どんな本?
『ようこそ実力至上主義の教室へ』は、衣笠彰梧によるライトノベル作品である。本作は、徹底した実力主義を掲げる高度育成高等学校を舞台に、主人公・綾小路清隆がクラスメイトたちと共に、学校内の熾烈な競争や試練を乗り越えていく物語である。
主要キャラクター
• 綾小路清隆:本作の主人公であり、Dクラスに所属する。冷静沈着で目立たない存在だが、卓越した判断力と戦略眼を持つ。
• 堀北鈴音:Dクラスの女子生徒で、成績優秀かつプライドが高い。兄へのコンプレックスを抱え、Aクラス昇格を目指している。
• 櫛田桔梗:明るく社交的なDクラスの女子生徒で、クラス内外で高い人気を誇る。
• 龍園翔:Cクラスのリーダー的存在で、狡猾かつ攻撃的な性格。目的のためには手段を選ばない。
• 一之瀬帆波:Bクラスの中心的存在で、誰にでも優しく接する性格。多くの生徒から信頼を得ている。
物語の特徴
本作の最大の特徴は、学園内での徹底した実力主義と、それに伴う生徒間の駆け引きや心理戦である。各クラスはポイント制度に基づいて評価され、上位クラスへの昇格や特典が与えられるため、生徒たちは知略を巡らせて競争を繰り広げる。また、主人公・綾小路清隆の謎めいた過去や、彼が持つ圧倒的な能力が物語に深みを与えている。さらに、個性豊かなキャラクターたちの成長や人間関係の変化も、読者の興味を引きつける要素となっている。
出版情報
• 出版社:KADOKAWA
• レーベル:MF文庫J
• 発売日:2015年5月25日
• ISBN:9784040676579
• 刊行開始:2015年5月より『ようこそ実力至上主義の教室へ』として刊行開始。2020年1月から『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編』、2025年3月から『ようこそ実力至上主義の教室へ 3年生編』として続刊中。
• 関連メディア展開:本作はアニメ化されており、『ようこそ実力至上主義の教室へ』として放送された。
• 公式サイト:よう実1年生編公式サイト
読んだ本のタイトル
ようこそ実力至上主義の教室へ
著者:衣笠彰梧 氏
イラスト:トモセ シュンサク 氏
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あらすじ・内容
――本当の実力、平等とは何なのか。
ようこそ実力至上主義の教室へ
希望する進学、就職先にほぼ100%応えるという高度育成高等学校。毎月10万円相当のポイントが支給され髪型や私物の持ち込みも自由。だがその正体は優秀な者が好待遇を受けられる実力至上主義の学校で……!?
主な出来事
日本社会の仕組み
- 現代社会では、男女平等や障害者差別の防止策が進められていた。
- 学校教育では「人は皆平等である」と教えられるが、能力や役割の違いによって平等とは限らないという意見も存在した。
- 平等と不平等の問題は根深く、解決が求められていた。
出会いと学校生活の始まり
- 綾小路清隆は入学式当日、堀北鈴音に声をかけられ会話へ引き込まれた。
- バス内で高円寺六助の自己中心的な行動を目撃したが無関心を装った。
- 入学後、教室内での自己紹介が行われた。
- 平田洋介がクラスをまとめようとするも、高円寺の態度に困惑する者もいた。
- 綾小路も適当な自己紹介を行い、失敗を感じつつクラスの様子を観察した。
学校生活の開始と堀北との関係
- 綾小路は寮での自由な生活を楽しむ中、堀北と再会した。
- 堀北は他人と関わらず、一人で行動することを好む性格であった。
- コンビニでの買い物時、堀北は節約を重視しており、綾小路はその理由を尋ねた。
- 堀北は友人を作らず、一人で行動することが最善だと考えていた。
ポイント制度と現実の提示
- 茶柱先生がポイントシステムについて説明を行った。
- Dクラスは0ポイントであり、遅刻・私語・携帯使用などが原因で全ポイントが減点されていた。
- 堀北は自身がDクラスに配属された理由を探り、Aクラスへの昇格を目指す決意を固めた。
中間テストと勉強会の試み
- 平田がクラス全体の協力を求め、勉強会を提案した。
- 須藤・池・山内は参加を拒否し、堀北は彼らを見限った。
- 綾小路は櫛田の協力を得て、須藤たちを勧誘することに成功した。
- 堀北は効率的な勉強法を提案し、授業中の復習を徹底する方針を示した。
図書館での対立と情報格差の発覚
- Cクラスの山脇が挑発的な態度を見せ、Dクラスに対する情報不足をほのめかした。
- 綾小路と堀北はテスト範囲の確認を行うため職員室へ向かい、範囲の変更が伝達されていなかったことを確認した。
- 新たな範囲に基づいて、再び勉強会を開催することとなった。
過去問の使用とテスト対策
- 綾小路が過去問を手に入れ、それをクラス全体に配布することで赤点回避を目指した。
- 櫛田の協力により、過去問の配布が行われた。
- 茶柱先生は中間テストと期末テストで赤点を取らなければ夏休みのバカンスを提案し、生徒たちの意欲を引き出した。
中間テストの実施と結果
- テスト当日、過去問を利用した対策が効果を発揮し、多くの生徒が高得点を獲得した。
- 須藤は英語の点数が赤点基準に達せず、退学の危機に陥った。
- 綾小路は茶柱先生に交渉を行い、10万ポイントを支払うことで須藤の退学を免れた。
