どんな本?
本作は、学園を舞台にしたライトノベルであり、実力主義の教育制度のもとで繰り広げられる生徒たちの競争と成長を描いている。3年生編の第1巻では、主人公・綾小路清隆がクラスを移籍し、Aクラスでの卒業を目指す堀北鈴音たちと対立する状況が描かれる。 
主要キャラクター
• 綾小路清隆:冷静沈着で高い知能を持つ主人公。3年生進級時にクラスを移籍し、新たな環境での挑戦に臨む。
• 堀北鈴音:綾小路の元クラスメイトで、Aクラスでの卒業を目指す。綾小路の移籍により、彼との対立を余儀なくされる。
• 龍園翔:Bクラスのリーダー的存在で、独自の手法でクラスをまとめ上げる。
• 一之瀬帆波:Dクラスの中心人物で、他クラスとの関係性に影響を与える。
物語の特徴
本作の魅力は、実力主義という厳しい環境下での生徒たちの心理戦や戦略的な駆け引きにある。綾小路のクラス移籍により、これまでの人間関係が一変し、新たな対立構造が生まれる。また、3年生最初の特別試験『全体、少数戦学力総合テスト』が導入され、各クラスの戦略や協力関係が試される展開となっている。
出版情報
• 出版社:KADOKAWA
• 発売日:2025年3月24日
• ISBN-10:4046846356
• ISBN-13:978-4046846358
読んだ本のタイトル
ようこそ実力至上主義の教室へ 3年生編1
著者:衣笠彰梧 氏
イラスト:トモセ シュンサク 氏
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あらすじ・内容
さあ、本当の実力主義を始めよう。
2年最後の「学年末特別試験」を経て、3年生をAクラスで迎えるにいたった堀北たち元1年Dクラス。だが最大の立役者・綾小路清隆がクラス移籍をしてしまう。堀北クラスの生徒たちは混乱と混沌の感情に陥るが――たった一つの残酷な事実がそこには存在していた。堀北たち3年Aクラスは、『綾小路清隆』に勝利せねば、Aクラスで卒業できない。
成長を見せる龍園とBクラス、綾小路のCクラスと一之瀬のDクラスに新たな繋がりが生じる中、3年最初の特別試験『全体、少数戦学力総合テスト』が発表される! Aクラスで卒業できるのはたった1クラス。頂点に立つのはどのクラスなのか! 待望の『3年生編』スタート!
主な出来事
〇終わる日常
- 新しい学年の始まりと決意
- 綾小路清隆は3年Aクラスへ配属された。
- 1年Dクラスからの道のりは険しく、多くの友人の協力と犠牲を経て到達した。
- 兄への思いと自身の成長
- 堀北鈴音は入学当初、兄である堀北学の後を追うためだけに学校へ来たことを思い出した。
- 兄との距離を感じつつ、生徒会での活動を通じて成長を遂げた。
- 綾小路への感謝と目標の確立
- 綾小路の存在が自分に大きな影響を与えたと認識した。
- 綾小路に感謝しながらAクラスでの卒業を目指す決意を固めた。
- 周囲との競争と決意の強化
- Aクラスは仲間との協力と競争の結果であることを再認識した。
- 龍園や一之瀬、坂柳との対立や協力を通じて成長を図ろうと決意した。
- 教室での新たなスタート
- 綾小路と隣の席になったことに驚きつつ、新たな学年の始まりに期待を抱いた。
〇混乱
- 綾小路の不在と教室の動揺
- 始業式後、綾小路が教室にいないことに気付いた堀北と須藤が困惑した。
- 茶柱の異変と緊張感の高まり
- 担任の茶柱が言葉も不明瞭で、生徒たちの不安が募った。
- プライベートポイントの行使と綾小路の移籍
- 茶柱は綾小路がプライベートポイントを使いクラスを移籍したことを告げた。
- 生徒たちの混乱と綾小路の意図
- 綾小路が移籍した理由が理解できず、様々な憶測が飛び交った。
- 平田と櫛田の冷静な分析
- 平田は冷静に状況を受け止め、綾小路の重要性を強調した。
- クラスメイトの反応と茶柱の指示
- 茶柱は生徒たちに過剰な干渉を避けるよう指示し、衝突を防ぐことを求めた。
- 堀北の決意と今後の展開への期待
- 堀北は綾小路の行動の意図を明らかにすることを決意した。
〇確かめる
- 綾小路の移籍と堀北の混乱
- 堀北は綾小路の移籍を信じられず、意図を確かめる決意を固めた。
- 綾小路の行方を探す堀北
- 堀北は綾小路を探し、坂柳クラスやケヤキモールを訪れた。
- ケヤキモールでの対峙
- 堀北と松下は綾小路を見つけたが、橋本に妨害され話をすることができなかった。
- 松下の真意と綾小路の評価
- 綾小路は松下を評価し、彼女が優秀であることを堀北に告げた。
- 堀北の葛藤と決意
- 堀北は綾小路を敵と見なし、強い決意を抱いた。
〇始まる1年間
- 綾小路のCクラス移籍と新しい関係
- 綾小路は2000万ポイントを使いCクラスに移籍し、クラスに協力する意志を表明した。
- 森下の提案と座席決定
- 森下は自分の前に座るよう提案し、綾小路はそれを受け入れた。
- ホームルーム終了とクラスの緊張感
- ホームルームが終わり、クラス内には緊張感が残っていた。
- 歓迎会の提案と反発
- 橋本が提案した歓迎会は失敗し、クラスメイトからの反発を受けた。
- 森下の辛辣な指摘と橋本の提案
- 森下は綾小路が人気を得られない現実を指摘し、橋本はクラスへの貢献を求めた。
- 一之瀬との会合と森下の立ち会い
- 綾小路と橋本は一之瀬と会合し、Dクラスとの協力を確認した。
〇傍目八目
- 早朝の教室での出会い
