どんな本?
『ユア・フォルマVI 電索官エチカと破滅の盟約』は、菊石まれほによるSFクライムドラマシリーズの第6巻である。物語は、電索官エチカが令状なしの電索を行った咎で謹慎処分を受けるところから始まる。しかし、「同盟」への関与が疑われる人物の相次ぐ急死が発覚し、検出されたキメラウイルスの出所を探るため、エチカは急遽捜査に加わることとなる。
主要キャラクター
• エチカ:電索官として活躍する主人公。高い技術力と洞察力を持つが、令状なしの電索を行ったことで謹慎処分を受ける。
• ハロルド:エチカの相棒であるヒト型ロボット。エチカを支えながら、共に事件解決に挑む。
物語の特徴
本作は、近未来を舞台にしたSFクライムドラマであり、電索官エチカとヒト型ロボットのハロルドがバディとして活躍する。高度なテクノロジーと人間関係の葛藤が巧みに描かれており、シリーズを通じて緻密な世界観とサスペンスフルな展開が特徴である。
出版情報
• 出版社:KADOKAWA
• 発売日:2023年8月10日
• 判型:文庫判/360ページ
• 定価:814円(本体740円+税)
• ISBN:9784049151367
読んだ本のタイトル
ユア・フォルマ VI 電索官エチカと破滅の盟約
著者:菊石まれほ 氏
イラスト:花ヶ田 氏
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あらすじ・内容
すべて、繋がっていた。眼前に広がる闇の深さを知る、シリーズ第6弾!
令状のない電索の咎で謹慎処分を受けたエチカ。しかしトールボットが存在を明かした「同盟」への関与が疑われる人物の、相次ぐ急死が発覚。検出されたキメラウイルスの出所を探るため、急遽捜査に加わることに――。
主な出来事
序章:岐路
- エチカ、フォーキン、ビガの三人はサンクトペテルブルクのクリスマスマーケットを訪れ、エチカは射的に挑戦するが失敗し、マトリョーシカを景品として受け取った。
- トールボットへの令状無しの電索が規律違反とされ、エチカは一ヶ月間の謹慎処分を受けた。トールボットは機憶混濁を起こし、エチカとハロルドだけがその事実を知っていた。
- フォーキンは「同盟」に関与する人物を捜査中であったが、ポール・ロイドの別荘捜査に行き詰まっていた。
- ハロルドは自ら処理能力を低下させ、感情エンジンを抑制することで電索補助官の仕事を辞退しようとしていた。
- 捜査班は「同盟」に関与する可能性のある六名を絞り込み、臨時会議を招集することを決定した。
第一章:六つの沈黙
- エチカはスイスの自殺幇助機関『フェンスター』を訪れ、父チカサトのヒアリングシートを確認するが、有力な手がかりを得られなかった。
- 聖母教会を訪れたエチカは、父が心の安らぎを求めていた可能性を考えた。
- フォーキンと合流し、資産家クワインの別荘を訪れるが、遺体を発見し、感染症が原因と推測された。
- ハロルドとビガはフィンランドで出資者バンフィールドの行方を追うが、遺体として発見され、感染症による死亡が疑われた。
- 捜査班は出資者六人全員が死亡したことを確認し、他殺の可能性を疑った。
- トトキ課長は新たな調査を求めるが、進展は得られなかった。
第二章:謀略
- エチカたちはNGO職員に偽装してアル・バーハへ潜入するが、TFC構成員に捕まる。
- ビガはハロルドとの関係に不安を抱きながらも、エチカの救出を最優先するようフォーキンらに指示を求めた。
- エチカはTFCのボスであるカイと対峙し、父のソフトウェアを要求されるが、交渉は決裂する。
- カイは逃亡し、エチカはファラーシャ・アイランドのシンボルマークが描かれたUSBメモリを発見した。
- USBには思考操作システムのバックアップデータが保存されている可能性が示唆された。
第三章:反攻
- スミス新課長の着任により、捜査局内での対立が発生した。
- エチカとビガはロイドの別荘を捜索し、重要な手がかりを得られなかった。
- ハロルドとフォーキンは、出資者たちがキメラウイルスによって殺害されたことを突き止めた。
- フォーキンは停職処分を受け、自ら独自に捜査を続けることを決意した。
- ガードナーはエチカたちを疑い、捜査局への報告を示唆するが、ハロルドは冷徹に対応した。
第四章:破滅の盟約
- エチカはスティーブの協力でホロモデルを用い、『同盟』の会議に潜入するが、正体を見破られる。
- シュロッサー局長とクックが『同盟』の重要人物であることが判明し、キメラウイルスが国家機密であることが示唆された。
- エチカはアシュフォードの私立刑務所へ向かい、レクシー博士との対話を試みるが、彼女が『同盟』に加担していたことが判明した。
- ハロルドはレクシー博士の脅迫を拒絶し、神経模倣システムの公開を防ぐために行動した。
終章:ハングアップ
- エチカとハロルドはスコットランド南部へ逃亡し、逃走中に警官の捜査隊に追跡される。
- 最終的にエチカはハロルドを強制機能停止させることを選び、彼の意志を無視して行動を起こした。
- ハロルドは警官に撃たれ、完全に機能を停止した。エチカは絶望の中で彼を失うことを受け入れるしかなかった。
感想
エチカとハロルドの関係性と捜査の展開