- 堀北も協力し、ポイントの提供を行うことで須藤の退学は回避された。
祝勝会と新たな決意
- 元赤点組は綾小路の部屋に集まり、退学回避を祝う祝勝会を開催した。
- 堀北は自分の利益のために行動したことを明かしつつも、クラスメイトの感謝に対して冷淡な態度を崩さなかった。
- 堀北はAクラスへの昇格を目指す決意を再確認し、綾小路と共に努力を続ける意志を示した。
- Dクラス全体が成長し、次の試練に向けて備える日々が始まった。
感想
本書は、学園内での過酷な競争と人間関係を描いた作品である。
高度育成高等学校という一見自由で理想的な環境でありながら、その実態は実力主義によって生徒たちを厳しく評価する場であった。
表面上の平等が実は冷酷な競争の中に隠されていることを知ることで、この物語に強く引き込まれた。
物語の始まりから回想に入って戻ってくるまでの流れは謎に満ちており、理解するのに苦労を強いられた。
特に、一巻を読み進める中で何度も挫折しかけたことが印象に残っている。
自称事勿れ主義の主人公・綾小路清隆は、常に冷静で控えめに行動しつつも、実際には計り知れない能力を持つ。
ミステリアスなヒロインである堀北鈴音、社交的で二面性を持つ櫛田桔梗、粗暴で単純な須藤健など、個性豊かなキャラクターが揃い、それぞれの思惑や信念が物語に深みを与えていた。
特に興味深かったのは、中間テスト対策という一見平凡な課題が、実際には退学を賭けた重大な試練として描かれる点である。
赤点を取れば即退学という過酷な制度に対し、生徒たちだけで打開策を見出そうとする姿は感動的であった。
だが、担任の茶柱先生が非協力的であるばかりか、重要な情報を他クラスより後に伝えるなど、不公平な状況が用意されている点には理不尽さを感じた。
しかし、それ以上に興味を引かれたのは、生徒たちがこの状況を自分たちの力で乗り越えようとする姿勢であった。
協力を拒む者や、表向きは善意を装いながらも裏では他者を利用しようとする者などが存在する中で、彼らは徐々に信頼関係を築き、共に前へ進もうとする。
綾小路と堀北、そして櫛田の関係性もまた、緊張感と共に描かれており、物語の核心を形作っている。
一方で、試験の制度が過酷すぎる点に関しては疑問を抱かざるを得なかった。
退学のリスクを常に背負いながら過ごす日常は、読者にとっても息苦しさを感じさせる。
特に綾小路たちが必死に中間テスト対策を行う場面では、その過酷さが一層際立っていた。
総じて、本作は生徒たちの試練を通じて人間関係の変化や成長を描き出す点が魅力である。
また、実力至上主義というテーマがもたらす冷酷さと、それに対抗する彼らの努力が、物語に独自の緊張感を与えていた。
次巻以降もこの厳しい環境の中で彼らがどのように成長し、何を掴み取るのかを見届けたいと強く感じさせられた。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
○日本社会の仕組み
問いかけと平等の議論
人は平等であるか否かという問いに対し、現代社会は平等を追求する傾向が強まっていた。男女間の平等を主張し、女性の雇用率を高める取り組みや専用車両の設置が進められていた。また、障害者に対する差別を避けるために「障がい者」という表現が使用されるようになった。教育現場でも、子供たちに人は皆平等であると教え込む風潮があった。しかし、それが本当に正しいかどうかについて疑問が提起されていた。
不平等の現実と学問のすゝめ
人間は能力や役割が異なる存在であり、平等な人間など存在しないという考え方が示されていた。過去の偉人が述べた「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」という有名な言葉も、皆が平等であることを訴えているのではなかった。この一節の続きでは、仕事や身分に違いが生じるのは学問に励んだか否かによるとされていた。『学問のすゝめ』に記されたこの教えは、2015年時点においても事実として変わっていなかったが、問題はより複雑で深刻化していた。
平等と不平等への考察
人間は考えることができる生き物であり、本能のまま生きることが正しいとは限らないと考えられていた。平等という概念は虚偽に満ちているが、不平等もまた受け入れ難い現実であるとされていた。人間にとって永遠の課題である平等と不平等の問題に対し、新たな答えを見出そうとする姿勢が示されていた。
将来への問いかけ
読者に対して、自分の将来について真剣に考えたことがあるかという問いかけがなされていた。高校や大学に通う意味や、将来の仕事に対する想像が曖昧であることが問題とされていた。筆者自身もかつては同じように漠然とした将来観を持っていた。義務教育を終えて高校生となった際には、義務から解放された自由を喜びつつも、自分の人生に影響を与える決定的な時期にいることに気づいていなかった。学校で学ぶ国語や数学の意味すら理解していなかったと述べていた。
○ようこそ、夢のような学校生活へ
出会いと堀北との会話
綾小路清隆は、堀北鈴音に声をかけられた。彼は眠ったふりをしようとしたが、堀北に見抜かれ、会話に引きずり込まれた。堀北は冷徹な態度で、彼に協力を求める姿勢を見せていたが、綾小路は嫌々ながらもそれに応じることにした。
入学式当日とバス内の出来事
