- どんな本?
- 読んだ本のタイトル
- あらすじ・内容
- 感想
- 同シリーズ
- その他フィクション
- 備忘録
- プロローグ
- 春の日の草原で
- 布製の家だらけの不思議な村で
- 小川の側で
- 見渡す限りの草原で
- 出来上がったユルトの側で
- 翌日の朝、ユルトの中で
- 草原を北に向かいながら
- 岩山の麓で
- 翌朝、鬼人族の村で
- 三週間と少しが過ぎた日の朝、ユルトの側に作られた井戸で
- ユルトを離れ、草原の東で
- 一週間が過ぎた日の、朝のユルトで
- ユルトへと戻って
- 10日後、ユルトの側の草原で(クラウス)
- 立ち並ぶユルトを眺めながら(ディアス)
- 翌日、小川の側で
- イルク村を離れながら(ペイジン・ド)
- 取り引き後のイルク村で(ディアス)
- 10日後、夜明けのユルトで
- 特製ベッド型馬車の上で
- 夜更けのユルトで
- 夜更けの草原で(侵入者の頭目)
- 森を駆けながら(謎の男)
- 戦いを終えて
- 過日。婚姻の祝宴の翌日、ユルトの中で(アルナー)
- アルナーを待ちながら(ディアス)
- ある日の午後、ユルトで(ディアス)
- 登場人物
どんな本?
戦争で、孤児から救国の英雄に成ったディアス。
それを面白く思わない王族が横槍を入れて。
拝領した広大な草原には領民がおらず、住む家も無く、食料すら無い。
領地を与えると言いながらやってる事は流刑にしたような物。
その誰一人いないはずの草原で、ディアスは少女アルナーに出会う。
彼女は額に角がある鬼人だった。
読んだ本のタイトル
領民0人スタートの辺境領主様 Ⅰ 蒼角の乙女
著者:風楼 氏
イラスト:キンタ 氏
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あらすじ・内容
戦争で活躍し孤児から救国の英雄となったディアス。
彼は、その報償として国王陛下から最果ての地を拝領する。だが、自らの領地へと到着したディアスは、広大すぎる草原に領民がいない、住む家も無い、食料も無い状況で、呆然と立ち尽くすこととなった。
その誰一人いないはずの草原で、ディアスは気の強い少女・アルナーに出会う。
彼女の額には、青く輝く“角”が生えていて!?初めて見る角のある少女とともに歩いていくと、そこには角の生えた人々が住む集落が!
果たしてディアスは領主としてやっていけるのか?
何もない草原で、どうやって生活するのか?
ここで生きていくことは出来るのか???前途多難な新米領主の辺境スローライフのはずが!?
領民0人スタートの辺境領主様1 蒼角の乙女
剣と魔法の世界の物語が始まる!
感想
元孤児で平民の英雄のディアスは脳筋で考える事が苦手な35歳。
王様に褒められて領地を貰えると言われて、言われるがまま付いて行ったら。
担当の役人からおざなりな説明を受けて、草原のど真ん中に置いて行かれた。
貰えるはずだった報奨金は派閥争いをしている王子に横領され。
貰える領地も横取りされていたらしい。
あとは後始末として、誰もいない、食糧も無い、草原にディアスを放置して流刑のように追放してしまう。
着の身着のままで食糧も水も無い状態で放置。
そこから始まる領主生活。
そこにいた鬼人族達と友誼を結び。
友誼の証として鬼人族のアルナーを婚約者にして、2匹のメアーと共にテントのようなユルドを建て暮らし始める。
そして狩に行ったらアースドラゴンを討伐して鬼人に認められる。
アースドラゴンって言っても亀だよな、、、
いや、火を吹くからドラゴンなんだろうけど。。
見た目が亀だからな、、、
凄いんだよな。
でも、商人の反応を見るにドラゴンで高額の取引が出来ているからドラゴンなんだろう。
その対価として双子の女の子を貰うのも、、
その双子って最初はこんな感じだったんだ。。
後の巻で無邪気にディアスに懐いてるイメージしか無かったから意外だったわ。。
でも、両親が病気で亡くなってしまって商人に売られたんじゃな。。
仕方ないって言えば仕方ないか。
でも、ディアスに貰われて2人は娘として育てられる。
ついでにメアー達も家族として扱うからな、、
何気にメアー達が賢くて子供の心に寄り添うのが良い。
2人には幸せになって欲しいな。
もちろんディアスとアルナーもね。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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同シリーズ
領民0人スタートの辺境領主様
その他フィクション
備忘録
プロローグ
ディアスは幼少期に両親を流行り病で失い、25年間その遺言に従い必死に生きてきた。彼は孤児たちと共に清掃や農作業、時にはモンスターを狩りながら日々を過ごしていた。15歳の時、隣国との戦争が始まり、彼は志願兵となり、20年間戦い続けた。35歳の時、終戦を迎え、ディアスは救国の英雄と呼ばれるようになった。
