須藤に助力を乞うた。アーレベルク将軍が指揮権を強奪し、内部の支持者であるケイルとアーデルハイド伯爵までもが公爵に反旗を翻したため、彼は絶体絶命の状況に追い込まれていた。
会議での主導権争いとケイルの裏切り
ゲルハルト公爵とアーレベルク将軍の会議で、将軍が軍の全権委任を要求した。ケイルは将軍への賛同を表明し、公爵への忠誠を装いつつも自己保身のためアーレベルク側につくことを選んだ。これにより、会議は将軍側に有利な形で終結した。
須藤の策略と公爵の窮地
ゲルハルト公爵は窮地に立たされながらも須藤から救済策を得た。須藤は、アーレベルク将軍が負けることで責任を押し付け、ルピス王女との交渉材料にする案を提案した。また、地下牢に囚われた人物を交渉材料として用いるよう示唆した。
ルピス王女の援軍到着と亮真の不安
援軍が到着し、亮真はゲルハルト公爵が夜襲を仕掛けないことに違和感を覚えていた。亮真は自身が流した噂の影響で徴兵が鈍化したと見ていたが、敵が全く動かない状況には疑念を抱いた。彼は公爵が意図的に平原での決戦を望んでいる可能性を考えた。
エレナとの対話と亮真の計算
亮真は援軍を指揮するエレナに、任務中に失踪したミハイルの件を報告した。エレナは王女に報告する義務を理解しつつも、亮真の潔白を信じていた。亮真もまた、王女の不信を避けるため、エレナに報告を一任し、自身は陣の再編成に取り組むこととした。
エレナの決断とメルティナへの報告
エレナは亮真の報告を王女に直接伝える前に、メルティナに相談することを決意した。これにより、亮真への不信が最小限に留まることを期待し、彼の指揮が影響を受けないよう配慮した。
エレナとメルティナの会話
エレナは、ミハイルの生死不明についてメルティナに報告した。メルティナは亮真を疑うことはないとしつつも、ルピス王女がミハイルの幼少期からの忠誠心を知っているため、王女に与える影響を懸念していた。二人は話し合いの末、メルティナが直接王女に報告を行うことに決定した。
ルピス王女の悲嘆
ミハイルの生死不明を聞いたルピス王女は、彼との幼い頃の記憶を思い出し、悲しみに打ちひしがれた。王女は涙を流しつつも、自身の地位を自覚して亮真を責めないと決意した。しかし、悲しみによりその場を去ることができず、天幕に籠もり涙を流した。
須藤秋武の登場
ルピス王女が一人でいる天幕に、突如として男の声が響いた。男は法術で警護の騎士たちを眠らせており、王女は彼に対抗しようと剣を構えた。男は自らを「須藤秋武」と名乗り、敵意はなく、王女と取引をしたくて現れたことを告げた。
エピローグ
オルトメア帝国の状況と菊川の葛藤
西方大陸中央部の支配者であるオルトメア帝国では、ザルーダ王国への侵攻準備が進められていた。帝都の活気を見下ろしていた菊川は、この大地世界の支配と復讐を目指す組織の理想に心を投じる一方で、無関係な人々を巻き込むことへの不安も抱いていた。復讐と理想の狭間で、菊川は葛藤していたのである。
浅野玲子からの報告書
思索にふける菊川のもとに秘書の浅野玲子が現れ、ローゼリア王国からの報告書を手渡した。報告書は、現地で活動する玲子の弟から届けられたものであり、本来は責任者の須藤が行うべき仕事であったが、須藤は書類作成を嫌う傾向にあり、その負担を彼女の弟が担っている状況が窺えた。
御子柴亮真との再会
報告書には、予期せぬ人物である御子柴亮真の名前が記されていた。菊川は、組織が再び亮真と関わりを持つことに驚きと不安を覚えたが、遠くローゼリア王国の地で、須藤がこの難局に対処することを祈る他なかった。
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