『ユア・フォルマVI』では、エチカとハロルドの関係が物語の核となっていた。物語が進むにつれて、二人の関係性は深まりながらも、互いに抱える秘密と葛藤が障害となっていた。特にハロルドの処理能力低下や感情エンジンの抑制といった自分を制御する姿勢が強調され、彼の内面に潜む苦悩が描かれていた。また、エチカ自身もハロルドとの距離を取ろうとするが、その試みが結局互いをより複雑な状況に追い込む結果となっていた。二人の間に存在する不安と希望が、読者に強く訴えかける部分であると感じられた。
『同盟』捜査の難航と意外な展開
『同盟』に関する捜査は、初めは難航していたが、物語が進むにつれて多くの新事実が明らかになっていった。出資者六人の急死、キメラウイルスの存在、そして陰謀を巡る捜査が次々と展開される中で、エチカたちの状況は悪化の一途を辿った。特に、RFモデルの秘密が公開されるという意外な展開には驚かされた。読者としても物語の流れに引き込まれ、次々と明かされる真実に緊張感を感じながら読み進めることとなった。
ビガとハロルドのすれ違いと葛藤
ビガとハロルドの間にも葛藤が存在していた。ビガはハロルドに対する自分の感情が本物であるかどうかに悩み、ハロルドは冷徹な態度を見せながらもビガの気持ちを理解しようとしていた。しかし、二人の関係はお互いにすれ違い続けることで不安定さを増していた。ビガの感情が誘導によるものかもしれないという疑念が物語における重要なテーマとして浮かび上がり、読者に複雑な感情を抱かせる展開となっていた。
緊迫する逃避行と絶望的な結末
物語の後半では、エチカとハロルドが追われる立場となり、逃亡劇が展開された。逃走中の緊迫感とエチカの葛藤が非常にリアルに描写されており、読者としても息をつく暇がなかった。特に、ハロルドが自らの意志でエチカを守るために犠牲を払うシーンは、悲痛な結末を迎えることとなった。二人の逃避行は成功とは程遠く、ハロルドが強制停止されるという最悪の事態に至ることで、物語全体に重苦しい余韻を残した。
次巻への期待
この第六巻は、捜査の進展と人間関係の軋轢が複雑に絡み合った内容であった。エチカとハロルドの関係が再び断絶されるという結末は衝撃的であり、今後の展開に期待を持たざるを得ない。また、捜査局内の腐敗や『同盟』の存在など、全体的に暗いトーンで描かれている点も物語の魅力であると感じた。次巻では、エチカがどのようにこの困難な状況を打破していくのかが気になるところであり、物語の行方を見守りたいと強く思わされた。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
序章 岐路
サンクトペテルブルクのクリスマスマーケット
エチカ、フォーキン、ビガの三人は、サンクトペテルブルクのクリスマスマーケットを訪れた。エチカは射的に挑戦するも失敗し、景品としてジェド・マロースのマトリョーシカを受け取った。フォーキンとビガの誘いで久々に外出したエチカは、束の間の気晴らしを得たものの、心は晴れなかった。
トールボットへの電索と謹慎処分
ファラーシャ・アイランドで発生した思考操作事件において、エチカはトールボット委員長へ令状無しで電索を行い、規律違反として一ヶ月間の謹慎処分を受けた。トールボットは証拠隠滅を図っていたが、エチカは彼を電索し機憶を抹消することで彼の記憶を操作した。だが、トールボットの機憶は数千人分の記憶が混ざり合った「機憶混濁」を起こしており、その事実を知る者はエチカとハロルドのみであった。
『同盟』とポール・ロイドの捜査
フォーキンは「同盟」に関与していると思われる人物の捜査を進めていたが、ポール・ロイドの別荘捜査に必要な令状が下りず、捜査は難航していた。ロイドは五年前に殺人事件を起こし自殺しており、捜査は膠着状態にあった。トールボットは退院後も放心状態で、自宅で家族の介護を受けることになっていた。
ハロルドの処理能力低下と仮病
ハロルドはノワエ・ロボティクス本社でメンテナンスを受けたが、処理能力の低下は自らの意図的な操作によるものであった。感情エンジンを抑制することで、電索補助官としての仕事を辞退する口実を作ろうとしていた。彼は自分の感情エンジンを「秩序に欠けた欠陥品」とし、感情の動作を抑えることで快適さを得ていた。
レクシーとの対話
ハロルドはメンテナンスを担当するアンガスと共に、レクシー博士にオンラインで診てもらった。レクシーはハロルドの行動を興味深く観察し、不具合を抱えたままの状態でいることを許容した。ハロルドは彼女に感情エンジンの必要性を問うも、レクシーは曖昧にかわした。
エチカとのすれ違い
エチカはハロルドとの関係を断とうとしていたが、ハロルドもまた自らの存在意義を見失いかけていた。お互いに秘密を抱えたまま距離を取ることで、傷つかないように努めていた。ハロルドは自分がエチカを助けようとすること自体が間違いであると結論づけ、電索補助官の役目を降りる決意を固めた。
捜査の進展と今後の展望
捜査班は「同盟」に関与する可能性のある六名を絞り込み、臨時会議の招集が決定された。ハロルドはペテルブルクに戻り、捜査局を離れるための工作を図ろうと考えていた。今後の動向次第では、再びエチカと関わることになるかもしれないが、彼はそれを避けるつもりであった。
第一章 六つの沈黙
フェンスターでの捜査