綾小路は入学式当日、混雑するバス内で老婆に席を譲らない男子高校生・高円寺六助を目撃した。高円寺は社会的な義務を否定し、自分の権利を主張して座り続けた。OL風の女性は抗議するも、高円寺に言い負かされた。だが、勇気を持った少女が他の乗客に協力を求め、最終的に一人の女性が席を譲った。綾小路はこの出来事に無関心を装い、特に行動を起こさなかった。
堀北との再会と自己紹介
綾小路が入学式後に教室に入ると、隣の席には堀北鈴音がいた。彼女は周囲に無関心で読書に集中していたが、綾小路の自己紹介に対して冷淡な態度を示した。堀北は他人と関わりを持つことを嫌っていた。
平田の提案とクラス内の自己紹介
平田洋介という優等生が、クラス全員に自己紹介を提案した。生徒たちは次々に自己紹介を行い、和やかな雰囲気を作り出していた。中には緊張する者や、不良のような態度を取る者もいたが、全体としては友好的なムードで進んでいた。平田の誠実な態度はクラスメイトの支持を得ていた。
高円寺の自己紹介とクラスの反応
高円寺六助は自分を特権的な存在と捉え、他者を見下すような自己紹介を行った。彼の傲慢な態度に対し、クラスメイトたちは困惑しながらも距離を置こうとする者が多かった。綾小路は彼の異質さに興味を抱いたが、それ以上関わろうとはしなかった。
綾小路の自己紹介と失敗感
綾小路は自己紹介の順番が回ってきた際、適当な言葉で挨拶を済ませようとしたが、思った以上に自分の発言が上手くいかず、失敗を痛感した。彼は自己紹介を通じてクラスに溶け込むことができるかどうかに不安を抱きつつも、状況を観察し続けることにした。
学校生活の開始と寮への移動
入学式が無事に終わり、昼前には生徒たちが敷地内の説明を受けた後に解散となった。多くの生徒は寮に向かい、一部はグループを作ってカフェやカラオケに向かった。綾小路は一人で興味を持っていたコンビニへ立ち寄った。
堀北との再会と意見の相違
コンビニで堀北鈴音と再会した。堀北は必要な日用品を選びつつ、安価なものを中心に購入していた。綾小路はシャンプーにこだわらないのかと問いかけたが、堀北は「お金はいつ必要になるかわからない」と答えた。さらに、堀北は自己紹介の場に参加しなかった理由を語り、自己紹介が必ずしも友人関係の形成に繋がらないと主張した。
コンビニでの商品の観察と須藤との出会い
綾小路はコンビニの商品価格を確認しながらポイント制度の仕組みに興味を持った。そんな中、会計で揉めていた須藤と出会い、学生証を忘れた須藤のためにカップ麺の支払いを立て替えた。須藤は綾小路に礼を述べたが、同時に堀北の冷淡な態度に対して怒りを示していた。
須藤と上級生との対立
コンビニの前で須藤がカップ麺を食べていると、二年生の上級生たちに絡まれた。須藤は挑発を受けても怯まず食ってかかり、やがて上級生たちが「Dクラス」の存在を嘲笑する様子を目撃した。須藤は怒りを抑えきれず、彼らを威嚇したが、上級生たちは余裕を持って立ち去った。
寮生活の開始と自由への期待
午後一時頃、綾小路は寮に到着し、部屋のカードキーとルールのマニュアルを受け取った。寮内では電気代やガス代に制限はなく、基本的な生活の指導のみが記載されていた。男女共用の寮であることに少し驚きつつも、綾小路は初めての一人暮らしに期待を抱いた。この学校の待遇は非常に良く、就職率も高いとされていたが、綾小路にとって重要なのは過去から解放されることであった。家族や友人との接触を断ち、自分だけの生活を築けることに喜びを感じていた。
綾小路は自由を謳歌しつつ、新しい生活を楽しむ決意を固めた。
○ Dクラスの皆様方
授業初日とクラス内の様子
授業初日では、教師たちは進学校らしからぬフレンドリーな態度を見せた。生徒たちは拍子抜けし、須藤はほとんどの授業中に眠り込んでいた。教師は授業を聞くかどうかを生徒の自由に任せ、注意することはなかった。昼休みになると、生徒たちは友人同士で食事へと向かい、綾小路は一人で寂しさを感じていた。
堀北との会話と友人作りの難しさ
綾小路がクラスメイトと親しくなれずにいる中、堀北鈴音が冷笑しながら彼をからかった。堀北は自分が一人でいることを好むと明言し、友人を作る意志がないと述べた。綾小路は孤立を避けるためにも友人を作る必要性を感じていたが、行動に移すことができなかった。
平田の提案と失敗感
平田が昼食に行く仲間を募った際、多くの女子が参加を表明したが、綾小路は手を挙げることができなかった。平田が彼に声をかけようとするも、他の女子に遮られてしまった。結局、平田と女子たちは楽しそうに食堂へ向かい、綾小路は孤独を痛感した。
田の接触と堀北への関心
綾小路が学食に向かう途中、クラスメイトの田が彼に声をかけた。田は堀北と友達になりたがっていたが、連絡先を拒否されたことを話した。彼女はクラス全員と仲良くなりたいという願望を持っており、堀北の孤立を心配していた。綾小路は堀北の性格について答えつつも、自分が堀北と特別な関係にあるわけではないと説明した。
部活動説明会と堀北の反応
放課後、綾小路と堀北は部活動説明会に参加した。体育館には一年生が集まり、各部の代表が活動内容を紹介した。堀北は説明会中、ある生徒に対して強い関心を示し、驚いた様子を見せた。その生徒は堀北学という名前の生徒会長であり、圧倒的な存在感で会場を支配した。彼の演説は厳格で力強く、全体を静寂に包んだ。
堀北学の演説と生徒会への警告