- 綾小路は早朝に登校し、白石飛鳥と出会った。彼女の観察を通じて情報を収集した。
- Cクラスでの立場と疑念
- 白石は綾小路の移籍理由に疑問を抱いた。
- 綾小路は内心で目的を理解しつつも明かさなかった。
- 吉田との交流と白石の提案
- 吉田は綾小路がクラスに馴染むことを提案し、白石もそれに協力した。
- ジムでの出会いと会話
- 綾小路はジムで宝泉和臣と遭遇し、対立しながらも情報を収集しようとした。
- 茶柱先生との対話
- 綾小路は茶柱先生から移籍の理由を問われ、自分の意思であるとだけ伝えた。
- 一之瀬との会話と天沢の挑発
- ジムでのトレーニング後、天沢一夏と遭遇し、彼女の挑発を受け流した。
- 天沢の決意
- 天沢は綾小路に対する関心を持ち、自分の目標に向けて行動を開始した。
〇交錯
- ホームルームの開始とクラスの変化
- 3年生が始まって1週間が経過し、堀北は綾小路の不在を痛感していた。
- クラスメイトの中には綾小路の存在を忘れかけている者もいたが、堀北を含む一部の者には喪失感が残っていた。
- 特別試験の発表
- ホームルームで「全体戦」と「少数戦」の特別試験が発表された。
- 試験形式は7教科21科目からランダムに出題される筆記試験であり、全体戦はクラス全体の総合点、少数戦は代表者同士の点数を競う形式であった。
- 少数戦では、相手にペナルティを付与することが可能で、1点ごとに5万プライベートポイントが必要であった。
- 対戦相手と試験準備
- 対戦相手は3年Dクラスに決定し、堀北のクラスは人数差による不利な状況であった。
- OAAによって学力評価が分類され、堀北は特別試験のルールを精査し、準備を進めた。
- 少数戦の戦略とペナルティの活用
- 堀北は、少数戦で4勝を収めれば全体戦での敗北を挽回できることを見抜いた。
- ペナルティの配分と有効な使用方法が重要視され、相手の学力が高いメンバーに集中してペナルティを与える戦略を考慮した。
- 綾小路の移籍とクラス内の不安
- 綾小路がCクラスへ移籍したことにより、クラス内では不安と疑念が広がっていた。
- 特に島崎と橋本を中心に意見の対立が生じ、橋本は綾小路に全てを任せるべきだと主張し、島崎は全員で話し合いを提案したが意見はまとまらなかった。
〇Cクラスでの学校生活
- 試験準備と綾小路の決意
- 綾小路はCクラスで橋本や森下と共に試験の戦略を検討し始めた。
- 橋本はペナルティの配分を広く行う戦法を提案し、森下は学力の高い生徒に集中攻撃する方が効果的と意見した。
- 綾小路は両者の意見を聞き、慎重に戦略を検討することを決意した。
- 龍園との接触と情報戦の始まり
- 綾小路がカフェで作戦会議をしている中、龍園が接触し、少数戦に向けて強力な対策を練っていることを示唆した。
- 龍園は1年生を使った情報収集を行っていることが判明し、綾小路は戦略を練り直す必要を感じた。
〇試験への決意と対策の模索
- 試験に向けた決意
- 綾小路は橋本や森下と話し合い、試験での成功を確実にするため、相手の行動を予測しペナルティの有効な活用方法を探ることを決意した。
- 試験本番までに情報を集め、最適な戦略を構築する方針を固めた。
- 龍園との対話と対立
- 綾小路は龍園とカフェで会話し、彼が綾小路との対戦を楽しみにしている様子を確認した。
- 龍園は強力な対策を練っていることを示唆し、綾小路にとって新たな脅威となった。
〇特別試験とその結果
- 少数戦の結果と龍園の敗北
- 龍園は戦略を駆使し、綾小路に挑むも敗北を喫した。
- 綾小路は龍園の意図を読み取り、戦略を構築することに成功した。
- クラスメイトとの関係の変化
- 綾小路はクラスメイトの信頼を得ることに成功し、Cクラスでの立場を確立した。
- 櫛田との関係も変化し、孤立していた彼女の支援を受け入れることにした。
- 今後への決意
- 綾小路は今後の試験に向けてさらに情報を集め、戦略を練り続けることを決意した。
感想
本シリーズは、仲間たちとA組となった綾小路清隆がCクラスへ移籍したことで物語が大きく動き出した。
その行動の真意は未だ明かされておらず、謎を抱かせる展開となっている。
特に色々意味で相棒であった堀北と軽井沢を置いて行ったことにより、堀北と軽井沢が受けた衝撃と混乱が印象的であった。
綾小路の移籍が何を意味するのか、その意図を混乱しながら探る堀北の視点が描かれることで物語の緊張感が増していた。
また、Cクラスへ移籍した綾小路の立場は弱く、仲間たちからの信頼を得ることも容易ではなかった。
橋本や森下と協力しながら試験の対策を練る中で、クラスメイトとの関係性が少しずつ変化する様子が興味深かった。
さらに、以前は敵であった龍園や一之瀬との新たな関係が描かれることで、物語全体に複雑な人間関係が織り込まれていることが感じられた。
龍園が強力な対策を練って綾小路に挑む場面は緊張感があり、その戦いの中で綾小路がどのように勝利を収めるかに注目したが結果は、、
また、綾小路と櫛田の関係にも変化が見られた点が印象的であった。
今まで孤立していた櫛田が協力を申し出る場面は、彼女自身の変化を感じさせるものであった。
この巻では、綾小路の行動に対する意図が明かされないまま進行し、さらなる疑問を投げかける構成となっている。
綾小路がCクラスへ移籍した理由や、堀北との関係が今後どのように変化していくのかが気になるところ。