エチカはスイス・チューリッヒの自殺幇助機関『フェンスター』を訪れた。彼女の父であるチカサト・ヒエダが四年前に自殺した機関である。精神科医イザベラ・ランゲから父のヒアリングシートを確認するが、彼は家族以外の名前をほとんど挙げていなかった。ランゲはチカサトが罪を償うため自殺したと推測したが、エチカは手がかりを得られず失望した。帰り際、アミクスであるアミクスが父が頻繁に訪れていた聖母教会について教えてくれる。
聖母教会の訪問と神父との会話
エチカは聖母教会を訪れ、フレスコ画を眺めていた際に神父と出会った。神父によると、チカサトは15年以上前から頻繁に教会を訪れていたという。その時期は『マトイ』のプロジェクトが進行していた頃であり、エチカは父が教会に心の安らぎを求めていた可能性を考えた。
フォーキン捜査官との合流
トトキから謹慎解除とフォーキン捜査官の応援要請が届き、エチカはサンモリッツへ向かう。フォーキンと合流し、彼が調査していた資産家ブライアン・クワインを訪ねる。フォーキンによると、クワインは違法薬物取引の疑いがあり、ファラーシャ・アイランドの出資者の一人でもあった。
クワインの別荘での捜索
エチカとフォーキンはクワインの別荘を訪れるが、応答がなく玄関を開けるとクワインの遺体を発見した。クワインは窓を開けた状態で床に倒れており、高熱を発症していた形跡があった。感染症が原因と推測されたが、詳細は不明であった。
フィンランドでの調査とバイオハッカーとの接触
フィンランドのエノンテキエに移動したハロルドとビガは、バンフィールドという出資者の行方を追っていた。彼は技術制限区域で姿を消しており、ビガの幼馴染であるバイオハッカーのハンサが抑制剤を提供したことが判明する。バンフィールドはその後消息を絶ち、ホテルで遺体となって発見された。
感染症の疑いと捜査の進展
バンフィールドの遺体には異常な高熱が認められ、感染症による死亡の可能性が高まった。ハロルドは保存キットで検体を採取し、ドローンを用いてロヴァニエミの工場へ送ることを提案した。ビガはガードナー捜査官の行動に疑問を持ちながらも協力を続けた。
新たな課題の発生
捜査が進む中で、エチカとハロルドの関係に微妙な変化が生じつつあった。ハロルドの処理能力の低下が影響を及ぼし、彼は特別捜査班のサポートに回されることとなった。エチカは父親の真相を追い求めながらも、自身とハロルドの関係を見つめ直すことを強いられる状況となった。
エノンテキエでの捜査と疑惑の浮上
エノンテキエ中心部のホテルで、トトキ課長と各国特別捜査班が出資者の死亡について会議を行った。ビガとガードナーも参加し、彼らは出資者六人全員の死亡が確認されたと知らされた。死因は急性心不全であるが、バンフィールドのみ感染症による免疫暴走が原因であった。フォーキン捜査官は、同盟による意図的な口封じの可能性を示唆したが、トトキ課長は他殺の可能性は低いと判断した。
ヒエダへの依頼とエチカの参加
トトキ課長はヒエダに対し、出資者の線が行き詰まったことを受けて新たな調査を求めた。ヒエダは、父が勤務していたリグシティを調査の対象とすることを示唆したが、以前の捜査で調べ尽くしたため期待はできないと述べた。トトキ課長は特別捜査班に遠征捜査の切り上げを指示し、検死結果が出次第報告するよう命じた。
ハロルドとの夕食とビガの不安
ビガとハロルドはガードナー捜査官と別れ、ホテル内のレストランで夕食を取った。ビガはハロルドの雰囲気が変わったことに気付いた。紳士的な態度や眼差しはそのままだが、以前のような奥行きを感じられず、不具合の影響かと疑念を抱いた。ビガは会話を続けながらもハロルドへの不安を拭いきれず、彼が以前のように戻ることを願っていた。
幼馴染ハンサとの再会と告白
ビガはホテルの駐車場で待っていたハンサと再会した。二人は和解し、ハンサは自分がビガの新しい生活を受け入れられなかったことを打ち明けた。ビガもハンサに対し、自分がバイオハッカーの道を捨てたことを後悔していないと伝えた。ハンサは突然、ビガに対する恋心を告白したが、ビガはその告白に戸惑いを隠せなかった。
バンフィールドの検死結果と疑念の拡大
翌朝、特別捜査班にバンフィールドの検死結果が共有された。バンフィールドは感染症による免疫暴走が原因で死亡していたことが確認されたが、輸送用ドローンに損傷の痕跡が見つかり、意図的な妨害工作が行われた可能性があると推測された。この事実により、ビガは事態の深刻さを改めて痛感した。
フィラデルフィアへの指令とドローンの異常
エチカとフォーキンは、米国フィラデルフィアへ向かう途中で輸送用ドローンが何者かによって狙撃された可能性を確認した。ブレードに残された擦過痕から、意図的に撃ち落とされようとしたことが疑われた。エチカは、敵対組織『同盟』が彼らの活動を妨害していると考えた。
ラファイエット・ヒルへの到着とトトキ課長の出現
フィラデルフィア到着後、エチカとフォーキンはラファイエット・ヒルにあるリハビリ施設へ向かった。現地に到着すると、トトキ課長が直接現れ、状況の説明を開始した。施設は表向きはリハビリ施設であったが、実際には極秘の軍事研究施設であった。
グレイソン・ミラー室長との面会
エチカたちは施設内でグレイソン・ミラー室長と面会した。彼はパンデミック時に重要な役割を果たした研究者であり、ニューラル・セーフティ開発室のメンバーでもあった。ミラーはバンフィールドから採取された検体が通常のウイルスではなく、複数のウイルスを組み合わせて作られた『キメラウイルス』であることを説明した。これは生物兵器としての用途を想定したものだと判断された。