堀北学は生徒会の立候補について話し、甘い考えで立候補する者を拒絶する姿勢を示した。彼は生徒会の権利と使命について説明し、軽率な行動を取る者は学校に汚点を残すと断言した。その厳粛な演説に一年生たちは圧倒され、全員が静まり返った。
堀北の動揺と綾小路の新たな出会い
堀北は堀北学に対して何かを感じた様子で、表情を硬くしたまま立ち尽くしていた。綾小路は彼女の様子を気にしつつも、須藤、池、山内と新たに友人関係を築くことができた。池の提案で男子用のグループチャットに参加することになり、綾小路は少しずつ友人を作る機会を得ていった。
○男性諸君、お待たせしました
登校と友人との会話
池と山内は入学式から1週間が経過したある朝、珍しく早く登校していた。二人は水泳の授業を楽しみにしており、特に女子の水着姿を見ることに対して興奮していた。周囲の女子たちからは不快感を抱かれていたが、彼らは意に介さなかった。
堀北との再会と皮肉
綾小路は池や山内と話すことができずにいたが、堀北鈴音が再び冷たい態度で彼に話しかけてきた。彼女は綾小路に友人を作る努力をすべきだと皮肉を言ったが、自分が彼の友人ではないことを明確に伝えた。綾小路は堀北に対して友人とは考えていないと答えた。
池たちとの交流と不適切な賭け
池や山内は、クラス内で女子の胸の大きさを賭けるという下品な遊びに興じていた。綾小路は興味を示さないものの、友人を作るためにこの遊びに参加することを決めた。彼らは女子の名前をリスト化し、賭けを進めていた。
水泳授業の開始と観察
昼休みが終わり、水泳の授業が始まった。池たちは女子の水着姿を期待していたが、多くの女子が見学を選んだことに落胆した。特に期待されていた長谷部は見学者としてプールサイドにいた。池はそのことに対して大いに不満を示した。
男子の水泳競争と須藤の実力
水泳の授業では、男子の自由形競争が行われた。須藤は運動神経の良さを示し、25秒を切る好タイムを記録した。池や山内は須藤の実力に驚きつつも、彼の余裕ある態度に嫉妬を抱いた。
平田の人気と高円寺の異様な存在感
平田も水泳競争で好成績を収め、特に女子からの人気を集めた。しかし、高円寺六助が登場し、圧倒的な実力を見せつけた。彼は23秒台というタイムを記録し、他の男子を圧倒した。その実力にクラスメイトたちは驚きを隠せなかった。
櫛田との会話と友情の芽生え
競争の合間に綾小路は櫛田と会話する機会を得た。櫛田は中学時代に水泳が苦手であったことを話し、綾小路も自分の運動能力について謙遜した。綾小路は初めてクラスメイトと自然な会話を楽しむことができたと感じた。
高円寺の勝利と須藤の挑戦心
水泳の最終競争では高円寺が須藤を圧倒し、優勝を果たした。須藤は高円寺に負けたことに対して強い悔しさを覚え、次の機会にリベンジを誓った。池は櫛田に対する綾小路の接触を警戒し、二人の間に割り込むように行動した。
○友達
櫛田の誘いと堀北の拒絶
櫛田は友人たちとカフェへ行く前に、堀北を誘った。しかし、堀北は露骨に断り、櫛田の誘いを一刀両断に切り捨てた。堀北は他者との関わりを避ける姿勢を崩さず、櫛田の粘り強い誘いも受け入れることはなかった。
平田の相談とクラスメイトの懸念
平田は堀北の孤立を心配し、綾小路に相談を持ちかけた。クラスメイトからの意見として、堀北の孤立が問題視され始めていることを伝え、綾小路に対策を求めた。しかし、綾小路は堀北の行動を個人の自由と捉え、強制することに疑問を感じていた。
櫛田の決意と堀北への接触
放課後、櫛田は寮の前で綾小路を待ち伏せ、堀北との関係を改善したいという意志を伝えた。櫛田は堀北の笑顔を見たいと願い、友達になりたいと強く望んでいた。綾小路は彼女の情熱に応じ、堀北に働きかけることを決意した。
堀北への誘いとパレットへの訪問
翌日放課後、綾小路は堀北を誘い出し、学校内のカフェ「パレット」へと向かった。堀北は綾小路の提案に疑問を抱きつつも同行した。二人はカフェで席を確保し、周囲の様子を観察しながら会話を交わした。
櫛田の登場と堀北の拒絶
綾小路と堀北がカフェで過ごしている中、櫛田が偶然を装って現れた。堀北はその意図を見抜き、二人の計画を非難した。櫛田は改めて友達になりたいと訴えたが、堀北は冷たく拒絶し、以後は関わらないようにと警告した。
綾小路と櫛田の会話と結論
堀北が去った後、綾小路と櫛田はカフェで話を続けた。櫛田は堀北との関係が改善されなかったことを悔やんだが、友達になりたいという気持ちは変わらないと述べた。綾小路は、堀北の孤立を改善することが難しいと感じつつも、櫛田の努力を評価した。
○終わる日常
数学の授業とクラスメイトの様子
数学の授業中、池と山内は相変わらず大声で談笑していた。彼らは須藤と共に「三バカトリオ」と呼ばれ、周囲からも認知されていた。授業中の私語や遅刻が黙認される教室環境に、生徒たちは自由気ままに過ごしていた。堀北は真面目に勉強を続けていたが、そうした生徒はごく少数であった。
小テストの実施と茶柱先生の指示
社会の授業で茶柱先生は小テストを実施した。主要五科目から出題され、全二十問の百点満点であった。問題の大半は簡単であったが、最後の三問は難易度が高かった。茶柱先生はテストの成績が成績表には反映されないと述べたが、その含みのある言い方に綾小路は違和感を覚えた。堀北はテストに集中し、問題を次々と解いていた。