また、各クラスとの対立や協力がどのように展開されるかにも注目したい。
物語の序章としては非常に興味深い内容であり、次巻での展開を期待せずにはいられない。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
〇終わる日常
新しい学年の始まりと決意
綾小路清隆は3年生として新たに3年Aクラスへ配属された。綺麗に磨かれた教室のプレートを目にしたとき、自分がここまで到達したことを実感した。1年Dクラスから3年Aクラスへの道のりは決して平坦ではなく、多くの友人たちの犠牲や協力があったことを忘れないと心に刻んでいた。
兄への思いと自身の成長
綾小路は入学当初、兄の後を追うためだけにこの学校へ来たことを思い出していた。兄に距離を置かれ冷たく突き放される日々を送りながら、ただ兄を目標とすることだけでは成長できないことに気づかされていた。やがて、生徒会に所属し、入学式で祝辞を読むまでに成長を遂げた自分を改めて認識するに至った。
綾小路への感謝と目標の確立
綾小路の存在が自分にとって大きな影響を与えたことを再確認した。綾小路が同じクラスにいなければ、今の自分は存在せず、未熟で他人と関わることを拒絶するままであっただろうと考えていた。綾小路に対する感謝の気持ちを抱きながら、Aクラスでの卒業を目指すという明確な目標を掲げることを決意した。
周囲との競争と決意の強化
Aクラスという場所は一人の力で到達できるものではなく、仲間との協力と競争の中で得られた結果であることを再認識した。龍園や一之瀬、坂柳といった他クラスの生徒たちもまた熾烈な競争に参加しており、彼らとの対立や協力を通じて自らを成長させる必要があると感じた。Aクラスとして生き残り、最終的に勝利を収めるためには、戦い続ける決意を固める必要があると自覚した。
教室での新たなスタート
喜びの感情を一度胸にしまい、新たな気持ちで教室の扉を開いた。モニターに表示された席順を確認し、自分の席に座った。偶然にも綾小路の席が隣であることに驚きとともに喜びを感じつつも、冷静さを保つよう努めた。窓の外の景色を眺めながら、1年生や2年生の頃とは異なる感覚を抱いていた。
Aクラスでの卒業への強い願い
このクラスで仲間たちと共にAクラスで卒業するという目標を強く胸に刻んだ。その夢を必ず果たすと固く決意し、新たな学年の始まりに期待を抱いていた。
〇混乱
綾小路の不在と教室の動揺
始業式が終わり、教室に戻った3年Aクラスの生徒たちは、綾小路の不在に気づいた。堀北は綾小路が見当たらないことに不安を感じ、須藤と会話を交わした。綾小路が普段目立たずに行動する性格であるため、その不在は不可解に映った。須藤は仮病や恋愛問題が原因ではないかと推測したが、堀北は納得しきれなかった。
茶柱の異変と緊張感の高まり
チャイムが鳴り、担任の茶柱が教室に現れた。しかし、茶柱は明らかに様子がおかしく、目の焦点が定まらず虚ろな状態であった。生徒たちの呼びかけにも反応せず、教壇に立つだけで言葉を発さなかった。堀北や平田が心配し、声をかけたが、茶柱の返答は途切れ途切れで不明瞭であった。
プライベートポイントの行使と綾小路の移籍
茶柱はついに話し始め、綾小路がプライベートポイントを使用しクラス移籍を行ったことを告げた。綾小路がクラスを移籍することは通常ありえない出来事であり、生徒たちは困惑と疑念を抱いた。特に堀北は信じられず、携帯でクラスのOAを確認したところ、綾小路の名前が消えていた。
綾小路の意図と生徒たちの混乱
綾小路が自発的にクラスを移籍したことが事実であることを確認した堀北たちは、彼の意図を理解できずに混乱した。生徒たちの中には、軽井沢との関係が原因ではないかと推測する者もいたが、核心に迫ることはできなかった。茶柱も綾小路の行動に対する明確な説明を持たず、ただ事実を告げるのみであった。
平田と田の冷静な分析
平田は事実を受け入れることが第一歩であると指摘し、冷静に対応するよう促した。田もまた、この状況を冷静に受け止め、綾小路の移籍がクラスに与える影響を分析した。綾小路がこれまで見えないところでクラスに貢献してきたことを指摘し、彼の重要性を強調した。
クラスメイトの反応と茶柱の指示
生徒たちは様々な反応を示し、一部は綾小路の重要性を理解しながらも他クラスへの移籍が信じられなかった。茶柱は生徒たちに対して、綾小路に過剰に干渉しないよう指示を出した。さらに、他クラスとの衝突を避けるよう警告し、問題がある場合は教師や学校を通すようにと強調した。
堀北の決意と今後の展開への期待
堀北は綾小路の行動の真意を探るため、自ら確認を取ることを決意した。平田の冷静な意見を受け止めつつも、綾小路が移籍した理由を明らかにする必要があると感じていた。クラスメイトたちも同様に、綾小路の行動の意図を理解しようと考えを巡らせていた。
全体を通じて、生徒たちの混乱と葛藤が描かれ、綾小路の行動の真意が次第に明らかになることへの期待が高まっていた。
〇確かめる
綾小路の移籍と堀北の混乱
綾小路がクラスを移籍したという突飛な知らせを受け、堀北は混乱に陥っていた。彼の移籍が信じられず、何度も心の中で否定しようとしたが、それが現実であることを認めざるを得なかった。堀北は恐怖と戸惑いの中で綾小路の真意を確かめることを決意し、行動に移すことにした。
綾小路の行方を探す堀北