その後、王から領地を与えられたが、そこは広大な草原だけの荒れた地であった。ディアスは準備もないままその領地に送り出され、領民も家もなく、食料も見つからない状態で領主生活を始めることになった。彼が持っていたのは戦斧と傷だらけの装備だけであった。こうして、孤独な草原でのディアスの領主生活が始まったのである。
春の日の草原で
ディアスは草原での生活を始め、水と食料を確保し、住む場所を見つける必要があった。幸運にも川を発見し、水を得ることができたが、食料や適した住居を見つけることはできなかった。草原には草しかなく、洞窟や木さえも見当たらなかった。疲れ果てたディアスは川のそばで寝ることに決め、翌日から再び状況の改善を試みようとした。
翌朝、ディアスは角を持つ謎の女性に起こされた。彼女は褐色の肌と青い角を持ち、露出度の高い装いをしていた。彼女はディアスに敵か味方かを問い、ディアスは領民を守るべき領主として「味方だ」と答えた。その言葉に彼女は驚き、角が青く光り始めた。彼女はディアスを村に連れて行くと言い、ディアスを引っ張って不思議な村へと向かった。
ディアスは、草原に村があることに驚きながらも、彼女に出会えた幸運を感謝した。彼は不思議な白い布で作られた家々が並ぶ村へと辿り着いたのである。
布製の家だらけの不思議な村で
ディアスは村に連れて行かれ、族長であるモールに会った。モールは青い角を持つ鬼人族の長であり、村人たちも皆、角を持つ者たちであった。ディアスは彼らが領民ではなく、むしろ彼の国の敵であることに驚いた。しかし、モールは彼が「青」であり、彼らに幸福をもたらす存在であることを示す魔法の結果を信じ、彼を敵視しなかった。
モールは、かつて鬼人族が王国と戦い、この草原を支配していたが、50年前の戦争で敗れ、隠蔽魔法を使いながら草原に戻って来たことを語った。ディアスが彼らの存在を王国に報告しないことを条件に、モールは彼に家や食料を提供することを約束した。さらに、世話係としてアルナーを派遣し、ディアスは彼女と共に草原での生活を始めることになった。
こうして、ディアスは住む場所と食料を確保し、新たな生活を始めることとなった。
小川の側で
ディアスはモールとの話し合いが終わり、アルナーと共に川の近くに戻ってきた。そこでは鬼人族がユルトという布製の家を建てており、彼の住居が着々と完成していた。アルナーはディアスの世話係として、不承不承ながらも多くのことを教え始め、特にメーアという家畜の世話について詳しく指導した。メーアは耐久性と耐水性に優れた体毛を持ち、その毛を加工することで鬼人族の生活が支えられていた。
ディアスは領民を増やすことを目標にしていたが、その方法に悩んでいた。アルナーは彼に対し、まずは家や食料を整えることが先決だと指摘し、領民を増やすには十分な生活基盤が必要であることを説いた。ディアスはそれに同意し、領民確保の前に食料を確保するために狩りに出かけることにした。
アルナーからはマタビという獣を引き寄せる草の粉末を渡され、ディアスは早速その粉を使って獣を狩ることにした。狩りに集中しながら、ディアスは頭を冷やし、次第に自分の考えが整理されていくのを感じた。体を動かすことで思考が冴え、領民集めの方法を思いつくかもしれないと希望を持ち、草原を駆け続けたのである。
見渡す限りの草原で
ディアスはマタビの粉を使い、獣をおびき寄せるために草原に散布した。粉は風に乗って広がり、その効果により、多くの獣が彼の元へと集まってきた。大きな角を持つ黒い獣の群れが現れ、その数は予想以上であったが、ディアスは戦斧を振り回して次々と獣を倒していった。戦斧は頑丈で、どんなに激しく使っても壊れることがなく、ディアスはその武器の信頼性に支えられて戦い続けた。
しかし、彼は多くの獣を狩った後、それらを鬼人族の村まで運ぶ手段がないことに気づいた。大量の獣を一人で運ぶのは不可能であり、困ったディアスはアルナーに相談するため、狩った獣のうち一匹だけを持ち帰ることにした。彼は獣を背負い、アルナーの元へ戻るべく草原を進んだのである。
出来上がったユルトの側で
ディアスは狩りで大量の獣を倒したものの、それらを運ぶ手段を考えておらず、アルナーに「馬鹿領主」と言われることを恐れていた。ユルトと飼育小屋が完成した場所へ戻ると、アルナーはディアスの狩りの成果を見て驚き、初めて彼に対して機嫌よく振る舞った。さらに、族長モールもディアスの「男気」を称賛し、二人とも上機嫌だった。
ディアスは鬼人族が「男気」という言葉を頻繁に使うことに疑問を抱き、その意味を尋ねたところ、モールは「男の価値や甲斐性を示すもの」と説明した。そして、アルナーが機嫌よくなった理由として、ディアスの男気に魅了された可能性を示唆した。
モールはさらに、鬼人族において「男気」を示すことで女性に好意を持たれ、結婚に繋がることを教えた。アルナーと結婚するには黒ギー30頭や若いメーア20頭が結納品として必要だと冗談交じりに語り、ディアスは鬼人族の結婚観に驚かされた。
ディアスは当初の目的である領民集めに集中しようとしたが、予想外の問題が次々と頭を悩ませ、鬼人族との価値観の違いに困惑しつつも、今後の対処を考える必要があると感じた。