NSAとTFCに関する情報提供
NSAのクックから、テロ組織『TFC』がキメラウイルスの大量製造手段を有しているという情報が提供された。『TFC』はサウジアラビア領内で独立を宣言した反政府組織であり、ユア・フォルマに替わる代替デバイスの開発を行っていた。クックによれば、『TFC』はテロ組織として監視されているが、その実態は国際社会でも注視されている。
捜査方針の決定とNGO潜入の提案
シュロッサー局長は、エチカたちに『TFC』の捜査を任せることを決定した。サウジアラビア政府や他の機関の支援を得ることができないため、NGOに協力を依頼し、現地に潜入することを命じた。エチカとフォーキンは、指示に従い任務に挑むこととなった。
第二章 謀略
潜入の開始
アル・バーハにおいて、国際 FML 財団の活動拠点であるキャンピングトレーラー群が存在していた。エチカとビガを含む特別捜査班は、潜入作戦を実施するために財団職員を装い、準備を進めていた。シュロッサー局長から潜入命令が下され、三日後にアル・バーハへ到着した。アル・バーハは主に生物兵器を含む各種兵器の製造拠点とされていた。
潜入と捜査の展開
エチカたちは NGO 職員と共に支援物資を積載したバンに乗り、検問を突破して町内へ潜入することに成功した。目的地である居住区域へ向かい、フォーキン捜査官が監視塔を調査する一方、エチカとトトキは地元民への接触を試みた。代替デバイスについての情報を得るため、調査を続けるが目立った成果は得られなかった。
人工気象室と子供たち
地元の学校において人工気象室が設置され、小麦の栽培を目的とした農業開発が行われていた。子供たちは構成員によって教育を受けており、TFC の理念が浸透するような環境が整えられていた。トトキとエチカは、人工気象室内で子供たちの学習の様子を観察しつつ、TFC の活動の詳細を探っていた。
TFC 構成員との遭遇
突然、エチカとトトキは TFC 構成員に見つかり、エチカの正体を見破られる。トトキは攻撃を受けて負傷し、エチカは銃を奪われた状態で拘束された。構成員たちはエチカを「ボスのところへ連れて行け」と命令し、事態は急展開を迎えることとなった。
ビガとトトキの状況
ビガはキャンピングトレーラー内でトトキや他の捜査官たちと共に活動していた。彼らはエチカのカメラ映像をリアルタイムで監視していたが、突如としてカメラが暗転し、エチカが構成員に連れ去られる様子が映し出された。ビガは動揺しつつもフォーキンらに指示を求めたが、混乱が続く中でエチカの行方を追跡することとなった。トトキは負傷しつつも、捜査官たちへ適切な指示を出し続けた。
ビガとハロルドの対立
ハロルドの異常な行動がビガに不安を抱かせた。ビガはハロルドにエチカとの関係を問い詰め、ハロルドはビガに対して機械的な返答を示した。ビガはハロルドの冷徹な態度に衝撃を受けつつも、彼の言動が不具合によるものか、それともエチカとの過去に何かあったのかを探ろうとした。
トトキの負傷と指示
トトキは負傷しつつも、フォーキン捜査官らにエチカの救出を最優先するよう命じた。また、ビガにエチカの持ち物であるニトロケースのネックレスを預け、エチカへの伝言を託した。ビガはそのニトロケース内に小さな記憶媒体を発見し、不審に思いながらも現在の状況では詳しく調べる余裕がなかった。
エチカの捕縛と尋問
エチカはバンで目を覚まし、構成員たちによってあるコテージへと連行された。そこにはアル・バーハ地区を取り仕切るボスであるカイが待っていた。カイはエチカに父チカサトが製作したソフトウェアを要求し、その引き換えに情報を提供するという取引を持ちかけた。エチカは交渉を試みるが、カイは捜査局を介した取引を拒絶し、強引にソフトウェアを引き渡すよう求めた。
カイの逃亡と襲撃
突如として外で発砲音が響き、捜査官たちの救出部隊が到着したことが判明した。カイは混乱に乗じてエチカを放置し、その場を去った。エチカはフォーキンによって救出されるが、カイを取り逃がしてしまった。エチカはカイが使用していたデスクを調査し、ファラーシャ・アイランドのシンボルマークが描かれたUSBメモリを発見する。
思考操作システムのバックアップデータ
エチカはUSBメモリを調べ、そこに保存されていたファイルの中に「brainwashing_backup」という名前のデータを見つけた。それが以前取り逃がした思考操作システムのバックアップデータである可能性に驚愕し、フォーキンに報告した。
怪我の治療と捜査再開
エチカはサウジアラビアでの治療を終え、リヨン本部に戻った。国際刑事警察機構四階の電子犯罪捜査局本部で、カイのUSBを解析するために分析チームが動いていた。エチカは怪我の治療で一日を費やしたものの、捜査に復帰することを決意した。フォーキン捜査官はUSBの内容が思考操作システムのバックアップである可能性を語り、捜査が大きく進展するかもしれないと期待していた。
カイの行方と謎
カイのUSBには重要なデータが含まれていたが、彼自身の行方は依然として不明であった。国際FML財団のボスから契約を打ち切りたいという連絡があったことで、カイがアル・バーハにいることは確実であるとされた。しかし、彼の行動の意図は依然として不明であった。
USBの解析結果と衝撃の事実