堀北は綾小路の行方を追い、坂柳クラスの教室へ向かったが、彼は既にそこを離れていた。司城からの情報で綾小路がケヤキモールへ向かったと聞き、堀北は足早にその場を後にした。途中で出会った松下も同行を申し出たが、堀北は彼女の意図を測りかねていた。
ケヤキモールでの対峙
ケヤキモールへ辿り着いた堀北と松下は、綾小路が橋本、一之瀬、森下と共にいるのを見つけた。堀北は綾小路と話をするために声をかけたが、橋本に妨害される。橋本は綾小路がCクラスのリーダー候補であることを示唆し、堀北を挑発するような態度を取った。
松下の真意と綾小路の評価
綾小路は松下の存在を重視し、堀北に対して松下が優秀であることを告げた。これまで松下が裏で綾小路をサポートしてきた事実を明らかにし、堀北を驚かせた。松下もまた、綾小路の移籍理由を知りたいと考えていたが、綾小路はその意図を明かさなかった。
堀北の葛藤と決意
堀北は綾小路から明確な答えを得られず、ただ事実として彼がCクラスへ移籍したことだけを受け入れるしかなかった。綾小路の言葉や態度は堀北にとって冷酷なものであり、自分が頼りにされていないことを痛感した。堀北は綾小路を敵と見なし、これからは容赦なく対処することを決意した。
今後の展開への予感
堀北は綾小路に背を向け、松下と共にその場を去った。彼の移籍によって引き起こされた衝撃は、堀北にとって大きなものであったが、それを乗り越えようとする意思が芽生えていた。頭痛のような不快感を抱きつつも、彼女は新たな戦いに備える決意を固めた。
〇始まる 1年間
綾小路のCクラス移籍と新しい関係
始業式の後、綾小路は体育館から直接職員室へ向かったが会議中であったため、理事長室へと移動した。理事長は多少驚いたものの、事前に事情を聞かされていたようで深く追及することはなかった。2000万ポイントの確認と出所のチェックが行われる手続きが始まり、綾小路はCクラスへの移籍を完了した。
自己紹介とCクラスの反応
教室に入った綾小路は、2000万プライベートポイントを使いCクラスに移籍したことを伝えた。そして、自主退学した坂柳の代わりにはなれないが、クラスの立て直しに協力する意思があることを表明した。反応は冷淡であり、歓迎されていないことを綾小路は理解していた。
森下の提案と座席決定
担任の真嶋が綾小路の席を決める際、森下が自分の前に座るよう提案した。森下は転入生として不慣れな状況で中央に座るのは負担が大きく、また一番楽な窓際後ろの席は待遇が良すぎると指摘した。さらに綾小路を監視する必要があるという理由から、自分の前が適当であると主張した。他の生徒から異論は出ず、綾小路は森下の前に座ることとなった。
ホームルーム終了とクラスの緊張感
ホームルームの説明が終わり、学校生活の変化や進路に関する話がされた後、クラスは解散となった。3年生となったことで、進路を決める必要があることを再確認しながらも、綾小路は他のクラスメイトから敵意や不信感を受けていることを感じ取っていた。
歓迎会の提案と反発
橋本が綾小路を歓迎するためにクラス全体での歓迎会を提案したが、吉田と町田をはじめとする生徒たちが反発した。歓迎会をする前に綾小路がクラスに貢献することを証明する必要があると指摘され、彼らは教室を去っていった。橋本の提案は失敗に終わり、残ったのは橋本と数名のクラスメイトだけであった。
森下の辛辣な指摘と橋本の提案
森下は綾小路に対し、不人気であることを率直に指摘し、その現実を受け入れるべきだと述べた。さらに、もし他の人気者が移籍してきたならば歓迎されたであろうと指摘し、綾小路の現状を批判した。橋本は綾小路に対し、クラスへの貢献を求めるが、綾小路は協力することを明言しなかった。
一之瀬との会合と森下の立ち会い
橋本と共にケヤキモールへ向かう途中、森下が現れた。彼女は一之瀬との会合に立ち会う意志を示し、Dクラスのリーダーとしての一之瀬がどれほど有用かを確認しようとした。綾小路は彼女の意見を受け入れ、三人で一之瀬との待ち合わせ場所であるカフェへ向かった。
この一連の出来事によって、綾小路がCクラスに溶け込むことの難しさと、それを打開するために必要な努力が示されていた。橋本の協力と森下の辛辣な指摘が、綾小路の立場を一層明確にしていた。
綾小路と橋本、一之瀬との会話
綾小路はカフェのカウンターで飲み物を注文し、橋本から借りたプライベートポイントを利用して支払いを行った。橋本が広めの席を確保した後、一之瀬が到着し、橋本や森下と挨拶を交わした。綾小路の移籍について、橋本は一之瀬が既に知っていたことを疑問に思い、尋ねた。実際、一之瀬は事前に移籍の件を知っていたが、それは綾小路がCクラスと一之瀬のクラスとの同盟を提案し、それを承諾したためであった。
同盟の意図と詳細な取り決め
綾小路と一之瀬はCクラスとDクラスの間で同盟を結び、3年生の戦いを共に進むことを決めた。協力体制の構築は短期間の協力ではなく、3年生としての戦い全体を視野に入れた長期的なものであった。綾小路は、特別試験で一之瀬のクラスと戦う場合、クラスポイントが少ない方に勝利を譲るという取り決めをしていた。これにより、無用な対立を避けることができると説明した。
橋本の疑念と綾小路の説明
橋本は、CクラスとDクラスが同盟を組むことが理にかなわないと考え、綾小路に疑問を呈した。彼は、Dクラスと協力することでCクラスが不利になる可能性を指摘したが、綾小路はCクラスがDクラスと手を組むことで得られる情報や資金の融通など、様々な利点があると説明した。さらに、同盟を隠す必要はなく、むしろ公にすることで効果を強めると述べた。