放課後の雑談と友人関係の形成
昼食後、綾小路は須藤や池、山内と自販機近くで雑談していた。池と山内は綾小路と堀北が付き合っていると誤解し、綾小路に詰め寄った。綾小路は否定しつつも、友人としての関係を続けていた。また、彼らは平田と軽井沢が付き合っているという噂を耳にし、興味津々に話題を広げていた。
池と山内の無駄遣いとポイントの消費
山内はすでに九万ポイント以上を使い切っており、残りは二千ポイントであった。携帯ゲーム機を購入したことが原因であったが、友人たちとゲームを楽しむための投資であると捉えていた。ポイントが尽きると無料の山菜定食や水に頼らざるを得なくなる現実に、不安を感じる者もいた。
放課後の遊びと櫛田の人気
池と山内は櫛田を巡って競い合っていた。放課後には平田、軽井沢、松下、森と共に遊びに行くことになった。軽井沢と平田が付き合っていることが確認され、池と山内は櫛田に注目を集中させた。櫛田は全体の雰囲気を良くするために気を配り、三つのグループを繋ぐ役割を果たしていた。
学校生活とポイント制度への疑問
平田や櫛田は学校生活の贅沢な環境に対して不安を抱いていた。特に平田は金銭感覚が狂うことを恐れ、櫛田もポイントが多すぎると感じていた。一方で、池や軽井沢はもっとポイントが欲しいと考えていた。綾小路はまだ実感が持てず、学校の方針やポイント制度に疑問を抱きつつも日々を過ごしていた。
○ようこそ、実力至上主義の世界へ
学校生活の開始とポイントの問題
5月の始業日に茶柱先生が教室に現れ、何か質問があるなら今のうちにと告げた。生徒たちの間ではポイントが支給されていないという不安が広がっていた。本堂たちはポイントの振り込みがなかったことを訴えたが、茶柱先生は既に振り込まれたと告げる。だが実際には、Dクラスにはポイントが支給されていなかったことが判明した。
ポイントシステムの説明と衝撃的な事実
高円寺の指摘により、Dクラスには一切ポイントが支給されなかったことが明らかとなった。茶柱先生は、生徒たちの遅刻、私語、携帯の使用が原因で10万ポイントすべてが減点されたと説明した。さらに、クラスごとのポイントはクラス全体の行動によって評価され、個人の行動のみでは評価されない仕組みであることが明かされた。
クラスのランク付けと現実の提示
教室内に貼り出された成績表から、Dクラスが0ポイントであることが確認された。さらに、他のクラスもポイントを減少させているが、Dクラスだけが完全に0ポイントとなっている事実が示された。茶柱先生は、生徒たちがこの学校で評価されるのは実力であり、Dクラスは落ちこぼれと見なされていると告げた。
生徒たちの反応と葛藤
多くの生徒は自分たちがDクラスに配属されたことにショックを受け、特に進学や就職を目指す者にとっては深刻な問題となっていた。堀北は自身がDクラスに配属された理由を尋ねるために指導室を訪れるが、茶柱先生は明確な回答を避けた。堀北は、自身の学力を誇りに思いながらも、学校側の評価基準に納得できない様子であった。
平田のリーダーシップとクラスの混乱
平田は生徒たちをまとめようとするが、須藤や他の生徒たちは協力する意思を見せず、クラス全体は混乱状態に陥った。平田はポイントを増やすために遅刻や私語をやめることを提案するが、須藤は反発し、平田の努力は報われなかった。
茶柱先生の呼び出しと新たな疑問
綾小路は茶柱先生に呼び出され、個別に指導室へ案内される。そこで茶柱先生は綾小路のテスト結果がすべて50点であることに注目し、それが意図的であるかどうかを問いただした。綾小路は偶然だと主張するが、茶柱先生は彼の行動に興味を抱いている様子であった。
堀北との対話と今後の展望
茶柱先生との対話の後、堀北は綾小路に対して疑問を抱きながらも、自分がDクラスに配属された理由を探ろうと決意を新たにした。堀北は学校の評価基準を疑い、DクラスからAクラスへと上がることを目指すことを決意するが、その道のりは険しいものであると予想された。
○集え赤点組
授業中の騒動と堀北の対策
授業中、池と山内は教師の話に耳を傾けるふりをしながらも私語を続けていた。唯一、須藤だけは堂々と居眠りをしていたが、教師から特に注意されることはなかった。堀北はクラスをDクラスから脱却させるための行動を始めていたが、学校への抗議は失敗に終わっていた。
平田の勉強会の提案
昼休みの終わりに平田は教室で勉強会を開くことを提案した。赤点を取れば退学になるという危機感を共有し、クラスメイトを巻き込んで勉強することでポイントの改善を目指すと説明した。平田の提案に賛同する生徒もいたが、須藤や池、山内は参加を拒否していた。
堀北の勉強会計画と協力の要請
堀北は綾小路を昼食に誘い、テスト対策のための勉強会を計画していることを伝えた。特に赤点の危険がある須藤や池、山内を対象とし、彼らを勉強会に参加させるために綾小路に協力を求めた。堀北は綾小路に対し、友人である彼らを説得するよう要求した。
須藤と池への勧誘の失敗
綾小路は須藤や池を勉強会へ誘おうとしたが、両者は勉強に興味を持たず参加を拒絶した。特に須藤は部活を優先し、池も携帯で女子とチャットすることに夢中であった。綾小路は堀北の要求を果たせず、失敗に終わった。
櫛田への協力依頼と賛同