カイのUSBを解析した結果、それは電子犯罪捜査局の備品であることが判明した。USBのプロパティ情報には、捜査局のタグナンバーが登録されており、データは巧妙なフェイクであった。シュロッサー局長は内部犯行の可能性を示唆し、トトキが借りていたUSBであったことを指摘した。
トトキへの疑惑と解任
シュロッサー局長は、トトキが証拠を偽造した可能性を強く疑い、トトキを謹慎処分とし電索課の課長から一時解任した。トトキは潔白を主張したが、局長は疑念を拭えずにいた。エチカはトトキを信じたが、証拠が揃わない限りその潔白を証明することはできなかった。
『同盟』の内通者の存在
事件の全容を考察する中で、エチカとハロルドは『同盟』の内通者が捜査局内部に存在する可能性を疑った。カイがUSBを入手した経緯が不明である以上、局内の誰かが意図的に仕組んだ可能性があると結論付けた。捜査局内部の腐敗が疑われる中、エチカは新たな困難に直面することとなった。
ビガの葛藤と孤独
ビガはホテルのベッドで一人、照明を最小限に抑えた部屋で横になっていた。窓から差し込む街明かりがきらめき、星のように見えていた。テット・ドール公園の木々も見える可能性があった。アカデミーを欠席してまで同行したにもかかわらず、仕事を休むことに罪悪感を感じていたが、一人になれたことでほっとしている自分も認識していた。
ビガは瞼を閉じると、キャンピングトレーラー内でのハロルドとの会話を思い出し、苦しさを感じていた。ハロルドが示唆したのは、彼女の感情が誘導によるものかもしれないという可能性であった。アミクスが恋をしないことを理解しても、感情を消し去ることはできず、以前のように接することもできなかった。自分の感情が混乱し、息苦しくなるような気持ちに囚われていた。
ビガは、恋人同士になれるとは本気で信じていなかったと気づいていた。ハロルドはそれを見抜いていたのかもしれない。彼女の感情は強烈なものではなく、曖昧で夢のような存在であり、エチカに対する嫉妬さえ感じない自分を自覚していた。それでも、ビガにとってハロルドは生まれて初めて心から憧れた存在であったことは事実であり、それだけは偽りではなかった。
彼女は涙を流しながら、明日には少しでも気持ちが楽になることを願った。サイドテーブルに置かれたニトロケースのネックレスが照明を浴びて輝いているのを見つめながら、確信を持てないうちはトトキに話すつもりはないと決意した。頼れる存在として浮かんだのは、連絡を絶っている幼馴染みのハンサであった。
第三章 反攻
新課長の着任と捜査局内の不和
トトキの後任として着任したルーベン・スミス新課長は、機械派で保身を第一とする性格であった。彼の着任により、電子犯罪捜査局リヨン本部では局内の雰囲気が悪化し、トトキの更迭に反発する者とスミスに従う者に分裂した。スミスはファラーシャ・アイランドの出資者を再調査し、ポール・サミュエル・ロイドの別荘を捜査対象に加える命令を下した。
フォーキンとの協力と捜査局の内通者疑惑
ハロルドとフォーキンは、捜査の振り出しに戻る中で『同盟』の内通者が存在する可能性を探っていた。スミス課長の命令を受けつつも、フォーキンは自身の判断で調査を進め、捜査局内での内通者の存在を疑った。特にスミスがトトキの仕事を否定的に扱う態度から、フォーキンはスミス自身が内通者である可能性を示唆した。
ロイドの別荘の捜査と謎の痕跡
ロイドの別荘を調査するためにエチカとビガは現地へ赴き、大量の書籍や資料の中から重要な手がかりを探した。作業室ではロイドの研究に関連するメモや記事が見つかり、その中にレクシー・ウィロウ・カーター博士の功績が記された新聞記事も含まれていた。また、地下に置かれた大型の檻が存在し、不気味な印象を与えたが、証拠となるものは見つからなかった。
出資者の遺体の調査と殺害方法の特定
ハロルドとフォーキンは、検死施設で出資者たちの遺体を調査した。全員の遺体に共通して小さな痣があり、これがキメラウイルスの注入によるものであると結論づけた。『同盟』が各国の検死官を買収し、出資者の死因を「心不全」として処理させたことが判明した。
フォーキンの停職と独自の捜査計画
フォーキンは意図的にスミスを挑発し、停職処分を受けた。これにより、フォーキンは捜査局の指示に縛られず、独自に調査を続けることを決意した。ハロルドとの協力関係は維持され、エチカもまたフォーキンの計画に協力する意志を示した。
エチカとビガの関係と決意
ビガはエチカに対し、ハロルドに対する自分の感情が本物ではなく、自身を責める気持ちを打ち明けた。エチカは彼女の心情を理解しつつも、ビガを安全な場所に送り返すことを決意した。
捜査の新たな方向性と次の行動
ハロルドの分析により、出資者たちがキメラウイルスによって殺害されたことが明らかとなった。この発見を基に、エチカとフォーキンは『同盟』の関与をさらに追求するため、捜査局とは別の方法で行動を起こす準備を整えた。
バーミンガムでの捜査開始
エチカとガードナー捜査官はバーミンガムに到着し、ロビンフラッター社の農業用ポリネーターが犯行に関与している可能性を調査することにした。ガードナーは会社のCEOである父親の協力を得るために同行したが、自分の父の会社が事件に関与していることを認めたくない様子であった。
書斎での設計図捜索