翌日の朝、ユルトの中で
ディアスはユルトで目覚め、昨日の出来事を思い返しながら朝食の匂いに気づいた。アルナーが料理をしており、彼女の機嫌も良かった。ディアスは狩りの成功により、アルナーとの距離が縮まったことを感じつつも、彼女の態度の変化に戸惑いを覚えた。
二人は今後の生活に必要なもの、特に井戸と厠の設置について話し合い、それを実現するためにモンスター狩りを行うことを決めた。アルナーは魔法でモンスターを探すことができるため、彼女と共に狩りに出かけることになった。
その後、男衆たちがユルトにやってきたが、アルナーの化粧が以前とは違うことに驚いた。アルナーはディアスの反応を見て満足そうに笑い、男衆たちは彼女の変化に嫉妬の視線を投げかけた。ディアスはその状況を察し、アルナーと共に狩りに出発した。
草原を北に向かいながら
ディアスとアルナーは、草原の北部にあるモンスター出現地帯へ向かうことになった。そこでは頻繁にモンスターが姿を現し、モンスターの素材を使えば、井戸や厠を作るための対価を得ることができると考えた。
アルナーは魔法が得意だと自信を示し、モンスターの探索を担当した。彼女の魔法でモンスターの位置が特定され、そのモンスターは岩山の麓にいる大きな個体だと分かった。ディアスは危険を感じつつも、アルナーの隠蔽魔法があることを確認し、二人で一緒にモンスターに立ち向かうことにした。
彼らはモンスターの元へ向かい、戦いの準備を整えつつ、協力して次の行動に移った。
岩山の麓で
ディアスとアルナーは、岩山の麓で巨大なモンスターに遭遇した。それは亀のように見えるが、アルナーによると「アースドラゴン」という強力なモンスターであった。ディアスはアルナーの忠告を無視し、ドラゴンに挑んだ。
ディアスは戦斧で甲羅を何度も攻撃したが、硬すぎてほとんど傷をつけられなかった。それでも粘り強く攻撃を続け、ようやく甲羅を割ることに成功した。アースドラゴンは火球を吐いて反撃したが、ディアスは回避し、戦斧でさらに攻撃を加えた。最終的にドラゴンを討ち取り、戦いは終わった。
アルナーはディアスの勇敢な行動に感動し、彼に結婚を迫るような言動を見せた。ディアスは困惑しながらも、帰ることを優先しようとしたが、アルナーの興奮は収まらず、男衆が来るまで続いた。
翌朝、鬼人族の村で
ディアスは巨大な亀型のドラゴンを倒し、その死体を鬼人族の村まで運ぶことになった。亀の素材は非常に貴重であり、村中がその到着を歓喜で迎えた。ディアスはその素材で井戸や厠を作るための対価を得たが、それ以上の価値があると知らされ、さらに多くの資材や食料、倉庫まで手に入れることが約束された。
また、モールはディアスにアルナーとの結婚を強く勧め、ディアスは村中の圧力を感じつつもそれを受け入れることとなった。驚くことに、アルナーはまだ15歳であり、ディアスはこの年齢差に困惑しつつも、3年間の婚約期間を経て彼女と結婚する覚悟を決めた。
これから始まる祭りや結婚式に向けて、ディアスは鬼人族との深い絆を感じつつも、領民としての責任を改めて考え、未来への準備を進める決意を固めていた。
三週間と少しが過ぎた日の朝、ユルトの側に作られた井戸で
ディアスは朝の陽光の中、井戸で水汲みをしていた。井戸の使用に慣れてきたディアスは、慎重に作業をこなしながらも領民がいない現実に深い溜息を漏らしていた。アルナーとの婚約から約1ヶ月が経過したが、領地にはディアスとアルナー以外に人影がなく、領民を増やすための方法が思いつかずに悩んでいた。
そんな時、アルナーが輝かんばかりの笑顔でディアスに近づき、メーアのフランソワが妊娠したことを告げた。ディアスは喜びのあまり桶を落としてしまい、フランソワを撫でて祝福した。しかし、アルナーからメーアの妊娠中は特にデリケートであり、安心感を与えるためにディアスがフランシスとフランソワを守らなければならないと説明された。
その後、ディアスはフランシスとフランソワをユルトに迎え入れることに決め、一緒に暮らすことを了承した。彼は戦争中の過酷な生活と比べ、メーアたちと暮らすことを天国のように感じていた。
その日の朝食を終えた頃、アルナーの角が緑色に光り、草原に仕掛けた魔法が何かを感知したことが判明した。東から人間が10人ほど近づいているという情報を得たディアスは、戦斧を手に様子を見に行くことを決意し、アルナーに隠蔽魔法でユルトやメーアたちを守るように頼んだ。
フランシスとフランソワの不安を感じつつも、ディアスは状況を確認しに向かう決意を固めた。
ユルトを離れ、草原の東で
ディアスは草原を進み、東からやってくる人々を探していた。しばらくして、彼は騎兵と歩兵の一団を見つけ、その中に戦場で共に戦ったクラウスを認識した。クラウスはディアスの案内役として派遣されており、豪華なドレス鎧を着た女性たちがディアスに用があると説明した。彼らをディアスの住むユルトへ案内すると、アルナーの隠蔽魔法により他の建物は見えなくなっていた。