綾小路は櫛田に協力を求めた。櫛田は自分がクラスの仲間を助けることができると考え、快く協力を約束した。櫛田はクラスメイトへの影響力を利用し、須藤や池、山内を勉強会に誘うことに成功した。櫛田の協力によって勉強会への参加者が増える可能性が高まった。
堀北の反発と条件の提示
堀北は櫛田が勉強会に関わることを強く拒否した。彼女は櫛田の参加が混乱を招くと判断し、赤点組の勧誘には協力を許可するが、勉強会への参加は認めないと主張した。綾小路は堀北の頑なな態度に困惑しつつも、説得を試みたが失敗した。
綾小路の葛藤と櫛田の提案
綾小路は堀北に反対されながらも、櫛田に協力を依頼する決意を固めた。櫛田は堀北の意見に反発せず、勉強会を成功させるために全員を連れて行くことを提案した。綾小路は櫛田に任せることを決意し、翌日の勉強会に望みを託した。
勉強会の開始と参加者の集結
堀北は不機嫌であり、勉強会を始めるにあたり参加者が集まっているかを確認した。櫛田が参加者を集めてきたが、その中に本来赤点ではない沖谷が含まれていた。沖谷は赤点ギリギリで不安を感じ、参加を希望したのである。堀北は、赤点の可能性があるならば参加を許可した。
櫛田の策略と勉強会への参加
櫛田もまた自らの赤点の可能性を示し、参加を求めた。堀北は納得がいかない様子であったが、櫛田は小テストの成績が偶然良かっただけだと主張した。結果的に堀北は櫛田の参加を認めた。沖谷の参加許可があったため、櫛田の計算通りとなった。
勉強会の混乱と堀北の強硬な態度
堀北は勉強会で赤点組に対して50点以上を目指すことを求めた。須藤たちはその基準に戸惑い、問題の難しさに苦戦した。堀北の厳格な態度が原因で、勉強を続ける意欲を失った生徒もいた。最終的に須藤たちは堀北に反発し、勉強会を放棄して退席した。
堀北と櫛田の対立
櫛田は堀北に対し、勉強会の進行に不満を表明した。堀北は赤点組を切り捨てることでクラスの平均点を上げることを目指すと言い放った。この対応に対して櫛田は反発し、自分なりに仲間を助けようと決意した。
櫛田の裏の顔と策略
綾小路は学校内で櫛田が一人で暴言を吐いている場面を目撃した。櫛田は堀北に対する不満を露わにし、ストレスを発散していた。綾小路がその場を離れようとするも、櫛田に見つかり、脅しを受けることとなった。櫛田は自分の秘密を守るために綾小路を脅迫し、口外しないことを誓わせた。
堀北の兄との対峙
綾小路は堀北が深夜に外出し、堀北の兄と会っている場面を目撃した。兄は堀北に対し、Aクラスに上がることは不可能であると告げ、学校を去るように命じた。堀北はそれに反発するも、兄から強引に押さえつけられる。綾小路は堀北を助けようとし、兄と対峙することになった。
綾小路と堀北の対話
堀北の兄が去った後、綾小路と堀北は学校の方針について意見を交わした。綾小路は堀北が赤点組を切り捨てることはクラス全体にとってマイナスである可能性を指摘した。堀北は自分の目的のためには不要な人間を切り捨てるべきだと主張したが、綾小路の説得により考えを改めることとなった。
契約の成立
綾小路の説得により、堀北は赤点組を救うことに取り組むことを決意した。ただし、その目的はあくまでも自分の利益のためであり、打算的な動機であると自覚していた。綾小路と堀北は手を取り合い、協力することを決めた。
○再結集・赤点組
勉強会の再開と櫛田の協力
堀北は綾小路に対して再び須藤たちを説得するよう依頼した。堀北自身も櫛田に協力を求め、カフェパレットで話し合いを行った。櫛田は協力を承諾し、堀北と共に勉強会の再開に向けて動き出した。
須藤たちへの勧誘と新たな試み
堀北は須藤、池、山内に対して再び勉強会への参加を促した。須藤は堀北への反感を見せつつも、綾小路の提案によって最終的に参加することを決めた。堀北は授業中に学ぶ内容を効率よく吸収するため、授業の合間に短時間の勉強会を行う方法を提案した。
勉強方法の改善と授業中の集中
堀北は、授業中に分からない点をすぐに解決する方法として、授業後の短時間で解説することを考案した。綾小路と櫛田も協力し、効率的に知識を吸収させる体制を整えた。須藤たちは堀北の提案に疑念を抱きながらも、授業中の集中と復習を徹底することを約束した。
堀北と櫛田の協力体制
堀北は堅実な勉強法を提案し、櫛田は須藤たちとの仲介役として信頼を築いていた。綾小路も二人をサポートする立場を取り、効率的な勉強会の運営を行った。堀北は自身の目的であるAクラスへの昇格を目指し、赤点を回避するために徹底的な対策を施した。
図書館でのトラブルと他クラスとの対立
図書館での勉強中、Cクラスの山脇が挑発的な態度で堀北たちに絡んできた。須藤が激昂し衝突寸前となったが、Bクラスの一之瀬が場を取りなした。堀北と綾小路はCクラスの意図を疑い、テスト範囲に関する不安を抱くことになった。
テスト範囲の疑念とクラス間の情報格差
Cクラスの山脇の発言により、Dクラスだけがテスト範囲を誤認している可能性が浮上した。堀北と綾小路は、この情報が意図的に隠されていたのか、あるいは伝達ミスであるのかを疑った。もしすべてのテスト範囲が異なっていた場合、今までの勉強が無駄になってしまう危機感を抱いた。
再結成した勉強会の努力と成果
再結成した勉強会は順調に進み、須藤たちは懸命に勉強に取り組んだ。堀北の指導の下で、彼らは短期間で成果を出すことを目指し、授業中の集中を重視した。特に須藤は自分の夢であるバスケットボールを続けるために努力を続けた。