ガードナーの案内でロビンフラッター社の書斎へ入り、ポリネーターの設計図を探した。ガードナーは自分の記憶を頼りに資料を見つけたが、エチカの推測通りポリネーターにはシリンジ機能は存在しなかった。そのため、農業用ポリネーターとは別の改造された機体が存在する可能性が浮上した。
発見された異常な設計図
ガードナーの父親のデスクから取り出されたUSBには、モンスズメバチを模したドローンの設計図が記録されていた。そのドローンは冷却可能な真空ユニットを搭載し、鋭利な毒針を持つという特異な仕様であった。ガードナーはこれを軍用兵器の開発コードだと推測し、過去に政府から依頼された偵察ドローンとは異なるものであると断言した。
グレッグの逃走と捕縛
エチカたちが設計図を調査する中、ガードナーの父親グレッグが突然逃走を図った。エチカとガードナーは建物の外まで追いかけたが、グレッグは車で逃走を試みた。しかし、待機していたトトキとフォーキンによって阻止され、拘束された。
ガードナー捜査官の動揺
グレッグが『同盟』に関与している可能性が示唆され、ガードナーは強い動揺を示した。彼はエチカたちに対し、自分の父が犯罪に関与しているとは信じられないと訴えた。しかし、ハロルドは冷徹に捜査を続行し、ガードナーを取り込むことを試みたが失敗した。ガードナーは彼らの捜査方法を批判し、スミス課長に報告する意志を示した。
ハロルドの冷徹な判断
ハロルドは今回の捜査において、ガードナーを利用することを前提として行動していた。しかし、ガードナーがエチカたちに協力する意志を示さなかったため、ハロルドは別の手段を模索することにした。彼の冷徹さは以前の人間的な側面を失い、機械的な判断を優先するように見受けられた。
事態の悪化と今後の課題
グレッグの拘束により、エチカたちは『同盟』に対する手掛かりを得たものの、ガードナー捜査官の信頼を完全に失う結果となった。捜査局内に潜む内通者の存在も明らかとなり、今後の捜査においてさらなる困難が予想された。エチカはハロルドの冷徹さを感じつつも、彼との協力を続けることが必要であると理解した。
取調べと隠蔽捜査の開始
フォーキンはグレッグ・ガードナーをテラスハウスで取り調べていた。彼は『同盟』に協力し、生物兵器用ドローンの設計と出資者六人の殺害に関与した疑いをかけられていたが、自身は無実を主張し続けていた。テラスハウスでの取り調べは、捜査局が改装工事中であることを理由に行われたが、本当の目的は隠蔽捜査であった。
エチカとトトキは外へ出て、拠点をボアハムウッドに定めた理由を確認しつつ、絶縁ユニットを装着して位置情報を偽装する必要性について話し合った。トトキは捜査局の備品を不正に持ち出し、フォーキンたち全員に装着を強制していた。
リン電索官の失敗と危機感
リン電索官とウッド補助官が到着し、グレッグへの電索を試みた。しかし、リンは電索中に倒れ、焦げた探索コードが確認された。エチカは、かつて経験したトールボットの電索と同じ現象であると考え、機憶混濁が原因である可能性を疑った。
このままではグレッグから何も情報を得られず、『同盟』に狙われる危険性が増すとエチカは感じた。トトキは取調べの再開か、別の方法を考慮するよう促したが、明確な解決策は見つからなかった。
ハロルドの決意とエチカの覚悟
ハロルドは自ら補助官としてエチカをサポートすることを提案した。彼の不具合が悪化することで、捜査局から免職される可能性が高まると知りつつも、それを受け入れる覚悟を示した。エチカは自身の不安を抑えつつ、再びハロルドとの電索を決意した。
機憶混濁と重要な情報の発見
エチカはグレッグへの電索を行い、機憶混濁の中で情報を探り当てた。膨大な情報が次々と流れ込む中、彼はグレッグの車内で見たメッセージを確認することに成功した。そこには『同盟』関係者が集うオンライン会議の日時と入室用パスコードが記されていた。
エチカの意識消失と情報の共有
電索を終えたエチカは、限界を超えた負荷により意識を失ったが、意識を取り戻した後、重要な情報をトトキに伝えることができた。彼女は、今夜二十二時に『同盟』の会議が行われることと、パスコードがハロルドの記憶に残っている可能性があることを告げた。エチカは完全に意識を失い、捜査の行方は不明なままである。
エチカの目覚めと体調の確認
エチカはベッドで目覚めたが、極度の疲労感に包まれていた。周囲を確認すると、絶縁ユニットが接続されており、時刻は午後五時を過ぎていた。彼女は喉の渇きを感じながらも、体を動かすことすら困難であった。サイドテーブルにはトトキからのメッセージと水が置かれていたが、コップを手に取ることさえできなかった。そこへハロルドが現れ、彼女に水を手渡した。ハロルドもまた体調不良を装って休息中であった。彼はリン電索官が作戦を練っていることをエチカに伝えた。
ハロルドとの対話と感情の整理
エチカは、ハロルドと交わした過去のやり取りを思い返しながら、自分の感情を整理しようとしていた。ハロルドの髪型や会話の一部を思い出し、かつての信頼関係が築かれていたことを確認する。彼女はネックレスを手に取り、トトキ課長が見つけ出し、ビガが保持してくれていたことを説明した。エチカはハロルドに対し、電索で成果を挙げられたことを感謝し、彼の「秘密」についても黙っていることを誓った。
ハロルドの感謝と別離への準備
ハロルドはエチカの言葉に感謝を示しながら、彼女に釣り合う新しい補助官が見つかることを祈った。エチカは彼の言葉に対し、もしハロルドが人間であったならという想像を巡らせたが、それは儚いものであると理解していた。彼女は自分の考えを整理しつつ、静かな時間を過ごした。