ユルトの中でディアーネという女性がディアスに王国の新たな戦争への協力を求め、報酬として婚姻を提案してきた。しかし、ディアスはフランソワの妊娠や自身の婚約を理由に戦争参加を断った。また、ディアスは報酬としての結婚も受け入れず、彼女たちを丁重に追い返した。
その後、アルナーがディアスに、女性たちが敵意を持っていたことを告げた。ディアスは彼女たちが嘘をついていた可能性に気づき、追い返したことが正しかったと安心した。クラウスに対しては友好的な感情を持ちつつ、ディアスはフランシスとフランソワの世話を続け、家族としての平穏な日々を大切にしようと決意した。
一週間が過ぎた日の、朝のユルトで
ディアスは朝、フランシスとフランソワに挟まれて目覚めた。彼らはディアスの側で寝ることを希望しており、ディアスもそれを許可していた。朝の支度を済ませ、ディアスはアルナーやフランシスたちと共に日常の活動を行っていた。
その後、アルナーの魔法で東に一人の人間が近づいていることに気づき、ディアスは確認に向かった。そこにはかつての仲間クラウスがいた。クラウスは兵士の職を自ら辞め、ディアスのもとで働きたいと申し出た。ディアスはクラウスを受け入れ、彼と共にユルトへ戻りながら、アルナーやフランシス、フランソワのことを紹介した。
フランシスはクラウスに心を開き、自分の地位を示すための挨拶をした。クラウスはその行動に驚きつつも、新しい生活を始める決意を固めた。
ユルトへと戻って
ディアスはクラウスと共にユルトへ戻り、クラウスは隠蔽魔法が解除された拠点の姿に驚きを見せた。ディアスとアルナーは日常の作業を済ませた後、クラウスが住むユルトを組み立て始めた。クラウスは練習用のユルトで良いと言っていたが、ディアスは新しいユルトを提供することにした。
その後、昼食を取りながら、ディアスはクラウスに装備のことを相談した。ディアスはドラゴンの素材を使った装備をクラウスに支給することを約束し、クラウスはその申し出に驚きながらも感謝の意を示した。クラウスは自らが領兵隊長としてディアスやアルナー、フランシスたち、そして未来の領民たちを守る決意を固め、ディアスの期待に応えようと誓った。
10日後、ユルトの側の草原で(クラウス)
クラウスは、ディアスのもとで働き始めて10日が経過していた。毎日訓練を欠かさず、槍や剣、弓の練習に励み、ディアスのように強くなることを目指していた。国内の後継者争いが激化し、辺境や王都周辺では混乱が広がっていた。クラウスは、ディアスが戦乱に巻き込まれることを懸念し、その時のために力をつけようと必死に訓練を続けていた。
ある日、アルナーの魔法で東から12人の気配を感じ、ディアスは様子を見に行くことにした。クラウスは待機を命じられ、ディアスの帰りを待っていた。戻ってきたディアスは、12人の老婆たちを連れており、彼女たちは隣領カスデクス領から追い出された棄民であった。老婆たちは困窮したカスデクス領内の口減らし策により追放され、生きる道を求めてディアスの領地に辿り着いたのであった。
ディアスは老婆たちを領民として受け入れることに決め、クラウスはその決断に驚きながらも、ディアスの優しさとお人好しさを感じていた。しかし、老婆たちの高齢や生産性の問題についてクラウスは心配していたが、ディアスはそれでも彼女たちを迎えることに喜びを感じていた。クラウスはディアスの優しさを尊敬しつつも、少し無理をしすぎる彼の姿に困惑しながら手伝いに奔走していた。
立ち並ぶユルトを眺めながら(ディアス)
ディアスは、マヤ婆さんたちを草原で保護してから3日が経ち、彼の領地が賑やかになったことに気付いていた。彼の住むユルトやクラウスのユルト、マヤ婆さんたちのユルト、さらに集会所などが整備され、ここを「村」と呼べる規模になりつつあった。ディアスは村の名前を考えていたが、良い案が浮かばず、マヤ婆さんやアルナーに相談した。結果、アルナーの提案により「イルク村」という名前が採用された。
マヤ婆さんたちは、ディアスの許可を得てメーアの毛を処理し、毛糸を作って領のために貢献しようとしていた。彼女たちの歌や作業の様子は平和で、ディアスはその光景に心が温まった。
村の名前が決まったことを祝うため、マヤ婆さんたちは宴を催すことにした。質素ではあったが、楽しい宴となり、ディアスやクラウス、フランシスたちもそれを楽しんだ。宴が終わった翌日、領の発展や次の宴の計画について、みんなで話し合いを始めることとなった。
翌日、小川の側で
ディアスは領民集めの方策に悩んでいたが、マヤ婆さんが提案した「奴隷購入」の案を即座に却下した。彼は奴隷制度を嫌っており、戦場で見た奴隷兵の悲惨な状況を思い出していた。奴隷商人に金が流れれば新たな奴隷が生まれ、さらに不正な奴隷集めが進むと考え、彼の領では奴隷の売買を禁止する意向を固めていた。
その後、ディアスはフランシスやフランソワを撫でながら、彼の領地にやってきた行商人フロッグマンの一団を迎え入れる準備をしていた。行商人のリーダー、ペイジンは、アースドラゴンの素材を見せて欲しいと頼み、ディアスは戦斧でドラゴンの甲羅を割る技を披露し、フロッグマンたちを驚かせた。取引が進む中、ペイジンは「災厄の子」と呼ばれる双子の子供を売ろうとしたが、ディアスは奴隷制を拒否し、代わりにその子供たちを引き取り、家族として迎え入れることを決めた。