クラス間の競争と情報操作の可能性
堀北と綾小路は、学校内でのクラス間の競争が激化していることを認識した。特にCクラスの山脇の挑発や情報操作の可能性が疑われた。Dクラスは他クラスとの情報格差を克服するために、引き続き努力を続ける必要があると感じていた。
綾小路の疑念と今後の展望
綾小路は学校の評価制度やテスト範囲の不透明さに疑問を抱いた。学力以外の要素が評価される中で、退学制度がどのように運用されているのかを考察する必要があると感じた。今後も堀北や櫛田と協力しながら、Dクラスの向上を目指していく決意を固めた。
職員室での確認と教師のミス
昼休みが終わる直前、綾小路たちは勉強会を中断し、職員室へ急いで向かった。テスト範囲の正確さを確認する必要があると判断したためである。堀北が茶柱先生にテスト範囲の確認を求めたところ、テスト範囲が変更されたことが伝え忘れられていたことが判明した。茶柱先生は範囲をノートに書き出し堀北へ渡したが、その範囲は勉強会で学習した範囲とは大きく異なっていた。
堀北の指示と櫛田の協力
堀北は茶柱先生の対応に不満を感じながらも、新しいテスト範囲の確認を終えた後、櫛田に範囲をDクラス全体に知らせるよう依頼した。櫛田は快諾し、平田を始めとするクラスメイトに範囲を伝えることを約束した。堀北は次の勉強計画を立てるために再び集中することを決意した。
須藤の決意とチームの再結成
須藤は新しいテスト範囲を知ったことで焦りを覚えた。彼は勉強に集中するため、一週間部活を休むと決意し、堀北に協力を申し出た。堀北は驚きつつも、その決意を受け入れ、勉強会を再開することを決めた。池や山内も須藤に影響されて協力する意思を見せ、クラスメイトの結束が強まった。
綾小路と櫛田の交渉
綾小路は職員室でのやり取りに疑問を抱き、さらに調査を進めることに決めた。彼は食堂でDクラスの三年生と接触し、過去の中間テストの問題を入手する交渉を行った。綾小路はポイントを提供することで、三年生から過去問を手に入れることに成功した。
過去問の有効性と利用方法の計画
過去問を確認した綾小路は、小テストの問題と過去問が完全に一致していることを確認した。綾小路はこの事実を保険として利用し、テスト直前にクラスメイトに伝えることで効果を最大化する作戦を立てた。過去問に頼りすぎることで油断しないよう、必要な時にだけ使用する方針を固めた。
櫛田との協力と秘密の共有
綾小路は過去問を手に入れたことを櫛田に打ち明け、自分ではなく櫛田が過去問を手に入れたことにするよう提案した。櫛田はその提案を受け入れ、クラスメイトに信頼される自分が情報を提供することを引き受けた。綾小路は目立つことを避けるためにこの方法を選び、櫛田との信頼関係を築くことにも成功した。
過去問の使用計画と今後の展望
綾小路は過去問をテスト直前に使用することで、クラスメイトに効率的な対策を促す作戦を立てた。過去問を過信せず、勉強会で得た知識を活かす方針を貫き、全員の赤点回避を目指す決意を固めた。綾小路はこの作戦を通じて、Dクラス全体を救うための準備を着々と進めていた。
○中間テスト
過去問の配布とクラスメイトの反応
木曜日の放課後、綾小路は櫛田に依頼し、事前に準備していた過去問をクラス全員に配布した。櫛田は明日の中間テストに備えて役立つ資料として、過去問を配布することを宣言した。クラスメイトたちはその資料に驚きと喜びを示し、特に池や須藤たちは感謝の言葉を口にした。堀北も過去問の有効性を認め、櫛田の行動を評価した。
堀北と櫛田の対話
堀北は櫛田に対し、過去問を利用するという発想が自分にはなかったことを認め、感謝を述べた。櫛田はクラス全体のために行動したと語り、堀北もまたその功績を素直に評価した。二人の間には一定の信頼関係が芽生えつつあったが、堀北は櫛田が自分を嫌っているのではないかと疑念を抱いていた。
櫛田の本音と堀北への告白
堀北は櫛田に対し、彼女が自分を嫌っていることを確認したいと告げた。櫛田は笑顔で「大っ嫌い」と答え、堀北はその言葉を受け止めた。堀北は櫛田の本音を聞くことで逆に安心感を得た様子であり、これからも協力を続ける意志を示した。
茶柱先生の挑戦とバカンスの提案
翌朝、茶柱先生は中間テストの開始前に生徒たちへ挑発的な提案を行った。もし中間テストと期末テストで誰一人として赤点を取らなければ、全員を夏休みにバカンスへ連れて行くと宣言した。この提案は特に男子生徒たちのやる気を引き出し、クラス全体に活気が生まれた。
テストの開始と過去問の効果
テストが始まり、綾小路は過去問と類似した問題が多く出題されていることに気付いた。過去問を丸暗記していた生徒たちは問題を順調に解いていき、特に池や山内は自信を持って試験に臨んでいた。堀北もまた、勉強会で教えた範囲が正確であったことに安堵していた。
須藤の苦戦と堀北のサポート
一方で須藤は英語の過去問に対する対策が不十分であったことから、試験中に苦戦していた。堀北はテスト直前に須藤へ助言を与え、得点を稼げる部分を優先して解くよう指示した。須藤は焦りながらも堀北の指示に従い、全力でテストに挑んだ。
テスト終了後の不安と堀北の謝罪
テストが終わり、クラスメイトたちは一様に安堵しつつも不安を抱えていた。須藤は自分の出来に自信を持てず、焦りと苛立ちを隠せなかった。堀北は須藤に対し、これまでの努力を認める言葉をかけた。また、自身が以前に須藤の夢を愚かだと断じたことを謝罪し、バスケットボールへの情熱を尊重する姿勢を見せた。