契約書を用いない同盟の利点
橋本は契約書がないことに不安を感じていたが、綾小路は契約書を持たないことで柔軟な戦略が可能になると主張した。特に、クラスポイントの差を埋めるために互いに資金を融通するなど、契約に縛られないことで広がる可能性を強調した。上位クラスが同盟を組んだ場合、それは互いの首を絞め合う結果になるとし、契約書を持たない同盟の方が有利であると説明した。
綾小路の意図とリーダーシップへの懸念
橋本は綾小路がCクラスのリーダーとして認められていない状況を懸念し、クラス内で反発が生じる可能性について指摘した。綾小路はクラス内での信頼を獲得することが必要だと認識し、特別試験などで実績を示すことでそれを達成しようと考えていた。橋本や森下も納得したが、クラス全体が同意するにはさらなる努力が必要であることを理解していた。
堀北との衝突と新たな挑戦
綾小路が移籍したことは堀北クラスにとって大きな衝撃であり、堀北自身もその事実に対して動揺していた。綾小路は移籍の理由を説明することなく去り、堀北クラスに混乱を引き起こした。しかし、綾小路は堀北クラスがこの困難を乗り越えて成長することを期待していた。堀北がクラスメイトたちとの絆を深め、再び立ち上がることを信じていたのである。
結論
綾小路はCクラスに移籍し、一之瀬クラスとの同盟を結成することで新たな挑戦に挑むことを決意した。彼は柔軟な戦略を採用し、信頼を重視する一之瀬と協力することでCクラスをAクラスへと引き上げることを目指していた。橋本や森下の疑念を受けつつも、綾小路は自らの戦略を貫こうとしていた。
〇傍目八目
早朝の教室での出会い
綾小路は、他の生徒を観察する目的で通常よりも早く登校した。彼の狙いは、Cクラスの内情を把握することであった。しかし、到着した教室では既に白石飛鳥が勉強していた。白石は、平均以上の学力を持つものの、身体能力は低く、他クラスの生徒とはあまり関わらない生徒であった。綾小路は彼女の特徴を観察し、話しかけながら情報を得ることを試みた。
Cクラスでの立場と疑念
綾小路の移籍について、白石は強い関心を抱いていた。彼女は、綾小路がCクラスへ移籍することの理由を問い質し、裏で多額のポイントを受け取ったのではないかと疑問を呈した。綾小路は、CクラスとDクラスを引き上げることで全体の均衡を図る目的があると内心では理解していたが、それを明かすことはしなかった。
吉田との交流と白石の提案
吉田という男子生徒が教室に入ってきた際、綾小路との交流が展開された。白石は、吉田の提案で綾小路がクラスに馴染むよう協力することを勧められる。吉田はクラスで人気者であり、白石もそれを活かし、綾小路が他のクラスメイトと交流を深められるよう提案した。
ジムでの出会いと会話
ジムへ向かう途中、綾小路は2年Dクラスの宝泉和臣と遭遇した。宝泉は綾小路の移籍に興味を示さず、単に喧嘩相手を求めていた。彼は龍園と対立する意図を示しながらも、自分の腕が鈍らないよう挑戦相手を探している様子であった。綾小路は暴力的なやり取りを避けつつも、宝泉の目的を把握しようと努めた。
茶柱先生との対話
ジムへの途中、綾小路は茶柱先生に呼び止められ、移籍の理由を尋ねられる。茶柱先生は自分が星之宮先生の問題に関与したことで、綾小路が犠牲になったのではないかと疑念を抱いていた。綾小路は、移籍の理由が自分の意志によるものであることを伝えたが、具体的な内容を明かすことは避けた。
一之瀬との会話と天沢の挑発
ジムでのトレーニング後、一之瀬と別れた綾小路は、2年Aクラスの天沢一夏と遭遇する。天沢は一之瀬との関係を探りつつ、綾小路に興味を示す様子を見せた。一之瀬は、天沢の挑発に対して冷静に対応し、綾小路との絆が強いことを示唆することで相手を牽制した。天沢は一之瀬を試す意図があったが、逆に自分が感情を揺さぶられる結果となった。
天沢の決意
一之瀬との会話から得られた情報を整理し、天沢は綾小路に対する自分の関心を改めて確認した。彼女は綾小路の存在を意識しつつ、自身の目標に向けて再び動き出す決意を固めた。
〇交錯
ホームルームの開始とクラスの変化
3年生が始まってから1週間が経過した。主人公の堀北は、クラスメイトであった綾小路が抜けたことを痛感しつつも日常へと適応しようとしていた。クラスメイトたちの中にはすでに綾小路の存在を忘れかけている者もいたが、堀北を含む近しい存在にとってはその喪失感が日に日に大きくなっていた。堀北自身も心の整理がつかないまま、なんとか学習へと集中しようと努めていた。
特別試験の発表
朝のホームルームで特別試験の発表が行われた。試験の形式は「全体戦」と「少数戦」の2つに分かれ、7教科21科目からランダムで出題される筆記試験を競う形式であった。全体戦はクラス全員での総合点を競い、少数戦は両クラスから5人ずつ代表を選び個別に点数を競う。少数戦では相手クラスのメンバーにペナルティを付与することができ、1点ごとに5万プライベートポイントを消費するルールであった。
対戦相手と試験準備
対戦相手として決まったのは3年Dクラスであり、全体戦においては人数の差が不利に働くことが予想された。堀北のクラスは36人に対して相手クラスは40人であるため、点数の最低保証が与えられても依然として不利な状況であった。試験の予想点数はOAAによって分類され、学力評価に基づいた戦略を練る必要があった。堀北は特別試験のルールを精査し、試験の準備を進めることを決意した。