ディアスは奴隷制度に反対し、領地を人道的な方法で発展させようとしており、その決意を実行に移した。
イルク村を離れながら(ペイジン・ド)
ペイジン・ドは、イルク村での取引を成功させ、ディアスを「お人好し」で無害な客とみなしていた。彼は、獣王国に向かう途中でディアスとの取引が大いに利益をもたらす可能性を感じていた。護衛の熊人族は、ディアスが強力な戦士であることに警戒を示していたが、ペイジンはディアスが野心や覇気がなく、王に向かない男だと考えていた。彼はディアスを危険視せず、むしろ有益な隣人として評価していた。
ペイジンは、ディアスが王国の貴族とは合わないことや、奴隷制を嫌っていることから、彼を王国の敵と見なしても問題ないと考え、獣王国にとっても有利な存在だと判断していた。さらに、ディアスが草原の北にある鉱物の豊富な山を手に入れた場合、良い取引相手として利用するか、獣王国に吸収するかは獣王の決定に委ねられると考えていた。ペイジンは、ディアスと獣王国の間でうまく立ち回り、自分も利益を得ようと胸に秘めていた。
取り引き後のイルク村で(ディアス)
ディアスはペイジンたちとの初めての取引を無事に終え、彼らを見送った後、残された双子の子供たち、セナイとアイハンに目を向けた。ディアスは孤児の世話をしていた過去があり、その経験を生かして双子に優しく話しかけ、彼らの名前を聞き出すことに成功した。双子は両親の死による悲しみで心を閉ざしていたが、ディアスの温かい対応に少しずつ心を開いていった。
その後、アルナーは双子に髪を編み込みながら宝石を与え、その宝石が持つ意味や両親が名前に込めた思いを語った。セナイとアイハンはその話を聞き、両親への思い出と共に涙を流したが、フランシスとフランソワの優しい毛に包まれて眠りについた。ディアスは双子たちが少しずつ元気を取り戻していく様子を見守りながら、彼らの将来に対する希望を感じた。
一方、マヤ婆さんは双子がただの人間ではないかもしれないと警戒しており、ディアスもそれを心に留めることを決意した。それでも、ディアスは双子が普通の子供として成長していくことを願い、彼らを家族の一員として大切にしていく覚悟を新たにしていた。
10日後、夜明けのユルトで
ディアスは朝、陽の光で目を覚まし、フランシスとフランソワがいないことに気付いたが、セナイとアイハンが彼らに抱きついて眠っていることを思い出し、苦笑した。彼はセナイとアイハンが村に来てからの騒動を思い返し、騒々しい日々を振り返ったが、双子の態度が徐々に軟化し、笑顔が増えていく様子に満足していた。特に、フランシスとフランソワは双子にとって特別な存在となり、彼女たちの支えとなっていた。
また、セナイとアイハンはアルナーに対して恐れを抱きながらも、彼女の優しさに親しみを感じていた。厳しい躾や薬湯の影響もあって、アルナーへの尊敬と恐れが混在していたが、彼女の母性的な一面に支えられていた。ディアス自身は、双子との距離がまだ完全には近づいていないことに少し寂しさを感じていたが、彼女たちとの関係が徐々に深まっていくことを期待していた。
その後、村に東から馬に乗った人物が近づいてきたとの報告を受け、ディアスとアルナーは迎えに出た。現れたのは老人で、彼はカスデクス家の次男エルダン・カスデクスの使者であることを名乗り、エルダンがディアスに会いたいと伝えた。ディアスは彼を村に入れず、会談は村の外で行うと断言した。エルダンの過去を思い出し、彼が村にとって脅威になる可能性を懸念して、ディアスは警戒を強めていた。
ディアスは、カマロッツが去った後に現れた大きなベッド型馬車に驚いた。その馬車はエルダン・カスデクスという若い領主が乗っており、彼は多くの女性たちに世話をされていた。エルダンは驚くほどの体格を持ちながらも青の魂を持っていることが判明し、ディアスはその結果に驚いた。
エルダンはディアスに強い憧れを抱いており、領主として彼に会いたいとやって来たのだと語った。彼の無邪気な振る舞いと話し方に、ディアスは一時的に警戒を解いたが、隠蔽魔法で姿を隠していたアルナーをエルダンが見破ったことでディアスは再び驚いた。
エルダンはアルナーが鬼人族であることを知り、さらに彼女がディアスの妻であると聞くと、驚愕しつつも感動の涙を流し始めた。彼は、自分も同じように亜人に対して特別な感情を持っており、ディアスと深い絆を感じたのだった。
エルダンが号泣し始め、彼に続いてカマロッツや女性たちも泣き出し、村の中にすすり泣く声が広がった。ディアスはその状況に困惑していたが、さらに驚くことが起こった。エルダンの耳が突然大きくなり、鼻が長く伸び、まるで象のように変化し始めた。そして、その鼻がディアスの腰に巻きつき、彼を宙に持ち上げる怪力を見せたが、ディアスは攻撃することをためらい、エルダンの泣き止むのを待つしかなかった。