須藤の決意と堀北の変化
堀北の謝罪を受けた須藤は驚きつつも、バスケットボールの夢を諦めずに追い続ける決意を新たにした。堀北もまた、他人の夢を否定することの誤りを認め、自分の考え方を見直すきっかけとなった。堀北と須藤の関係は、これまでとは異なる形で前向きなものへと変わり始めていた。
○始まり
テスト結果の発表と須藤の赤点判定
放課後、茶柱先生は中間テストの結果を発表した。数学と国語、社会では満点者が10人以上おり、生徒たちは高得点を喜んだ。しかし、須藤は英語の点数が39点であり、赤点基準の40点を下回っていた。須藤は赤点を回避したと考えていたが、茶柱先生は今回の基準が40点未満であることを告げた。須藤はこの結果に納得できず反論を試みたが、茶柱先生は冷静に事実を示した。
堀北の反論と計算方法の違い
堀北は前回のテストと今回の基準設定方法に矛盾を感じ、茶柱先生へ質問した。前回は32点未満が赤点であり、平均点を2で割った結果が32.2であることから小数点以下を切り捨てたと堀北は考えた。しかし、今回のテストでは小数点以下が四捨五入され、赤点基準が40点に設定されていたことが明かされた。茶柱先生は堀北の指摘を受けつつも、この基準が正当であることを主張した。
須藤の退学決定と堀北の努力
茶柱先生は須藤の退学を宣言し、放課後に手続きするよう指示した。堀北は英語の平均点を下げるために自分の得点を意図的に低くしようと試みたが、それでも須藤を救うことはできなかった。堀北は自分の努力が無駄に終わったことを認め、自己嫌悪に陥った。
綾小路の交渉と茶柱先生との対話
綾小路は職員室へ向かい、茶柱先生に対して不平等なテスト範囲の告知が須藤の赤点に影響を与えた可能性を指摘した。綾小路は公平な対応を求めると同時に、茶柱先生に1点を売ってくれるよう交渉を持ちかけた。茶柱先生はこの提案に興味を示し、10万ポイントを支払うことで須藤に1点を与えることを許可した。
堀北の支援と須藤の救済
綾小路だけでは10万ポイントに届かず、堀北が自身のポイントを提供することで交渉は成立した。茶柱先生は綾小路と堀北の行動を評価し、須藤の退学取り消しを認めた。
茶柱先生の評価と堀北の成長
茶柱先生は綾小路の行動を高く評価し、特に過去問を入手し共有したことを称賛した。また、堀北に対しても他人を助ける行動を取ったことを評価し、今後の成長を期待している様子を見せた。
堀北の決意と綾小路との関係
堀北は自分の信念を曲げず、クラス全体を救おうとする行動を見せた。茶柱先生もその努力を認め、堀北と綾小路の協力を歓迎する姿勢を示した。綾小路と堀北の間には信頼関係が芽生えつつあり、今後の協力が期待される状況であった。
○祝勝会
祝勝会と堀北の態度
中間テストの結果発表から一夜明け、元赤点組は綾小路の部屋に集まり祝勝会を開いた。須藤や池、山内たちは退学を免れたことに安堵し、喜びを分かち合った。堀北は相変わらず読書に集中し、周囲の騒ぎに加わることはなかった。
堀北への感謝と勉強会の意義
池たちは自分たちを救った堀北に感謝を示したが、堀北は自分のために行動しただけだと述べた。堀北は退学者が出ることでDクラスの評価が下がることを懸念していただけであった。彼女は仲間を助けることに特別な感情を抱いていない様子であった。
須藤の変化と堀北への評価
須藤は以前とは異なり、堀北の行動を評価し感謝の意を示した。堀北への態度が柔らかくなり、以前の敵対的な姿勢は消えていた。須藤が堀北に対して肯定的な意見を述べたことで、他のクラスメイトも堀北に対する見方を改め始めていた。
ポイント制度と次なる試練への言及
堀北は次に待ち受ける期末テストの難易度がさらに高くなると警告し、Dクラスの現状ではポイントを得ることが困難であると述べた。彼女は平均点が低いDクラスの現状を厳しく指摘し、今後の努力が必要であると示唆した。
櫛田の提案と協力の要請
櫛田は堀北と綾小路に協力を求め、Aクラスを目指すことを提案した。櫛田はポイントを増やすことが上位クラスへの昇格に繋がると信じ、池や須藤たちにも協力を促した。堀北は勉強だけではなく総合的な実力が必要であると指摘したが、櫛田の熱意に引き込まれる形で協力を了承した。
須藤と堀北の対立と和解
堀北は須藤を戦力外と見なしていたが、須藤は自身の腕力やバスケットボールでの技術に自信を持ち、協力する意志を示した。堀北は須藤に対して厳しい態度を崩さず、言い争いになる場面も見られたが、最終的には協力関係を築くこととなった。
綾小路の決意と堀北の目標
綾小路は堀北が本気でAクラスを目指していることを認識した。堀北の意志は揺るがず、Dクラスを上位に引き上げるために努力を重ねる覚悟であった。綾小路もまた堀北をサポートすることを決意し、今後の試練に備える準備を整え始めた。
Dクラスの未来への期待と決意
綾小路は堀北と共にAクラスを目指すことを決意し、仲間たちとの協力を大切にしながら進むことを決めた。今後の課題に対して不安を抱きつつも、堀北が笑う姿を見たいという思いが彼を突き動かしていた。
同シリーズ
ようこそ実力至上主義の教室へ





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