少数戦の戦略とペナルティの活用
特別試験において少数戦の戦略が鍵を握っていた。堀北は少数戦で4勝を収めれば全体戦での敗北を挽回できることを見抜いていた。対戦相手が強力なメンバーを出してくると予想される中で、ペナルティの配分や有効な使用方法が重要な要素とされた。特に相手の学力が高いメンバーに集中してペナルティを与えることで点数を下げる戦略が考慮された。
綾小路の移籍とクラス内の不安
綾小路がCクラスに移籍したことにより、クラス内では不安や疑念が生じていた。特に島崎や橋本を中心に綾小路への信頼と疑念が入り混じり、意見の対立が生まれていた。橋本は綾小路に全てを任せるべきだと主張し、島崎は全員での話し合いを提案したが、意見はまとまらなかった。
Cクラスでの試験準備
Cクラスに移籍した綾小路は、橋本や森下と共に試験の戦略を練り始めた。橋本はペナルティの配分を広く行い、少数戦でのリスクを分散する戦法を提案したが、森下は学力の高い生徒を狙って集中攻撃する方が効果的だと意見した。双方の意見を聞いた綾小路は、今後の戦略を慎重に検討することを決意した。
龍園との接触と情報戦の始まり
綾小路がカフェで作戦会議を行っている最中、龍園が接触を図ってきた。龍園はCクラスに移籍した綾小路との対戦を楽しみにしている様子を見せ、少数戦においても強力な対策を練っていることをほのめかした。また、龍園は新たに1年生を使った情報収集を試みていることが判明した。綾小路はこの新たな情報をもとに戦略を練り直す必要があると考えた。
試験への決意と対策の模索
橋本や森下と話し合った結果、綾小路は試験での成功を確実なものにするため、相手の行動を予測しペナルティの有効な活用方法を見つけ出す必要があると感じた。試験本番までの猶予を活かしてさらに情報を集め、最適な戦略を構築することを決意した。
綾小路と龍園の対話と田の孤立
綾小路と龍園がケヤキモールのカフェで対話をしていた中、櫛田は同じカフェでカフェオレを購入しすぐに去っていた。櫛田は満場一致特別試験で本性を暴かれてから、クラスメイトが寄り付かなくなっていた。特に女子から距離を置かれ、孤立する時間が増えた。もともと群れることを好まない櫛田であったが、演技を続けることに疲れを感じていた。
堀北との遭遇と助言
櫛田は帰り道でベンチに座り暗い表情を浮かべる堀北を見かけた。櫛田は堀北に対し、リーダーとしての自覚を促し、クラスの士気に影響することを指摘した。櫛田にとって堀北は、Aクラスで卒業するために必要な存在であり、堀北が弱っていることは困ると感じていた。櫛田は堀北に対し、伊吹がしつこく連絡を取ってくることを伝え、堀北が解決策を見出すことを期待していた。
堀北の葛藤と現実の受け入れ
堀北は櫛田とのやり取りを通じて、自分が綾小路に対する想いを引きずっていることを自覚した。堀北は始業式での出来事を思い出し、綾小路が自分を見捨てることを恐れていると理解した。しかし、それを受け入れることはできず、何も行動に移せない自分に苛立ちを覚えていた。
龍園クラスの戦略会議
龍園は石崎、アルベルト、葛城、伊吹を集め、特別試験の戦略会議を開いた。龍園クラスは学力での劣勢を認識しながらも、正攻法では勝てないと判断していた。葛城はプライベートポイントを使ってペナルティを与える方法を提案するも、勝利のためには1500万ポイント以上の投資が必要であることが示唆された。龍園はそれでも特別試験に勝つことを決意した。
綾小路への意識と決意
龍園は綾小路の移籍がクラスに与える影響を理解し、その初勝利を阻止することを狙っていた。綾小路に対する試練を与えることが龍園にとっての目標であり、それによってクラスの士気を高める意図も含まれていた。
特別試験に向けた準備と課題
龍園と葛城は、プライベートポイントを使った戦略を練りながらも、確実な勝利を目指すために様々な方法を検討していた。特別試験に向けた準備を進める中で、龍園は綾小路の動きを探り、試験において優位に立つことを目指していた。
〇 Cクラスでの学校生活
吉田との待ち合わせとクラスメイトの関係
綾小路は、新しいクラスメイトとの親睦を深めるため吉田と待ち合わせをしていた。吉田は好意を持つ白石との関係を意識しつつも、不器用な様子で振る舞っていた。綾小路は恋愛における行動の難しさを感じつつも、吉田の行動を冷静に観察していた。
西川の登場と飛鳥の評判
待ち合わせ場所に現れたのは白石ではなく、西川亮子であった。西川は飛鳥の「100人斬り」という噂を持ち出し、その経験値の高さを指摘した。吉田はショックを受け、綾小路はその言葉の意味を理解することに苦しんでいたが、状況を冷静に受け止めた。
西川の挑発と綾小路の対応
西川は綾小路に対し、飛鳥が「101人目」にすることを提案するも、綾小路はそれを拒否した。彼は吉田との関係やクラスでの立場を重視し、無駄なトラブルを避けるために冷静な対応をとった。西川は綾小路に対する見方を改める必要があると感じつつも、興味を示し続けた。
白石との接触と意図の探求
白石がロビーに現れると、西川は明るく振る舞い、吉田も元気を取り戻していた。カラオケに向かった一行の中で、白石は綾小路に親しげに接触を図り、連絡先の交換を提案した。白石の言葉や行動に綾小路は疑念を抱きつつも、相手の意図を探るために観察を続けた。