カマロッツの説明によると、エルダンは象人族の母と人間の父の間に生まれた半亜人であり、特殊な魔力を持っているため、時折その姿が象人族に変わってしまうということであった。エルダンはその変化によって体力を消耗し、女性たちの世話を受けなければならない体質であり、そのため大勢の女性たちと暮らしていた。
エルダンの目的は、亜人と人間が共に平和に暮らす世界を作ることであった。彼はその夢を追い求め、亜人奴隷を保護する活動を行ってきたが、その過程で家族との対立が生じ、内乱が勃発した。最終的にエルダンは領主としての地位を得たが、彼の戦いは単なる権力争いではなく、愛する者たちを守るためのものだった。
ディアスはエルダンの夢に共感し、自分の村でも人間と亜人が共に暮らしていることを伝え、彼の夢を応援することを約束した。エルダンは感動し、ディアスの言葉に涙を流しつつも堂々と胸を張った。
特製ベッド型馬車の上で
エルダンはディアスに自分の話を聞かせてほしいと熱心に頼んできた。ディアスは自分の経験を控えめに語り始め、孤児時代から志願兵となり、戦場での出来事、アルナーとの出会い、アースドラゴンを倒した話などを共有した。エルダンとその仲間たちはディアスの話に興味津々で、特にドラゴン討伐や婚約話に盛り上がりを見せた。
エルダンは母ネハがディアスの武勇伝を聞き、彼を尊敬するようになったことを語った。それは王都の演劇を通じて広まったもので、孤児から英雄となったディアスが民衆に称賛される存在だったという。ディアス自身はその多くが誇張された話であることを認めたが、エルダンはそれでもディアスを尊敬し続けていた。
その後、エルダンはディアスとさらに親密な関係を築き、一緒に亜人と人間が共に暮らせる世の中を作るという夢を共有した。ディアスもエルダンの夢に賛同し、握手を交わし、互いに協力して領を発展させることを誓った。
また、エルダンはディアスに食料の備蓄と生産の重要性を説き、ディアスは草原で畑を作る計画を立て、食糧確保に向けた行動を取る決意を固めた。
夜更けのユルトで
ディアスとアルナーはエルダンとの会談を終えて村へ戻り、夜が更けた頃、セナイとアイハンの側でようやく二人が眠ったことに安堵していた。エルダンとの長い話し合いで村に戻るのが遅くなり、二人は感情を爆発させて暴れ回っていたが、最終的に疲れ果てて寝入ったのであった。ディアスは二人が自分たちに対する不安や心細さから感情をぶつけてきたことを理解し、今後も受け入れつつ、場合によってはしつけを考えるとアルナーに伝えた。
その後、アルナーが何かを察知し、侵入者が南東の方角から向かってきていることを警告した。新月の夜で視界が悪い状況であったため、ディアスは一人で様子を見に行こうとしたが、アルナーが強く同行を申し出た。新月の夜での追跡にはアルナーの魔法が必要であり、最終的にディアスはアルナーの力を借りることを決意した。二人は装備を整え、村の守りをクラウスに任せて侵入者の元へと向かった。
夜更けの草原で(侵入者の頭目)
頭目は依頼人に雇われ、ディアスを襲撃するために草原を進んでいた。しかし、何もない荒れた地で本当に標的がいるのか疑問を抱いていた。依頼人は闇夜に奇襲を仕掛けるよう指示していたが、頭目はこれだけの人数がいれば問題ないと楽観視していた。彼と部下15人は奇襲を試みたが、赤い光とともに敵から矢が飛んできて部下たちが次々と倒され始めた。彼は部下に反撃を命じたが、敵の正確な矢に次々と撃たれ、次第に不安が募っていった。
敵の位置を特定しようと手下たちに指示を出している最中、彼は女の悲鳴と男の怒声を聞き、その方向へ突撃した。しかし、突如現れた黒い影がディアスであることに気づき、剣を振りかざしても簡単に弾き飛ばされてしまった。剣が壊され、彼の心も折れてしまい、地面に崩れ落ちた。死を覚悟していたところ、ディアスは彼にトドメを刺さず、代わりに腹に一撃を加えた。
森を駆けながら(謎の男)
謎の男は、松明を手に闇夜の草原を駆け抜け、東の森へと逃げ込んだ。追手を警戒しながら進み続け、やがて森の奥深くで足を止めた。しばらく様子を窺っていたが、周囲に気配が無いことを確認すると、ようやく安心して深い息を吐いた。しかし、突然古傷の痛みが蘇り、男は狂気に満ちた怒りを爆発させた。ディアスに対する激しい恨みを抱え、罵詈雑言を喚き散らしながら全身を震わせた。
しばらく狂乱していたが、やがて痛みが和らぐとともに男の狂気も薄れ、冷静さを取り戻した。失敗を認めながらも、男はディアスへの復讐を誓い、次の機会を狙いながら森の奥へと消えていった。
戦いを終えて
ディアスとアルナーは、盗賊たちを相手にした戦闘に勝利した。盗賊たちは戦う前に盗賊行為を宣言するという間抜けな行動を取っており、アルナーの魔法による奇襲でほとんどが制圧された。ディアスも敵陣に突っ込み、怪我なく戦闘は終了したが、一人だけ逃げられてしまった。盗賊たちは武器を取り上げられ、説教された後、草原の外へと追放された。