トトキの登場と作戦計画の告知
しばらくして、トトキが現れ、エチカの具合を確認した。エチカは多少の疲労を感じつつも、行動可能な状態であると答えた。トトキはノワエ社との調整を行い、ハロルドのメンテナンス時間を遅らせたことを告げた。そして、スティーブの協力を得て、グレッグとして『同盟』の会議に潜入する計画を伝えた。
第四章 破滅の盟約
ロンドン到着とノワエ・ロボティクス本社での打ち合わせ
エチカたちはノワエ・ロボティクス本社に到着した。雪が舞い落ちる中、技術棟内は静まり返っていた。出迎えたアンガス室長に、トトキは緊急の用件でスティーブに会いたい旨を伝えた。フォーキンが周辺を巡回する間、トトキたちは本社内を移動し、ハロルドのメンテナンスを並行して行うことにした。アンガスがハロルドの診察に専念する間に、トトキとエチカはスティーブに協力を求める計画を進めた。
グレッグのホロモデル作成依頼
エチカとトトキはスティーブに、グレッグに成り済ますためのホロモデル作成を依頼した。スティーブはかつてヒエダ電索官のホロモデルを製作した経験があり、その技術を用いて今回も短時間でモデルを作成できると判断された。アンガスを足止めするためにハロルドのメンテナンスを引き延ばしながら、トトキはスティーブにモデル作成の準備を整えさせた。
『同盟』会議への潜入と危機
スティーブはグレッグのホロモデルを作成し、エチカはそれを用いて『同盟』の会議に潜入した。会議は没入型のオンライン空間で行われ、参加者は仮想的なウユニ塩湖に配置されていた。エチカはグレッグとして会議に参加し、会話の中から各参加者が番号で呼ばれていることを知った。特にアルファベットで呼ばれるアバターたちが会議の中枢を担っていると推測された。
シュロッサー局長とクックの関与
会話の中で、シュロッサー局長とクックが『同盟』の重要人物であることが判明した。また、フィラデルフィアでの捜査時に彼らがエチカを欺いていたことも明らかになった。キメラウイルスが国家機密であることや、複数の参加者が国際的な陰謀に関与していることが示唆された。
『同盟』の計画とエチカへの反撃
エチカは『同盟』の会議を監視しながら情報を収集していたが、逆に『F』と呼ばれる人物によって正体を見破られた。緊急にログアウトを行ったものの、エチカとトトキは『同盟』が自分たちを標的にしていることを確認した。特にシュロッサー局長とクックの接続元を特定するためにスティーブが努力していたが、全ての情報を把握する前にエチカの潜入は露見してしまった。
フォーキンへの指示と今後の行動
トトキはフォーキンに対し、ガードナー捜査官の保護を最優先にするよう指示を出した。ロンドン警視庁の協力を仰ぐという賭けに出たトトキは、迅速な行動を求められた。エチカは一人でアシュフォードの私立刑務所へ向かう決意を固め、行動を開始した。
スティーブとの別れ
エチカはスティーブに事情を説明することを約束しつつも、彼を置いてノワエ本社を後にした。スティーブは自ら行動することはできないが、エチカを支えるために全力を尽くすと述べた。エチカは彼の協力に感謝しながらも、状況の深刻さを痛感しつつ急いで次の行動に移った。
ビガの帰還とガードナー捜査官の異変
ビガはペテルブルクのアカデミーに戻るはずだったが、ガードナー捜査官からの返事がなかったため、彼を待っていた。ガードナーはエチカたちとロビンフラッター社を訪問していたが、オフィスに戻ってきた際には体調が悪そうであった。ビガの質問にも応じず、弱々しく自分のデスクへ向かった。
ハンサからのメッセージとフォーキンの登場
ビガはエレベーターを待つ間に幼馴染みのハンサからのメッセージを確認した。内容はビガの見立て通りであることを伝えるものだった。その後、思いがけずフォーキン捜査官が現れ、ビガに無事であるかを確認した。フォーキンは個人的に『同盟』を捜査していたが、急ぎロンドンに戻ってきた様子であった。
ガードナーの暴走と死
フォーキンがガードナーのデスクへ向かうと、ガードナーは突然フォーキンに銃を向けた。ガードナーは自分の父親が誘拐され、フォーキンをその犯人だと誤解していた。興奮のあまり、ガードナーは意識を失い倒れた。捜査官らが集まり騒然とする中、ガードナーはすでに息を引き取っていた。
エチカとハロルドの刑務所への訪問
エチカとハロルドはアシュフォードの町に到着し、レクシー博士の身柄を確認するため刑務所へ向かった。刑務所内は改良中の思考操作システムの支配下に置かれていた。エチカはレクシー博士と話し合う必要があると判断し、ハロルドを先に送り込んだ。
レクシー博士との対話と真実の告白
ハロルドはレクシー博士との面会で、彼女が『同盟』に加わった理由と機憶防壁の改良について尋ねた。レクシーは自分が『同盟』と協力することで刑務所生活から逃れようとしたことを告白した。また、彼女は『同盟』の計画に加担しながらも、完全に信頼していないことも示唆した。
レクシー博士の脅迫とハロルドの拒絶
レクシー博士はハロルドに協力を求め、もし断れば神経模倣システムを世間に公表すると脅した。ハロルドはそれをはったりと見抜き、彼女を連行しようとしたが、レクシーは銃で襲撃され負傷した。
緊急事態と『同盟』による攻撃