森下による嫌がらせと白石の助力
綾小路は授業中に頭に違和感を覚え、その原因が後ろの席に座る森下による消しゴムのカスを投げつける悪戯であることを突き止めた。白石がタイミングを教えてくれたことで、綾小路は森下の行為を現行犯で抑えた。森下は悪戯を正当化しつつも、綾小路は彼女の言動を冷静に分析した。
森下の挑発と綾小路の受け止め方
森下は自分をジャンヌダルクになぞらえ、正義のために戦う存在と自称した。綾小路はその主張を受け入れず、森下の悪戯の理由を探りつつも、白石の助力を得て状況を収束させた。白石は森下とのやり取りを楽しんでいたが、綾小路は被害を受けている自分との温度差を感じていた。
〇綾小路の敗北
特別試験の開始と軽井沢の苦悩
二週間の時間が過ぎ去り、特別試験が実施される日が訪れた。朝7時40分、軽井沢はしっかりと目を覚まし、準備を整えた後、静かに寮を出た。綾小路との別れ以降、彼女は笑うことができず、友人たちの励ましも逆に心を締め付けた。彼女が通学路で綾小路を見かけると、そのたびに未練を痛感し、前に進むことを求められ続けた。
通学中に一之瀬と出会い、会話を交わした軽井沢は、彼女の明るい態度と対照的な自分の状態を再確認した。さらに、一之瀬から綾小路の行動を知らされ、複雑な心境を抱いたまま学校へと向かった。
一之瀬との対話と軽井沢の疑念
一之瀬との会話の中で、軽井沢は綾小路との関係について直接問いかけた。だが、一之瀬は否定しつつも、自分の中に芽生えた感情を認識していた。一之瀬は綾小路に恋心を抱いており、軽井沢と別れた後の関係についても自覚していた。それを知った軽井沢は、さらなる不安と葛藤を抱えながらも、一之瀬の答えに安堵しようと努めた。
しかし、一之瀬の言葉からは自己犠牲的な奉仕の精神が感じられ、それが軽井沢の価値観とは相容れないものだった。彼女は見返りを求めず、ただ綾小路を好きでいることに満足していると語った。その言葉は、軽井沢にとって理解しがたいものであり、同時に強い衝撃を与えた。
龍園の作戦とクラスの反応
特別試験が開始される中、龍園率いるBクラスでは緊張感が高まっていた。龍園は事前に5人の代表者を指名していたが、それは学力が低いとされるメンバーで構成されていた。クラス内では疑念と不満が広がり、時任も龍園に対して強い反発を示した。
龍園は、勝利を放棄することを選んだ理由を説明し、相手の思考を逆手に取ることで綾小路を打ち負かす戦略を採用した。彼は少数戦で綾小路にペナルティを全て集中させるという策を講じ、それによって1勝を確定させることに成功した。この戦略は、クラス内に疑念を残しつつも、龍園の狙い通りに進行していった。
龍園の戦略の効果と綾小路への挑戦
龍園は、綾小路が自分の思考を読み取ることができないように策を練り、実際に相手の思考を外すことに成功した。彼は戦わずして勝利を得るという新しい戦法を見せつけ、クラスの中での評価を高めた。しかし、綾小路を完全に打ち負かすことができたわけではなく、その戦いは今後も続いていくことが示唆された。
試験の結果と疑惑の浮上
堀北の所属するAクラスとDクラスの対決が行われた。クラスの人数差でDクラスがやや優勢とされたが、実際には僅差の勝負であった。緊張感の中、茶柱がAクラスに対し3名に対するペナルティを告げた。王美雨、幸村輝彦、高円寺六助の3名がそれぞれ25点の減点対象とされ、Aクラスは大きく不利な立場に立たされた。平田は事前に選出した5名を緘口令を敷き、漏洩を防ごうとしたが、高円寺への通知が行われていない点から内部の漏洩の可能性が否定された。
平田の指揮と疑念の解明
堀北が冷静な判断を下せないと見込み、平田が指揮を任された。話し合いの末、高円寺を含む5名を選出することになったが、ペナルティ対象となった3名の内訳により、情報漏洩の疑惑が浮上した。須藤は高円寺の存在を指摘し、事前に選出が伝えられていなかった事実から、相手の意表を突くための戦略であったことが明らかとなった。
軽井沢の推測と綾小路の関与
軽井沢は情報漏洩の可能性を否定し、ペナルティ対象が偶然選ばれたと推測した。そして一之瀬ではなく、綾小路がこの結果を引き起こした可能性に言及した。平田は過去のクラスメイトであった綾小路が相手の行動を見抜いていた可能性を認めた。高円寺の筆記試験への真面目な姿勢を知っている綾小路であれば、相手の戦略を見抜くことは容易であると結論付けた。
Dクラスの勝利と喜び
午後に実施された特別試験が終了し、Dクラスの勝利が発表された。ペナルティを購入し対策を講じた結果、50%前後の勝率が70%以上に向上したと予測されていた。実際に結果が確定したことで、Dクラスは歓喜に包まれた。星之宮の笑顔とともに、クラス全体が勝利を祝った。
綾小路の評価とCクラスへの承認
綾小路の満点獲得とペナルティの全振りという結果は、クラスメイトに強い印象を与えた。龍園の最大級の警戒を受けたことが明らかとなり、それを見抜いた綾小路の実力が証明された。島崎は試験の結果を評価し、綾小路をCクラスのリーダーとして認めることを表明した。
龍園の敗北と苦悩
試験に敗北した龍園は、綾小路に対する警戒心と疑念を抱きつつも、その実力を認めざるを得なかった。これまで信じてきた戦略と読みが通じなかったことで、龍園は自らの無力さを痛感し、焦燥感に苛まれることとなった。
〇敵と味方
Aクラス敗北後の堀北の葛藤と伊吹との衝突