帰り道、アルナーは草原での生活や盗賊狩りの思い出を語った。彼女はかつて草原で盗賊を狩ることで生計を立てようと考えていたが、現実には盗賊が現れることは稀だったという。ディアスとの出会いも、最初は盗賊だと思い込んでいたが、魂鑑定で彼が強い青であることが判明し、最終的には彼を起こして会話をする道を選んだと話した。
突然、アルナーはディアスに口付けをし、ディアスは驚いて何もできなかった。暗闇が戻った後、アルナーは黙っていたが、急に駆け出してしまった。ディアスは慌てて武器を抱え直し、彼女を追いかけることとなった。
過日。婚姻の祝宴の翌日、ユルトの中で(アルナー)
アルナーはディアスとの婚姻の祝宴が終わり、新しい生活が始まった日の昼過ぎ、一人ユルトの中で外歩きの準備をしていた。彼女は弓矢を携え、宝石を胸元に隠しながら、ディアスには見回りと狩りに行くと言い、実際はディアスのために草原に生命感知魔法を仕掛けるために出かけた。
アルナーは、草原を全力で駆け抜け、王国に隣接する草原の東側に到着すると、宝石に魔力を込め、それを土に埋めて魔法を仕掛けた。この魔法は、鬼人族のためではなく、ディアスと自分のためだけの特別なものだった。彼女は、いつか鬼人族とディアスの利害が一致しなくなる可能性に備え、自らの覚悟を示すための行動だった。
アルナーは、ディアスとの生活が始まる中で、自分が彼に惹かれた理由を思い返し、最終的にディアスとの未来に向けて自分の誓いを固めた。そして、夕方が近づくと、狩りをしながらディアスの待つユルトへと帰路に着いた。
アルナーを待ちながら(ディアス)
日が沈み始め、鬼人族たちは井戸掘りを一旦終え、村へと帰っていった。作業は一日で終わらず、今後も続く予定であった。ディアスは彼らを見送りながら、ユルトの前でアルナーの帰りが遅いことを気にしていた。アルナーは出かける際に遅くなるとは言っていたが、鳥を狩るだけでこれほど時間がかかるのかと不安が募った。
アルナーに何かあったのではないかという心配が頭をよぎり、探しに行くべきか考えていた時、風に乗ってアルナーの薬草と灰の香り、そして血の臭いが漂ってきた。振り向くと、3羽の大きなキジを手にしたアルナーが元気な声を上げ、笑顔でディアスに近づいてきた。
アルナーはキジを狩れたことを喜び、ディアスと共に夕食の準備をしようと提案した。ディアスは彼女の疲れを考え、一人で捌こうとしたが、アルナーも手伝うことを望んだため、二人で協力してキジを捌き、夕食の準備を終えた。二人が共に作った甘酸っぱいキジ肉料理は期待以上に美味しく、満足のいく夕食となった。
ある日の午後、ユルトで(ディアス)
昼下がり、ディアスはフランシス達の食事を終え、ユルトに戻った。そこではアルナーが大量の草を積み上げ、何かを咀嚼していた。ディアスは驚き、アルナーが草を食べているのかと思ったが、アルナーは草を食べているのではなく、草を唾液で潰して絞り汁を作っていると説明した。その草の絞り汁に黒い木の実の汁を混ぜ、布を染めて鮮やかな青色に変化させる染色作業をしていたのだ。これは鬼人族に伝わる伝統的な染色法であり、草の汁や唾液、木の実を用いて布を青に染める技術であった。
アルナーはその染めた布を陰干しして色を定着させ、ビレーシャという鬼人族の服を作ろうとしていた。そのサイズから、赤ん坊用になるだろうと照れた様子で説明し、頬を赤らめた。フランシス達がディアスに何かを訴えるような目を向けると、ディアスは居た堪れなくなり、何も言わずにユルトから出て行った。
登場人物
ディアス
幼少期に両親を失い、孤児として育ちながらも強い意志で生き抜いてきた男性。
彼は15歳で志願兵となり、隣国との戦争で20年間戦い続け、終戦後に救国の英雄と称された。
35歳の時に王から領地を与えられたが、その地は広大な草原だけの荒れた土地であった。
彼はそこで孤独な領主生活を始め、持っていたのは戦斧と傷だらけの装備のみであった。
ディアスは草原での厳しい生活の中で生き延び、領地を発展させるために奮闘した。
彼は戦場で培った強さと冷静さを持ち、仲間や家族を大切にしながらも、自らの信念に従って領主としての役割を果たそうとした人物である。
アルナー
鬼人族の一員であり、ディアスの世話係として彼のもとに派遣された女性。
彼女は褐色の肌と青い角を持ち、鬼人族の伝統や知恵を身に付けている。
アルナーは初め、ディアスに対して冷静で距離を置いていたが、彼と共に草原での生活を送る中で次第に心を開き、彼に深い信頼と愛情を抱くようになった。
彼女は魔法に長け、特に生命感知魔法や隠蔽魔法を得意としており、ディアスや村の安全を守るためにその力を発揮した。
アルナーは家庭的な一面も持ち、家事や狩り、伝統的な染色技術などを巧みにこなし、ディアスと共に新しい生活を築いていった。
彼女はディアスに対して非常に献身的であり、彼との絆を深めながら、彼の妻として共に生きることを選んだ。
フランシス&フランソワ
ディアスが飼育しているメーアと呼ばれる家畜で、彼の生活の中で重要な存在となっている。
メーアは耐久性と耐水性に優れた体毛を持ち、その毛は鬼人族の生活において貴重な資源であった。
特にフランシスとフランソワは、ディアスの領地における日々の労働や生活を支えるだけでなく、彼にとって家族のような存在となっている。