エチカが救急隊を呼び、レクシー博士の処置を試みている間に、ユア・フォルマへ謎のコードが配信された。ハロルドはそれを確認し、『同盟』が神経模倣システムを公にするための作戦を実行した可能性を指摘した。エチカは状況を理解することに苦しみながらも、事態の深刻さを認識した。
ハロルドの決断とエチカの葛藤
ハロルドはエチカに自分を置いて逃げるように指示したが、エチカは彼を見捨てることができなかった。ハロルドはエチカを突き放すように告げ、彼女の安全を最優先することを求めた。
エチカの決意とハロルドの強制停止
エチカはハロルドを強制停止させることで、彼を危険から救おうとした。彼の意志を無視する形で行動を起こしたエチカは、自分の選択に対する罪悪感を抱きながらも、彼を守ることを決意した。
リグシティシステムの異常と謎のコードの出現
ビガはトトキとの通信を行うために絶縁ユニットを外していたが、ユア・フォルマに届いた緊急アップデート告知以降、意味不明なコードが流れ続けていた。コードには「ノワエ・ロボティクス社開発アミクス/RFモデル/神経模倣系・全システムコード」と表記されていた。フォーキンは、リグシティのシステムが攻撃を受けた可能性を指摘し、状況を確認するため車を停車させた。周囲でも同様の異常が発生していたことから、ユア・フォルマユーザー全員が影響を受けたと考えられた。
スティーブとアンガスの対話
ノワエ・ロボティクス本社の技術棟にある解析用ポッドで、スティーブはアンガスにメンテナンスを受けていた。アンガスは緊張した様子で、スティーブの調整ミスを確認するために大規模な解析を行うと説明した。しかし、スティーブは自分に問題がないことを示しながらも、アンガスの焦りを不審に感じていた。アンガスはRFモデルの真実を知らされた可能性があり、スティーブの機能停止を試みたが、スティーブはそれを阻止した。
スティーブの反発とアンガスの告白
スティーブはアンガスの行動を制止し、真実を問うた。アンガスは困惑しながらも、「クラッキングによってユア・フォルマのアップデートが改ざんされた」と告白した。また、レクシー博士が神経模倣システムに関与していた可能性が高いことも示唆された。スティーブは無感動に受け止めながらも、問題が露見することは避けられないと理解していた。
国際AI倫理委員会からの指示
アンガスは国際AI倫理委員会からの指示を伝え、RFモデルを即座に機能停止して解析するよう要求された。スティーブは、自分を停止することは構わないが、ハロルドの安全を保証するよう求めたが、アンガスはそれを拒否した。スティーブは交渉が成立しないと判断し、アンガスを抑え込むために行動を開始した。
トトキとビガ、フォーキンの通信
ビガとフォーキンはトトキと通信を繋いでいた。トトキはエチカとハロルドの行方を探るよう指示を出し、レクシー博士の確保に向かった二人の安否が不明であることを伝えた。アンガスは、RFモデルが国際AI運用法に違反した存在であると主張し、ビガはそれに疑問を抱いた。ビガはエチカが正義感の強い人物であり、法を犯すような行為をするはずがないと信じていた。
ビガの告白とトトキの対応
ビガはエチカのネックレスに機憶工作用HSBが含まれていたことを告白した。トトキはビガの話を受け入れながらも、エチカとハロルドを見つけ出すよう指示を下した。フォーキンはビガを安全な場所へ送り届けることを任され、トトキはロンドン警視庁と協力して状況の解明を進めることとなった。
終章 ハングアップ
雪に覆われたスコットランド
エチカとハロルドは、技術制限区域であるスコットランド南部へ逃走し、グラスゴー郊外のローモンド湖周辺に位置するコンテナホテルへ身を隠した。エチカは再起動したハロルドが冷静さを保ちながらも怒りを抱いていると感じていたが、彼との関係を修復する術を見出せずにいた。
逃走計画の提案
エチカは複数の逃走案を提案したが、ハロルドはすべて却下し、ロンドンへ戻るべきだと提言した。彼の冷静さとは裏腹に、エチカは自身の行動を正当化できずにいた。やがて二人はホテルを出発し、シェットランド諸島へ逃げる計画を立てた。
フォーファーでの検問
道中、フォーファー付近で交通規制に引っかかり、警官の検問に遭遇した。エチカはフォーキン捜査官を含む捜索隊に見つかり、彼らから逃れるためにシェアカーで逃走を図った。激しい追跡を受けつつ、エチカとハロルドはケアンゴームズ国立公園の集落へと辿り着いた。
森林での行き詰まり
集落を抜け、カラマツの森へと入り込んだ二人は、完全に行き場を失った。疲労と混乱の中で、エチカはレクシーから預かったはずの機憶工作用 HSB が空であることを知り、ビガによってすり替えられていたことに気づいた。この事実に打ちのめされながらも、ハロルドに謝罪の言葉を伝えた。
自らの逮捕を決意するハロルド
エチカが自らの無力さを認識する中、ハロルドは自身が捕まることでエチカを守ろうと決意した。彼はエチカを人質に見せかけ、捜査隊を引きつける作戦を取ったが、最終的に警官に撃たれ、強制機能停止された。
完全なる別離
エチカはハロルドの意図を理解しながらも、彼を失うことを受け入れられず、嘆きと絶望の中に崩れ落ちた。警官たちにより確保されたハロルドは完全に機能を停止し、エチカの目の前から姿を消した。
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