堀北はAクラスの敗北を引きずり、放課後の教室に1人で残っていた。彼女は自分が戦略を立てられなかったことを悔やみ、次があると慰める仲間の言葉も心に届かなかった。帰宅途中、背中を伊吹に強く蹴られ、砂利の地面に倒れた。伊吹は堀北の腑抜けた態度が癪に障ると侮蔑を浴びせる。堀北は怒りを覚えつつも、反論する気力を失っていた。
軽井沢の介入と堀北への支援
堀北が蹲っていると、軽井沢が声をかけた。彼女は堀北を気遣い、手を貸して起こし、制服の土を払った。堀北は軽井沢に感謝しつつも、自分の弱さを痛感する。堀北は綾小路の不在によって自分が支えられていたことを実感し、自己嫌悪に陥った。
軽井沢の告白と堀北の内省
軽井沢は自分も綾小路の支えによって変わることができたと語り、過去のいじめ体験やその克服について堀北に話した。堀北は彼女の壮絶な過去に同情し、涙を流す。同時に自分が綾小路のことを理解していないことを痛感し、自分の浅はかさに気づく。
堀北と軽井沢の決意
堀北は軽井沢と心を通わせ、再び前を向く決意を固めた。軽井沢の励ましにより、堀北は自分が1人ではないことに気づき、仲間と共にAクラスで卒業することを目指す決意を新たにした。軽井沢もまた、自分の困難を乗り越え、クラスのために立ち上がろうとしていた。
綾小路の提案と交渉
綾小路はAクラスの生徒に接触し、内通者としての協力を求めた。プライベートポイントの報酬を提示するが、相手はクラスを裏切るリスクを懸念し、協力を躊躇した。綾小路は即答を求めず、時間を与えることで相手の決断を促した。
特別試験の反省と今後の方針
綾小路は特別試験を無事に終え、今後の方針を考えていた。クラス間の差を埋めるためには、内通者の存在が有効であると考え、引き続き工作を行うことを決意した。堀北や軽井沢の成長も含め、今後の展開が重要であると判断した。
〇先に待つもの
放課後の接触と回想
放課後、綾小路は片付けるべきクラス内の問題について考えていたが、意外にも相手から声をかけられたため、教室を後にした。帰り道で本堂と沖谷に出会ったが、彼らは視線を逸らした。彼らの態度には移籍のことや試験結果に対する反応が含まれていたようである。綾小路は昇降口へと向かい、そのまま寮へ戻ろうとした途中で宇都宮と椿に出会った。椿とは久しぶりの再会であり、彼女が話題にしたのはクラスの移籍についてであった。会話の中で椿が興味なさそうに話す一方で、綾小路は彼女との過去の会話を思い出した。
鬼頭との対話と対決
綾小路は鬼頭隼に呼び出され、寮の裏で対面することになった。鬼頭は自分が綾小路をリーダーと認めていないことを明かし、対話を試みるものの、お互いの考え方には食い違いがあった。鬼頭はこれまで坂柳や葛城に頼ってきたが、その選択が間違っていたことを認識していた。綾小路は鬼頭に対して、クラスメイトを守る責任を持つべきだと説いたが、鬼頭は信じられないという態度を示した。やがて鬼頭は綾小路に対し、力で自分を納得させるよう挑発した。
鬼頭との戦闘
鬼頭は挑発的に戦闘を挑み、綾小路は彼の拳や蹴りを巧みに避け続けた。鬼頭は強い腕力を持ち、喧嘩慣れしている様子であったが、綾小路には通用しなかった。鬼頭は幾度も攻撃を仕掛けるが、綾小路に簡単に避けられるだけでなく、反撃も受けてしまった。鬼頭は綾小路の強さを認めざるを得ず、綾小路は鬼頭にクラスメイトを守る存在としての責任を示唆した。鬼頭は綾小路の手を取ることで、彼に従う意思を示した。
森下と橋本、白石の行動
放課後、綾小路が教室を去る様子を見届けた森下は、橋本を呼び出して共に生徒会室に向かうことにした。途中で白石も同行を希望し、3人で生徒会室へと向かうこととなった。森下は堀北鈴音の特別試験の結果について確認したいと考えていたが、綾小路の同行を避けるため、橋本を連れて行くことにした。
生徒会室でのやり取りと七瀬の存在
3人が生徒会室に到着した際、堀北と七瀬が会話している様子を盗み聞いた。堀北は七瀬に対して、彼女の実力を認めつつも、宝泉をリーダーに据えることに懸念を抱いていた。七瀬は堀北に綾小路について尋ね、堀北は彼が何も告げずにクラスを変えたことを明かした。その後、七瀬は堀北とケヤキモールでお茶をする約束をした。
七瀬の異常な行動と秘密の通話
七瀬は堀北と別れた後、2つの携帯電話を使って通話を行った。その会話の中で、月城という名前が出され、七瀬が綾小路の監視を行っていることが明らかになった。また、石上京という人物にも興味を持っている様子であった。さらに、1年生の新入生についても気にかけていた。3人はこのやり取りを盗み聞きし、七瀬の異常な行動に疑念を抱いた。
七瀬との対話と警戒
盗み聞きをしていたことに気付かれた森下たちは、七瀬に名前を呼ばれて話しかけられた。七瀬は冷静に3人の存在を把握しており、堀北が反対方向に去ったことを告げて立ち去った。橋本と森下は七瀬の不審な行動に疑念を抱きつつも、その真意を確かめることはできなかった。
綾小路への警戒と関心
森下と橋本は綾小路に対する警戒心を強める。森下は綾小路の行動があまりにも冷徹であると感じ、彼との利害関係を見極めようとする。白石もまた綾小路に興味を持ち、接触を試みようとする意志を見せた。森下は綾小路の存在が危険であることを警告しつつ、橋本に深入りしないよう忠告をすることで話を締めくくった。
その他フィクション

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