フランソワが妊娠した際、ディアスは大いに喜び、フランシスとフランソワを大切に扱いながら、彼らと共に暮らすことを天国のように感じていた。
彼らは双子のセナイとアイハンとも親しくなり、双子たちの精神的な支えにもなっていた。
モール
鬼人族の村の族長であり、アルナーをはじめとする村人たちをまとめるリーダーである。
彼は威厳と知恵を持ち、鬼人族の伝統と歴史を深く理解している。
かつて鬼人族は王国と戦い敗北したが、モールの指導の下で草原に隠れ住み、再び村を築き上げた。
ディアスと最初に出会った際、モールは彼が「青の魂」を持つことを見抜き、敵視することなく受け入れた。
モールはディアスに対して信頼を寄せ、彼に家や食料を提供し、アルナーを世話係として派遣した。
また、モールは鬼人族の「男気」を重んじ、ディアスの行動を称賛する場面も多く、彼を尊敬する一方で、鬼人族の価値観をディアスに伝えた。
クラウス
かつてディアスと共に戦場で戦った仲間であり、後にディアスの領地で働くことを決意した男性である。
彼はディアスに対して深い尊敬を抱いており、ディアスのように強くなりたいと日々訓練に励んでいた。
クラウスは領兵隊長としてディアスやアルナー、フランシスたちを守ることを誓い、ディアスの領地で重要な役割を果たしていた。
彼は真面目で忠実な性格であり、ディアスの期待に応えようと常に努力していた。また、ディアスが領民を受け入れる際には、その寛大さに驚きながらも彼の優しさを尊敬していた。
クラウスはディアスと共に、領地の発展を目指して活動を続けていた。
エルダン・カスデクス
カスデクス家の若い領主であり、象人族の母と人間の父の間に生まれた半亜人である。
彼は体が大きく、強力な魔力を持つ特殊な存在であり、時折その姿が象人族の特徴を現すことがある。
彼は亜人と人間が共存する平和な世界を夢見ており、そのために亜人奴隷を保護する活動を行っている。
エルダンはディアスに強い憧れを抱いており、彼を訪れた際には深い友情を築こうとした。
彼の無邪気で情熱的な性格は、ディアスを驚かせつつも共感を呼び、二人は互いに協力して領地を発展させることを誓った。
カマロッツ
エルダンに仕える側近であり、彼を支える重要な存在である。
エルダンが象人族の姿に変わってしまった際には、冷静に状況を説明し、エルダンが持つ特殊な体質や背景についても詳しく伝えた。
カマロッツは、エルダンに対して忠誠心を持ちつつ、彼の感情的な行動を見守り、支える役割を果たしていた。
また、エルダンの夢である亜人と人間の共存を実現するために、彼の側で助言や行動をしていた。
セナイ
ペイジン・ドによって売られそうになっていた双子のうちの一人で、ディアスが奴隷制に反対する立場から引き取った子供である。
彼女は両親を亡くし、ディアスの領地にやってきた際には心を閉ざしていたが、ディアスやフランシスたちとの交流を通じて少しずつ心を開いていった。
セナイは姉としてアイハンを守る役割を担っており、ディアスとアルナーの家族の一員として大切に育てられている。
アイハン
セナイの双子の妹であり、彼女もまたディアスによって家族として迎え入れられた。
両親を亡くしたことで深い悲しみを抱えていたが、ディアスやフランシスたちとの触れ合いの中で次第に元気を取り戻していった。
アイハンは繊細で感受性が強く、ディアスやアルナーの優しさに感謝しつつも、彼らの家族として新しい生活に順応していった。
マヤ婆さん
カスデクス領から追放された老婆たちのリーダー格であり、ディアスによって保護された人物である。
彼女は知識と経験が豊富で、メーアの毛を処理して毛糸を作るなど、村の発展に貢献していた。
ディアスに対しては感謝の念を抱いており、彼を頼りにしていた一方で、時には彼に助言を与えることもあった。
マヤ婆さんは、セナイとアイハンについても警戒心を持ちつつ、彼らが普通の子供として成長することを願っていた。
ペイジン・ド
フロッグマンの一団を率いる行商人で、ディアスとの取引を行った人物である。
彼は商才に長けており、ディアスを「お人好し」と見なしていたが、取引の際には冷静かつ計算高く振る舞った。
ペイジンは奴隷制度に関しても積極的な立場を取り、「災厄の子」と呼ばれる双子を売ろうとしたが、ディアスの強い反対に遭い、結果として彼らを家族として引き取ることになった。
ペイジンは、ディアスが王国に適さない存在であると見抜き、彼を利用することを計画していた。
ネハ
エルダン・カスデクスの母であり、象人族に属する女性である。
彼女はエルダンが生まれた背景や、彼が象人族の特徴を持つようになったことに深く関与している。
ネハは、亜人と人間の共存という夢をエルダンに託し、彼がディアスに影響を受けてその道を進むよう支えた人物である。
彼女の影響力は、エルダンの行動や考え方に強く反映されており、彼の理想の実現を陰ながら見守っていた。
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